奨学金の返済方法に工夫はできないのか?――実態と対処

奨学金

この時期恒例の「奨学金返還の振替案内」が届きました。
日本学生支援機構の奨学金です。

「奨学金返還の振替案内」としてこんなはがきが届きます。

学生時代結構借りていたのもあって,私は年間20万円以上引き落とされています。
結構大きい金額なので返還方法を工夫したいと思って奨学金について調べてみました。

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奨学金を借りている人の実態は?

奨学金返済に関しては暗いニュースも多いです。
「奨学金延滞で破産!」といったニュースが世の中を駆け巡ったときもありましたね。

ところで,奨学金を借りている人って全国にどれくらいいるのでしょう。
そのうち返せていない人はどれくらい?

これらの実態を知るために日本学生支援機構が毎年行っている調査の最新版,「平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」を読んでみました!

返済中の人は全国381万人,26人に1人は延滞中

調査によれば,2016年度末で奨学金を返済中の人は381万人で,うち4.4%(16万人)は延滞中です。

26人に1人は延滞中という割合になりますね。
結構多い……。

延滞が始まった理由はさまざまですが,最も多いのは「家計の収入が減った」(69.2%)
もともと余裕のない生活をしていたところで収入が減り,貯金が底をついて延滞が始まってしまったのでしょうか。

延滞が継続している理由は「本人の低所得」(64.5%)が最も高く,次いで「奨学金の延滞額の増加」(47.5%)。低所得で返済が滞り,返済しなければならない額が上積みされていくというスパイラルに陥っているようです。

本調査にはデータがありませんでしたが,マイナビの調査では返済義務のある奨学金を借りている人の平均借入額は324万円,返済期間は18年だそうです(ちなみに私は420万円)。

4割以上の人が活用した奨学金、返済額は平均288万、完済までは約16年 | ビジネスマナー | 対人マナー | フレッシャーズ マイナビ 学生の窓口
4割以上の人が活用した奨学金、返済額は平均288万、完済までは約16年

大金ではありますが莫大な額ではありません。
この金額から推察するに,返済不能になる人は生活自体にそもそも余裕がなく,生活防衛資金を作れないままの状況となり,収入減少が追い打ちをかけた結果と考えられます。

奨学金を返還できないときに起こる3つの事態

では,奨学金を返還できなくなったらどうなるのでしょう。
どのような事態になるか日本学生支援機構のウェブサイトに記載されています。

1)督促がある
2)利息が増える
3)個人信用情報機関に登録される

1)督促は自宅に加えて勤務先にもかかってくる可能性があります。
もちろん勤務先に奨学金延滞があることは通知されません(本人に取り次ぎ,本人にのみ話します)が,勤務先の電話では周囲の目もあり嫌ですよね……。

2)延滞すると第一種・第二種(後述)とも年5%の延滞金が上積みされます。
返済できないほど経済的に困っているときに延滞金を払うのは本当に厳しいものがありますよね。

3)そして個人的に最も凶悪なのが「個人信用情報機関へ個人情報の登録」
個人信用情報機関は個人の経済的信用度を会社間で共有するための機関です。
延滞するとその旨が登録され,クレジットカードやローンの審査に通らなくなる恐れがあります。

一度登録されてしまうと返済を再開しても登録は残りつづけ,完済後5年まで削除されません。
注意すべきは,いずれも「借金を返せなかった時」と同じ対応をされてしまいます……。

奨学金を返さなくてよい場合はある?

奨学金は基本的には返さなくてはなりません。
しかし,契約上返済が免除されるパターンがあります。

でも……日本学生支援機構のウェブサイトによれば,返済が免除されるのは以下の場合だけだそうです。

・死亡又は精神若しくは身体の障害により返還ができなくなったとき

う~ん(笑)。
死亡はさておき,障害も重度のもので返還不能と判断されなければなりません。
もちろん知識として持っておくべきですが,いま私が利用できる制度ではないですね……。
繰り返しになりますが,やはり返さなくてはいけないものなのですね(それはそうなんですけれども)。

「返し方」には工夫ができる

生きて働けるうちは返さなくてはならない奨学金。
返さなくてはならないならば,できるだけお得に返すように工夫したいところです。

私が思う奨学金の返し方の工夫をまとめます。

第一種と第二種を両方借りている場合:第二種(利息が付くタイプ)から返す

返済方法で定番なのがこちら。
すでにいろいろなサイトで紹介されています。
そもそも奨学金には二種類あるのを知っていますか?

第一種(無利息)と第二種(利息が付くタイプ)です。
※第一種を借りるには保護者の所得が一定以下であるなどの制限があります

同時に貸与されている場合,利息のつく第二種を優先して行うのが鉄則でしょう。
利息のつかない第一種は後述の「返還期限猶予」を申請してできるだけ待ってもらい,資金に余裕があれば利息のつく第二種を繰上返済する。

猶予願いの出し方などは経験者がいらっしゃいましたので,この記事をご参照ください!

知らないと損?奨学金の返し方 - ゆるりーん
この記事を日本学生支援機構の奨学金返済にあえでいる仲間、特に「1種と2種どっちも借りているひと」にささげます。※奨学金に関して何度も書き直しましたが、うまくかけませんでした。 なんとなくでも伝わればいいかなと思っています。 私も奨学金を借りました 「1種と2種どっちも借りているひと」は、とりあえず1種の返済を待ってもら...

第二種のみ借りている場合:繰上返済する

利息のある第二種奨学金の返済であればこの手段が一般的です。
「奨学金の」利息を減らすにはこれしかありません。

繰上返済のメリットは,支払期間を短くすればするほど,支払う利息を減らせること。
例えば私の場合,420万円を利率0.1%で借りました

返すのは20年間,元金420万円と利息4万4000円
ここで私は社会人1年目,ボーナスを繰上返済に充て,250万円ほどを返済しました。
すると返すのは7.5年間,元金170万円と利息6000円に。

返済期間と元金を3分の1程度に減らしたところ,利息は大きく減りました。
これが繰上返済の魅力です。

繰上返済しないことがお得な方法のことも

一方で,繰上返済しないのも賢い方法になり得ます。
それは3つの理由からです。
1)お金の現在価値と将来価値
2)住宅や車のローンより金利が安い
3)将来インフレが起こるかも

1)お金の現在価値と将来価値

繰上返済しないほうがよい理由の一つはお金の現在価値と将来価値の違いに基づきます。
例えば100万円奨学金の残債がある場合で考えましょう。
手持ちの現金は150万円くらいだとします。
あなたは繰上返済することもしないこともできます。

・繰上返済した場合
あなたは借金を解消し,肩の荷が下りた実感を得ることができます。
一方で,手持ちの現金は50万円。

・繰上返済しない場合
あなたは20年にわたり借金を返済し続けます。
一方で,手持ちの現金は150万円。

それぞれで,こんな事態になったらどうでしょう?

勤務先の粉飾決算事件が判明し,倒産。
幸運にも別の企業へ社員登用が決まったものの,採用は3か月先……。

またはこんな事例はどうでしょう?

知人が乗用車を乗り換える予定が判明。
購入後数年でまだ乗れるから,諸費用込みで30万円でもらってくれないかと打診を受けた。

いずれも150万円を現在持っていれば対応可能ですが,50万円ではだいぶ心もとないですね……。
「現在使えるお金」を多く持っていることは「現在の選択肢を広げる」ことになります。
そのため繰上返済しない選択肢のほうが有力なのです。

2)住宅や車のローンより金利が安い

奨学金の金利は低いんです。
私の借りた第二種奨学金の金利は0.1%。

一方,例えば住宅ローンの最安金利は変動金利で0.429%(ZAiオンライン・5月1日)。
比べてみると一目瞭然。
第一種と第二種は利息のある第二種から返済する例の通り,負債は金利の高いものから返済するのがお得な返し方です。

将来,特に住宅や車のローンを組む予定はありませんか?
そちらの金利のほうが奨学金より高いです。
余剰資金は奨学金の繰上返済ではなく,住宅や車のローンの頭金にするほうが返済総額が少なくなります。

例えば奨学金300万(0.1%・20年),住宅ローン2000万(0.5%・35年)の合計2300万円の借金が決まっていて,手持ちに500万円ある場合。
そのうち300万円を奨学金の繰上返済かローンの頭金にすることができるとします。

奨学金を繰上返済した場合,奨学金は完済(300万円),住宅ローンは利息込で2180万円。
35年間で合計2480万円の返済となります。

住宅ローンの頭金にした場合,奨学金は20年で303万円を返済し,住宅ローンは頭金300万円+1700万円を35年間で返します(利息込みで1853万円)。
35年間で合計2456万円の返済です。

計算例では住宅ローンの金利を最安付近で計算していますが,それでもどちらを先に返すかで24万円の差(借金総額の約1%)があります。
固定金利で組んだ場合は1%程度の金利となりますからその場合約50万円の差(借金総額の約2%)が出てきます。

3)インフレが起こるかも

他にも将来,インフレが起こることも想定されます。
インフレが起これば返済額は相対的に少なくなります。

日本では現在はインフレがほぼ起こっていませんが奨学金完済までの20年間では何があるかわかりません。
奨学金は変動金利でも3%が上限と決まっているので,それ以上のインフレが起こった場合は返済負担が軽くなります。

返済額が厳しい場合は?

ここで工夫の一つとして,どうしても返済が困難なときの対処法をまとめます。

突発的な事情が起きてないとは言えませんよね?
勤め先が倒産したなど,自分の努力だけではどうにもならない場合も想定されます。

そんなときには奨学金の返済方法を変更してもらいましょう
返済総額は変わらないのが難点ですが,急場をしのぐには有効な手立てです。

申請せずに延滞すると前述のデメリットを被ってしまいます。
厳しくなったら必ず申請してください。

・返済期間を延ばす代わりに毎月の支払いを減らす「減額返還」
・一定期間返済を待ってもらう「返還期限猶予」

借りて,有効に使うことが大事

「借金」という言葉にはマイナスイメージがつきまといますが,必ずしも悪いものではありません。
確かに利息を支払わなければならないのですが,人生の時間は有限である以上,何事も「貯金してから」ではできることが限られます。

事実,奨学金も借りたおかげで進学可能となった人が回答者の約5割。

利息を払うことで,知識を早くつけることができたり,理想の住宅や車に早く乗ることができたりします。
お金を借りるのが悪なのではなく,「借りて浪費すること」が悪なのです。

執筆しながら,「借りて,有効に使うこと」の判断の重要性をあらためて感じた奨学金の記事でした。

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