FXでの失敗から学ぶ,投資スタンスと行動経済学の落とし穴

私の投資戦略
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なまずんです。

今はインデックス投資を中核に再現性の高い投資法を心掛けていますが,大学生の若かりし頃(20~21歳)にFXでちょっとした失敗をしています。

あまり振り返ってこなかった過去を今の私から振り返ります。

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FXを始めるまでの経緯

FX(外国為替証拠金取引)とは,通貨の売買を差金決済により取引するものです。証拠金を業者に預託した上で,外国為替の売買による差益を受け取り,差損を支払うものです。

始めた経緯はネット上の広告と,「儲かる!」という信憑性のあいまいな体験談でした。アフィリエイト広告だったのだと思います。

当時の私は上京して数年,仕送りや奨学金,アルバイト収入で生活費をやりくりし,毎月の貯蓄はほとんど増えない時期でした。なんとか投資でお金を増やしたいと思っていました。

投資の知識がないながらに,さまざまな投資法を調べました。原資の少ない自分には株式投資などは難しいとわかり,「登録&入金で数千円のキャッシュバック!」という営業文句にうまく誘導され,FXデビューを果たしました。

手法は本を買って勉強した

私はそれなりに慎重な性格なので,いきなり全財産をドーンとつぎ込むようなことはしていません(ブログ的には面白いんですけれどね)。

まずは簡単そうな書籍を購入してテクニカル分析を勉強しました。ファンダメンタルズよりなんとなく簡単だと思ったからです。長期と短期の移動平均線が交差するタイミングでポジションを作るとか,ボリンジャーバンドの2σに着目するとか,そんな勉強をしました。レバレッジを掛けすぎず,ポジションを持ったら急な動きに備えて逆指値注文を入れておくなどの策もきちんと学びました。

また,実践はしませんでしたが,高金利通貨を購入し金利差を得るスワップポイントについても知りました。

そして貯蓄の半分,10万円を投じてゼロサムゲームの戦場へ。

10万円が8万円になったところで,やめました

FXはその特性上,ゼロサムゲーム(市場の全参加者の損益を合計するとゼロになる取引)です。投資家目線では手数料がかかる分,マイナスサムになります。

そのため,多くの投資家は損を被ります。当時の私でもそれはわかっていたのですが,なぜか負けないような気がしていました。

少額をほぼ毎日取引して,開始1週間で10万円の原資が11万円になったときには「私には才能がある!」と調子に乗ったものです。数日後,すぐに10万円に戻りました。

そのままずるずると成績は悪化し,開始3週間で9万円に。少しでも含み益が出ると利確し,含み損はなかなか損切りできずに傷口が広がっていきました。大学の講義中もたびたび為替を確認するなど,起きているときは為替のことばかり考えてしまう状態でしたから,徐々に疲労も蓄積しました。

最終的には原資を大幅に割り込む8万円ほどで,「才能がなかった…」との言葉を残して退却となりました。

判断の間違いと行動経済学の落とし穴

まずは,原資が全くない中で,投資を短期的にお金を増やす手段と考えたのが間違いでした。

もちろん,長期的な資産形成を念頭に置いて投資を行うのであれば,今は100円から買える投資信託や1000円から買える株投資などがあります。長期投資は悪くない選択と言えるでしょう。

しかし,毎月の生活はギリギリで貯蓄がほとんどない当時の私が,なけなしの資産を短期的に増やそうとの発想で投資を始めたのは正しい戦略ではありませんでした。

結局,短期的に成果が出る可能性のあるFXに手を出し,見事に失敗してしまったのです。

また,この経験からは人間の心理に基づく取引の難しさを実感しました。私の取引は2つの点で,行動経済学の落とし穴にハマっています

1つ目は,全体ではマイナスになるのに「自分は大丈夫」,最初にうまくいったときに「自分には才能がある」と思い込んだ点。前者は自分に不利益な情報をスルーしやすい正常性バイアス,後者は具体的根拠もないのに自信を深める自信過剰バイアスです。いずれも認知バイアスに含まれます。

2つ目は,「利益はすぐ確定したくなり,損失はなかなか確定できない」という人間心理の特性です。これはノーベル経済学賞を取った心理学者,ダニエル・カーネマンのプロスペクト理論の骨子でもあります。株でも損切りが難しいのはこの心理が大きな壁になっています。

今振り返ると,「才能がなかった…」と言って退場した良い勉強代でした。当時は貯蓄の1割が消えたわけですから,だいぶ落胆したものです。

今のインデックス投資中心の戦略を取った背景には,こういった経験があったからとも言えそうです。

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