賃上げ闘争に巻き込まれてみた――春闘とストライキ,ベースアップ

190407賃上げ闘争に巻き込まれてみた――春闘とストライキ,ベースアップ 雑記

なまずんです。

春闘,ストライキ,ベースアップ……。つい先日まで自分にとって縁遠いと思っていた話題です。賃金アップを求める2019年度の春闘もほとんどの企業で終息し,私の勤務先でも先日の交渉で会社側から昨年を上回る回答が示され,満額回答ではないものの妥結に至りました。

賃金が上がれば生活水準を上げることができ,また理屈の上では投資に回す元本も増やせます。労働運動に対してはさまざまな意見がありますが,給与が上がるのは労働者にとってはとりあえず良いことです。

中小企業の当社は組合員数が少なく,組合員が持ち回りで交渉の場に立つ委員を務めます。私は今回,初めて委員として交渉の場に立ちました。労働条件について経営と直接話し合うのはなかなか貴重な経験だったので,時系列で記録したいと思います。

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交渉の経緯

1月~2月:要求案を作成

春闘は会社に提出する要求案の作成から始まります。職場の組合員にアンケートを取り,どの程度の昇給を望むかを集計しました。

給与は定期昇給(当社は古い賃金体系なので)のみでよいという意見から,数千円のベースアップを望む声までさまざまでした。若手からは給与アップに消極的な声が比較的多かったのが印象に残りました。

また,諸要求としてLGBTの処遇に関する改善要求(手当がでるかどうかなど)や,フレックスタイム制度のような柔軟な勤務時間が職場に必要かを聴取するなど,賃金だけでなく働き方改革につながる仕組みについて議論しました。

同じ会社といえど,置かれた環境は人によって違うため,要求をまとめる過程は結構大変でした。すでに業界内で比較的給与の高い当社は,賃上げ=1000円台前半,一時金=過去の実績通り,そして諸要求をいくつか求めるところに落ち着きました。

「いざというときはストライキを実行する」というストライキ権(争議権)を職場の投票で確立し,交渉に突入します。

2月末:要求書を会社に提出

職場からの要求案を会社に提出しました。団体交渉がスタートです。会社から回答を得るまでの約2週間は何事もなく,比較的平穏でした。

3月半ば:初回交渉

会社から示された回答は,長年満額回答が出ている一時金は要求と一致し,諸要求も多少の回答を得たものの,賃上げは要求に100円及ばない水準でした。前年のベースアップよりも少し低い水準です。

ベースアップの回答は出ているものの,あと100円。夕方から始まった交渉は夜までもつれ込み,この日は時間切れで交渉は決裂しました。まずはストライキではなく,職場で組合腕章を着用するといった比較的軽めの戦術を取ることになりました。

3月下旬:第2回交渉

私が入社してからの数年は,交渉がそれほど長引くことは少なく,第2回交渉で会社が数十円の前進回答を出し,組合側も歩み寄って終結していました。今回もそうなるだろう……とこのときは安易に考えていたのです。ところが現実はそうではありませんでした。

例年ではわずかな前進回答を出してくる会社側でしたが,今年は様相が違いました。というのも,黒字を確保しているものの前期は減収減益で,前進回答を出したくない思惑が背景にあったようです。

あと100円の賃上げを求める私たちに対して,「金額としては払えるが,他社に比べて賃金が高くなってしまうので賃上げしたくない」と,あおるような発言を繰り返す会社側。議論は平行線をたどりました。

前進回答が出ないまま,交渉は再び決裂し,事前に宣告していたストライキに突入しました。私にとっては初めてのストライキだったので立ち回りがよくわからずオドオドしていたのですが,入社10年目以上の先輩は慣れただったようです。かつてはストライキをよくやっていたのでしょうね。

◆ストライキは労働者側も痛みを伴うと感じました。

「当社,本日ストライキ」――そのとき私が感じたこと
なまずんです。 冬の終わりとともに,労働者が労働条件の改善を求める春季闘争(春闘)がやってきます。私の勤務する会社でも毎年,賃上げを中心に労働組合と会社で交渉します。 ...

3月末:第3回交渉

ストライキ後の第3回交渉も議論が難航しました。両者とも前回と同じ主張を繰り返し,議論は平行線。夕方から始まった交渉は休憩を挟んで夜まで続きました。「たった100円なのに,こんなに苦労するなんて」とお互いに思っていたことでしょう。

すっかり日も落ちたころ,組合側が諸要求については諦めると譲歩したところで,会社側も歩み寄りの姿勢を見せました。第2次回答が示され,前年実績と同じベースアップ水準となりました。

私としてはこれで終わりでよかったのですが,ここからさらなる展開が待っていました。夜も遅くなってきたころ,突然社長がとうとうと会社のビジョンを話し始めたのです。すかさず,「それなら賃上げでもう少し応えてほしい!」と組合側の一人がひと押ししたところ,記事冒頭のツイート(社長の男気あふれるひと言)でさらなる賃上げという幕引きとなりました(この段階で23時)。前進は数十円であるにもかかわらず,それなりの感動がありました。

満額回答ではなかったものの,職場の組合員も総じて満足したようです。

結果的昨年を上回るベースアップと,一時金満額の回答を得ることができました。私はこの日は議事録を取る役割だったので,帰宅は午前3時くらいになりましたが……。

今年の春闘は終わりですが,売上高が伸びない中での賃上げは年々難しさを増しているように感じます。賃上げには限界があるので,来年は福利厚生として「業務に関連する資格取得に対する補助金」などを要求化してみようかと思っています。

良いことばかりではなく,問題点も

感動的なシーンはありましたが,労働組合は組織です。委員を経験して運営の難しさも感じました。

自分の時間を奪われるし,職場の諸問題に直面するのは精神的に大変です。自分の時間を大切にし,多様な価値観を持つことに理解が広がり,働き方も多様になった今の社会についていけていないところは,特に若年世代の組合離れの背景の一つでしょうね。環境変化という外部要因はコントロール不能な難しさです。

また,内部的には高額な外部団体への加盟金の支払いが多いなど,効率的運営ができていないところも明らかに問題です。

経営や賃金決定の場が身近になった

とはいえ今回の経験によって,これまで遠い世界だった経営や賃金決定の場を身近に感じることができました。委員は当初,嫌々引き受けたところがありましたが,経営陣の考えも聞くことができ,それなりに良い体験でした。

当社では数年後には,定年時期の改定や再雇用期間の延長などの制度設計を会社と議論することになる見込みです。今の私としては,定年は据え置き,再雇用期間は延長してほしいと考えています。「労働組合に積極参加!」という考えはないので当分は委員を務める機会はありませんが,使いやすい制度になるように自分なりに考えを持っていきたいと思います。

今回で労働組合の委員の仕事はほとんど終わったので,こういった話は今回でおしまい。

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