「当社,本日ストライキ」――そのとき私が感じたこと

「当社,本日ストライキ」――転職は強者の論理 雑記

なまずんです。

冬の終わりとともに,労働者が労働条件の改善を求める春季闘争(春闘)がやってきます。私の勤務する会社でも毎年,賃上げを中心に労働組合と会社で交渉します。

私の勤務先の場合,近年は数回にわたる交渉のなかで,労働組合の要求を会社がある程度受け,戦術行使は比較的穏やかなまま妥結に至っていました。

それが,今回は交渉がまとまらず,私にとって人生で初めてのストライキに突入したのです。今どきストライキを決行する職場は少ない中で実行されたストライキに関する感想をまとめました。

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ストライキとは

定義

電子百科事典のブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると,ストライキの定義は次の通りです。

労働者が一斉に業務を休止すること。業務を阻害することによって使用者に圧力をかけ,要求の貫徹をはかるため行う。正統なストについては,刑事上・民事上の免責がある(労働組合法第8条) 。

賃上げを始めとした労働条件の改善を,労働者で団結して求める行為です。労働者の権利として世界的に歴史があります。日本では高度経済成長期にはよく行われていたそうです。一方,1980年代後半~1990年代以降は数が減り,20代の私にとっては他社の見聞を含めてほとんど経験がありません。

背景

使用者とは経営者,労働者を雇う人です。使用者は労働者を低賃金で長時間労働させたほうが儲かるので,放っておくと労働条件は悪化しやすくなります。使用者のほうが労働者より立場が強いためです。

なぜなら,労働者は一般的に「替えがきく」存在だからです。労働条件に不満を持つ労働者を何人か解雇したところで,使用者は別の労働者を雇えばよいだけです。一方で,労働者は生活がかかっているので,使用者に無理を言われても断りづらい状況があります。

そこで,使用者に対して,職場の労働者が団結して対抗する手段が取られます。その団結した組織を労働組合と呼び,業務を一斉に拒否して使用者に圧力をかける対抗手段がストライキです。

ストライキの当事者になった感想

交渉がまとまらず,ストライキに突入した感想です。構えた戦術は時間単位のストライキでしたので,普段より業務時間が短縮したことになります。

  • 戦術は強硬だが,淡々としている
  • 実行する労働者側も痛みを伴う

「業務を拒否し,職場を離れる」戦術と言うとかなり強烈な印象ですが,私の職場の場合はBtoBの要素が強いこともあり,ベテラン社員は淡々と業務を終えていました。集会はありましたが特に強い賛成・反対意見が出ることもなく,私は少し肩透かしを食らった気分でした。

また,実行してわかったのですが,ストライキは労働者側も痛みを伴います。顧客や発注先の人間関係にはマイナスで,先方にも一定の迷惑をかけることになります(使用者側にとっても嫌なことなので,それを武器にするのがストライキなのですが)。

職場の最前線で社外の人と信頼関係を築かなければならない労働者にとって,今後の関係に及ぼす影響を考えると,若干後ろめたい気持ちもあります。

「ブラック職場はやめて転職すればいい」は強者の論理

私は新卒で入社3年目。大学生時代までは,会社員の給与や待遇などの労働条件は会社が決め,労働者は与えられるという関係と思っていました。しかし,今回の闘争で感じたのは,労働条件の改善・改悪は所与のものではなく,交渉の中で改善可能ということです。

こうした団体交渉の場がないとどうなるか。「スキルのない人の労働条件はどんどんブラック化する」のです。使用者はスキルが豊富な人には辞めてほしくないので好待遇を提示しますが,替えがきく人の労働条件が改善することはないでしょう。むしろ,悪化する可能性すらあります。

近年は転職市場の拡大に伴って,「ブラック職場はさっさと辞めて,待遇の良い企業に転職しろ」との論調が広がっています。それはそれで間違っていませんが,高スキルで引く手あまたの強者ならいざ知らず,抜群のスキルを持たない人や,高スキルでも他社・他業界で通用しにくい技能を持つ人にとって転職は難しい選択です。

こういった話になると,「ならば,スキルを磨く努力をすれば良いじゃないか」との意見も聞こえてきます。その論理は正しいものの,全員が全員,強者になれるわけではないのです。また,そもそも高スキルというのは他者との比較で決まるものです。人材が世の中にあふれれば替えがきくので,使用者は労働条件を改善する理由がなくなります。

結局のところ,(強者も弱者も含めて)労働条件を改善するには団体交渉を持つのが現実的です。転職,転職と叫ぶ前に,「現在の職場の環境を改善するには,どうすべきか」との考え方が今の日本にはもう少し必要と思います。

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