ソーシャルレンディング「資金流用」問題の本質と私見

ソーシャルレンディング

事件が起こる中でソーシャルレンディングに15万円ほど突っ込んでみたなまずんです。

少額でもお金を入れると情報感度が上がりますね。ソーシャルレンディングで集めた資金を融資先企業が目的外使用した件でソーシャルレンディング業界には衝撃が走っています。

この問題の真相を調べてまとめます。

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事件の概要

特に7月6日の日本経済新聞による報道は,集めた資金が目的外使用されたという点がクローズアップされ,大きな反響を呼びました。

「maneo」、集めた融資資金を流用 100億円規模か
証券取引等監視委員会はネット経由で小口資金を集めて融資を仲介する投資募集会社「maneoマーケット」(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告する方針を固めた。投資家に事実と異なる説明をして資金
maneo、監視委が処分勧告 流用額10億円以上
証券取引等監視委員会は6日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケット(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告した。募集時の説明と異なる目的に流用されたのを見

この報道はソーシャルレンディング業界の規制の未熟さを浮き彫りにした点で一定の価値があります。しかし,残念ながらタイトルがややミスリーディングでした。

一見,maneoが資金流用したように見えてしまいますが,真相はそうではありません。

問題の構造が少しややこしく,一体何が問題となっているのかが見えにくいです。
この記事の目的は問題の真相をわかりやすくひもとくことと,投資家として我々が何を考えていくべきか,私の見解をまとめたいと思います。

報道の趣旨

報道のポイントは,ソーシャルレンディング最大手の「maneo」の投資募集会社「maneoマーケット」への行政処分が近く下るというものです。
その理由は「投資家に事実と異なる説明をして資金を集めた金融商品取引法違反行為が見つかったため」です(以上,上記記事より)。

詳しい経緯としては,もともとバイオマス発電事業者が開発資金目的に,ファンド運営会社のグリーンインフラレンディングに融資を依頼しました。

グリーンインフラレンディングは,maneoマーケットを通じて投資家から資金を集め,その資金をバイオマス発電事業者へ,開発資金目的に融資しました。

しかし,バイオマス発電事業者が実際には自然エネルギー関連の開発という本来の目的外に流用したことが発覚したというのが今回の報道の内容です。

何が問題だったのか

今回の事件は以下の3社が絡む問題です。

・投資家から資金を募るmaneoマーケット
・ファンドを運営し,融資を行うグリーンインフラレンディング
・融資を受けるバイオマス発電事業者

お金の流れとしては「投資家→maneoマーケット→グリーンインフラレンディング→バイオマス発電事業者」となります(仕組みについてはこちらの記事もご参照ください)。

実際に資金を使うのはバイオマス発電事業者ですが,投資家から資金を集めるのはmaneoマーケットです。そしてmaneoマーケットは金融商品取引法に基づき,投資家に正しい情報を提供する義務があります。

ソーシャルレンディングで貸し付けられた資金は契約上,原則的に目的外への使用ができません。
今回の問題の真相は,maneoマーケットを通じて集められた資金が,バイオマス発電事業者に「開発資金目的」に貸し付けられたものの,バイオマス発電事業者が他の目的に流用したことにあります。そのため,maneoマーケットは,結果的に投資家に正しい説明をしていなかった責任を問われることになったのです。

感情論ではなく,「どうすれば良い仕組みが築けるか」建設的な議論を

今回の件で私が感じたもう一つの問題点は,お金のことになるとどうしても感情論が先行してしまうことです。
インターネットを通じた新たな資金調達法として,投資家,借り手の両者からソーシャルレンディングへの期待が高まる中,本ニュースでも多くの方が反応を見せました。

その中には「ソーシャルレンディングは不要!システムが最悪!」といった意見も散見されました。

フィンテックによる金融システムはいずれも未成熟です。確かに,このような事件が起こることは必然とも言えることだったでしょう。実際に仮想通貨でも事件が起こったばかりですからね。

2018年2月に仮想通貨交換業大手のコインチェック社がXEM(NEM)流出事件を起こした際に,XEM(NEM)の技術自体に不備はなかったにもかかわらず,「仮想通貨は怖い!悪いものだ!」というような少し行き過ぎた見解が多く見られました。

それも貴重な意見ではありますが,問題が生じたときはそれを叩くだけでなく,「どうすれば安全で適切な仕組みが構築できるか」を議論することが大切と感じます。

今回の件では,十分な管理体制を敷いていなかったmaneoマーケットの責任が重いことは議論の余地がありません

しかし,maneoマーケットの投資家への説明が事実と異なる原因を作ったという点で,融資資金を流用したバイオマス発電事業者とそれを許したグリーンインフラレンディングの責任も重大です。
しかし,この点を規制する枠組みがなく,このような事態を防ぐには,現在,maneoマーケットのような仲介業者が目を光らせるしか方法がない状況です。

今回の事件では金融商品取引法,貸金業法といったこれまでの規制の枠組みでは「投資家から広く集めた資金を貸し付ける」というスキームに十分適応できていないことが浮き彫りとなりました。

適切な投資環境を作るためには,仕組みこそが重要です。どうすれば安全で適切なシステムができるのか。投資家にとってチャンスの一つであるソーシャルレンディング。規制の枠組みについて,建設的な議論が求められていると感じます。

 

◆ソーシャルレンディングの仕組みのまとめはこちら。投資家からお金を集める場合と融資を行う場合で2つの法律に基づいています。

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