投資信託協会「投資信託ガイド」等の感想・レビュー(1)

投資信託・ETF

初心者から徐々にステップアップを続ける個人投資家なまずんです。
投資信託を中核に資産形成をめざしています。

投資家の保護を図り,投資信託等の健全な発展をめざす組織として,一般社団法人投資信託協会という団体があります。

投資信託協会が事業の一環として行っているのが,個人投資家に適切な情報を指南するガイドブックの作成です。
現在,個人投資家に向けて7冊をプレゼントしています。

ガイドブックプレゼント - 投資信託協会

先日注文したところ,冊子が届きました!

当ブログの趣旨にのっとり,「資産運用したいけれども,方法がわからない!」という資産形成“弱者”からスタートした私の視点で,20~30代の若手世代向けにガイドブックを分析します。

◆今回は入門的位置付けの2冊をレビューします。
「知っておきたい投資の基本」
「未来につむぐ 投資信託つみたてBook」

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最重要なのは「その資金を投資に回してよいか」の判断

初心者向けの2つの冊子を見比べてわかったのは,両冊子とも投資を始める前に,そもそも所持資金を投資に回すべき資金かどうかの見極めを最重要視していること。

生活資金などを除いた、投資してもよい資金の範囲内で投資を行うことは,投資「以前」の基本です。
過大なリスクを取って生活困難な状況に陥らないために,必ず検討しなければならないことについて,図解を使った説明が入っていることに好感を持ちました。

両冊子とも最初の項目に同じ円グラフが登場し,所持資金を以下3つに分類するように助言しています。
どう所持すべきかが冊子中に紹介されています。「⇒」は「知っておきたい投資の基本」をもとに私が書き加えました。

  1. 日常で使うお金
    ⇒普通預金など,いつでも引き出せる資産へ
  2. 将来使う予定があるお金
    ⇒定期預金,投資信託(国内債券)など,安全性の高い資産へ
  3. 当分使う予定がないお金
    ⇒投資信託(株式),REIT,個別株など,リスクはあるが収益も期待できる資産へ

「未来につむぐ 投資信託つみたてBook」はつみたてを意識しているためか,「『3.当分使う予定がないお金』は時間をかけてコツコツ資産をつくる積立投資にピッタリ」と紹介するにとどめ,1.や2.をどのクラスで持つべきかの助言は特にありませんでした。

「1.日常で使うお金」を普通預金で持つ必要性については納得するものの,「2.将来使う予定があるお金」を定期預金で持つのと債券ファンドに投資するのとでは結構な違いがあるように感じます。
個人的には,元本割れするとかなり困るものは,値動きの比較的緩い債券ファンドでも運用に回すべきではないと思います。

また,紙幅の関係で難しかったのかもしれませんが,「将来使う予定があるお金」と「当分使う予定がないお金」の線引きの例が1〜2つあるとわかりやすかったかもしれません!
本当に初心者の方は老後資金を定期預金で持とうとしたり,2年後に支払い予定の教育費を投資資金に回したりしてしまう危険性もあるのではないでしょうか。

私としては,「1.日常で使うお金」は生活費3か月分程度,「2.将来使う予定があるお金」は生活防衛資金(生活費1〜2年分)と向こう5年程度の大きな買い物への備えととらえています。

その次に,「リスク」を正しく知る

続いて「知っておきたい投資の基本」で解説されているのが,「リスク」について。
リターンとリスクの関係を適切に知り、リスクをコントロールすることが投資先を選ぶ上で重要ということがうかがえます。

「未来につむぐ 投資信託つみたてBook」では「“損”と“リスク”の違いを知る」と端的に表現されています。これには私も,なるほど! と思いました。

日本語で一般的には「リスク=危険性」ですが、投資の世界では「リスク=リターンの振れ幅」です。
1年程度の短期間で見たとき、リスクが低い商品とは価格変動が少ないもの、リスクが高い商品とは価格変動が大きいもの。
以上の内容が図解できちんと説明されていました。

同じ図なのに色が違うのが気になりますが!笑

リスク管理においては,2つの冊子で同じ主張が記載されています。それは以下の3つです。「⇒」の部分は「未来につむぐ 投資信託つみたてBook」をもとに私が加筆しました。

  1. 資産分散
    ⇒値動きの異なる複数の資産を組み合わせて投資する
  2. 時間分散
    ⇒ドルコスト平均法を用いて安いときに多めに買い,平均取得単価を下げる
  3. 長期投資
    ⇒相場は短期的には大きく変動するものの,長期投資となればなるほどリスク(価格の振れ幅)は小さくなる傾向がある

ドルコスト平均法の詳しい解説があるのは「未来につむぐ 投資信託つみたてBook」のみでした。やはり,つみたてを意識した解説としてはドルコスト平均法が外せない要素ですね。

製作者に要望するとすれば,初心者向けということを考慮して,「長期投資とは何年以上か」の一例を挙げてもよかったかもしれません。
一般には15年,20年以上と理解すべきだと思います。

「知っておきたい投資の基本」に記載の主な内容は以上です。他に投資信託とREITのごく簡単な解説がありました。
「未来につむぐ 投資信託つみたてBook」にはこの内容に加えて,積立・分散投資に適した「つみたてNISA」の解説がありました。
NISAとの違いといった制度的概要は以下の別記事にまとめています。
参考 iDeCo,NISA,つみたてNISA,ふるさと納税のメリット・デメリットまとめ――給与所得者全員が活用できる4制度

本記事ではつみたてNISAならではの特徴である,ラインアップの特徴に焦点を当てたいと思います。

どんな投資信託に投資すべきか

投資信託を用いて20年以上の長期投資を行う場合,どのような商品を選ぶべきでしょうか。
その答えはつみたてNISAで購入できる投資信託の条件にあると私は考えています。

20年間,投資収益の非課税期間を設けるつみたてNISAは長期投資を前提とした口座です。この口座で購入できる投資信託については,長期投資による資産形成を目的として,金融庁が要件を定めています。
その要件は以下の5つ。「⇒」以降は私が加筆しました。

  • 信託契約期間が無制限または20年以上であること
    ⇒長期投資をする上で,運用期間がそれ以上であることは必須条件です。
  • 分配頻度が毎月でないこと
    ⇒長期の資産形成では,配当は再投資することが望ましいです。
  • 株式投資の販売手数料はゼロ(ノーロード),ETFについては販売手数料が1.25%以下
    ⇒販売手数料はリターンに直結するコストです。支払っても投資家にメリットは皆無です。無料のものから選びましょう。
  • 運用管理費用(投資信託等)は1~3分類ごとに上限が低く設定されている
    ⇒運用中のコストもなるべく低いものが望ましいです。近年は0.1~0.2%程度の商品も出てきました。
  • ヘッジ目的の場合を除き,デリバティブ取引による運用を行っていないもの
    ⇒このような投資信託は高リスクになりがちです。

この要件は長期投資に選ぶべき投資信託を決めるのに的を射ていると感じます。
信託契約期間は当然のことですし,配当金の再投資,低コストを追求するなども納得です。

つみたてNISA以外の口座で運用する場合も,この5要件に当てはまることを確認してから購入する必要があるでしょう。

初心者は中立的な情報が最も必要な時期だからこそ,薦めたいガイド

入門者向けの2冊を詳しく見て気づいたのは,投資に回して良いお金とそうでないお金をしっかり判断した上で,リスクについて正しく理解することの重要性です。

金融機関での対面販売はもちろん,ウェブ上の情報も有用ですが,どうしても「投資信託を購入する」ところから議論がスタートしがちです。
特に販売窓口である金融機関では投資のメリットが強調され,過大なリスクへの危険性を理解しないまま金融商品を購入してトラブルになるケースが報道されるなど,社会的に問題意識も持たれています。

投資を始めて経験を積めば,情報を取捨選択する能力も次第に身につきます。
しかし,最初は誰もが無知からスタートする世界
です。
協会という中立的な立場だからこそできる情報提供に感心しました。

追加の要望をするとすれば,本文中にも記載した通り,「例示」はもう少し多くても良いかもしれません。初心者だからこそ,イメージできることも限られています。

しかし,全体としてはコンパクトに要点がまとまった良い解説冊子だと感じました。
投資信託協会さん,とても良いお仕事です!

◆困ったときの総合リファレンスとして活用できる「わかりやすい投資信託ガイド」のレビューはこちら
参考 投資信託協会「投資信託ガイド」等のレビュー(2)

◆REITの情報を網羅するリファレンス「REIT GUIDE」はこちら
参考 投資信託協会「投資信託ガイド」等のレビュー(3)

◆投資信託説明書(目論見書)運用報告書の読み方はこちら(最終回)
参考 投資信託協会「投資信託ガイド」等のレビュー(4

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