SBIアセットマネジメントが、「SBI・V」シリーズのインデックスファンドを5本、「SBI・iシェアーズ」シリーズのファンドを6本新規設定することを5月9日に発表しました(プレスリリース)。
募集開始は5月25日から、設定・運用開始は6月8日からです。いずれも米国籍ETFを購入する低コストのファンドです。
今回設定される11本のファンド
「SBI・V」シリーズは現在4本、「SBI・iシェアーズ」シリーズは現在1本がラインアップされています。今回設定されるファンドと合わせて紹介します。
「SBI・V」シリーズは全9本に
「SBI・V」シリーズに今回設定されるファンドは次の5本。既存のファンドを含めると「SBI・V」シリーズは全9本になります。
ファンド名 | 信託報酬(税込) | 対象指数 | 投資対象 |
SBI・V・米国増配株式・ インデックス・ファンド |
0.1238%程度 | S&P 米国ディビデンド・グロワーズ・ インデックス(円換算ベース) |
バンガード・米国増配株式 ETF (VIG) を購入していく |
SBI・V・先進国株式(除く米国) インデックス・ファンド |
0.1138%程度 | FTSE 先進国オールキャップ(除く米国) インデックス(円換算ベース) |
バンガード・FTSE 先進国市場(除く米国)ETF (VEA) を購入していく |
SBI・V・世界小型株式(除く米国) インデックス・ファンド |
0.1338%程度 | FTSE グローバル・スモールキャップ(除く米国) インデックス(円換算ベース) |
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF (VSS) を購入していく |
SBI・V・米国小型株式 インデックス・ファンド |
0.1138%程度 | CRSP・US・スモールキャップ・ インデックス(円換算ベース) |
バンガード・スモールキャップ ETF(VB) を購入していく |
SBI・V・新興国株式 インデックス・ファンド |
0.1438%程度 | FTSE エマージングマーケッツ・オールキャップ(含む中国A株) インデックス(円換算ベース) |
バンガード・FTSE・エマージングマーケッツ ETF (VWO) を購入していく |
「SBI・V」シリーズは米国バンガード社のETFを購入していくファンドシリーズです。以前は「SBI・バンガード」という名称でしたが、バンガード社の日本法人撤退を機に名称変更となりました。
公称されていませんが、シリーズ名の「V」の部分はバンガード(Vanguard)から取られたものでしょう。今回の新規設定ファンドも、いずれもバンガードのETFを買うものです。
既存のファンドのなかでは「SBI・V・S&P500」は非常に好調で、「SBI・V」シリーズ全体では純資産総額1兆円を超えています。
「SBI・V・新興国株式」は「楽天・新興国株式(楽天・VWO、信託報酬税込0.212%)」と同じ運用方法で、正面から競合するファンドです。運用が始まってみないとわかりませんが、「SBI・新興国株式」のほうが信託報酬が安いことから、投資家にとってより有利な選択肢となりそうです。
なお、「SBI・V・新興国株式」はよく似た名称で「SBI・新興国株式(雪だるま)」という商品があるため、購入予定の人は誤って買わないように要注意です。
その他に新規設定されたものは楽天のシリーズとまったく同じ運用手法のものはなく、米国の連続増配株式を組み入れたVIGなどはSBIのシリーズのみでの設定です。
また、楽天のシリーズには米国を除く全世界株式の「楽天・全世界株式(除く米国)(楽天・VXUS)」がありますが、今回SBI・Vシリーズには米国を除く先進国株式のVEAに連動するファンドが設定されました。
「VXUS(米国を除く全世界株式)=VEA(米国を除く先進国株式)+VWO(新興国株式)」なので、この2つのファンドをバランスよく買えば対応させることはできます。
「SBI・先進国株式(除く米国)」は米国株ファンドのみを買ってきた投資家が、米国株以外にも分散投資するときに有力な候補になるはずです。新興国も含めたければ、手間の点では楽天のVXUSを買うファンドのほうが楽ですが、信託報酬ではSBIのほうが低コストです。
全体的にも信託報酬はSBIアセットマネジメントのほうが安く、どのファンドも非常に低コストな設定になりました。
「SBI・iシェアーズ」シリーズは全7本に
「SBI・iシェアーズ」シリーズに今回設定されるファンドは6本。既存のファンドを含めると「SBI・iシェアーズ」シリーズは全7本になります。
ファンド名 | 信託報酬(税込) | 対象指数 | 投資対象 |
SBI・i シェアーズ・米国総合債券 インデックス・ファンド |
0.0938%程度 | ブルームバーグ米国総合債券 インデックス(円換算ベース) |
iシェアーズ・コア 米国総合債券市場ETF(AGG) を購入していく |
SBI・i シェアーズ・米国投資適格 社債(1-5 年)インデックス・ファンド |
0.1038%程度 | ICE・BofA・1-5 年米国社債 インデックス(円換算ベース) |
iシェアーズ 米ドル建て社債 1-5 年ETF(IGSB)を購入していく |
SBI・iシェアーズ・米国ハイイールド債券 インデックス・ファンド |
0.2138%程度 | ICE・BofA・USハイイールド・コンストレインド・ インデックス(円換算ベース) |
iシェアーズ・ブロード・米ドル建てハイイールド社債ETF(USHY) を購入していく |
SBI・i シェアーズ・ゴールドファンド (為替ヘッジあり) |
0.1838%程度 | ― | iシェアーズ・フィジカル・ゴールドETC(IGLN) を購入していく |
SBI・i シェアーズ・ゴールドファンド (為替ヘッジなし) |
0.1838%程度 | ― | iシェアーズ・フィジカル・ゴールドETC(IGLN) を購入していく |
SBI・i シェアーズ・ 米国短期国債ファンド |
0.1138%程度 | ― | iシェアーズ・0-3 ヶ月・米国国債ETF(SGOV)を購入していく |
「iシェアーズ」はブラックロック・グループが運用するファンドのブランド名で、「SBI・iシェアーズ」はブラックロックが運用するETFなどを購入していく運用体制です。
既存のファンドはバランスファンドですが、新規設定のファンドは債券または金を投資対象とするものです。ブルームバーグ米国総合債券インデックスに連動するAGGを買うファンドも含まれています。
同指数に連動するETFにはAGGのほか、バンガードのBNDもあり、いずれも人気のETFです。
債券、ましてや金に投資する金融商品には全然詳しくないのですが、これまでにAGGやBND、IGLN単体を買っていくファンドは存在しないようですので、新たな選択肢が増えました。しかも、AGGを購入する「SBI・i シェアーズ・米国総合債券」は信託報酬が税込で0.1%を切る超低コストです。
生涯投資枠がある「新しいNISA」にはETFより投信がオススメ
スペックを見る限りでは、「SBI・V」シリーズ、「SBI・iシェアーズ」シリーズとも、米国籍ETFを直接買付することの代替になりそうです。
いずれも、「新しいNISA」の成長投資枠では買えるようになると思われます。ETFでは分配金を再投資すると生涯投資枠をそれだけ使ってしまいますが、ファンド内で再投資する投資信託は生涯投資枠の有効利用という点で優秀であり、ETFで運用している投資家も「新しいNISA」においては投資信託を検討してもいいと思います。
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