この10日間ほどに超低コストインデックスファンドの設定のニュースが続々と飛び込んできました!
SBIアセットマネジメントから日本株式が2本、PayPayアセットマネジメントから先進国株式・全世界株式が各1本、野村アセットマネジメントが全世界株式・米国株式・新興国株式各1本と、日本株式2本が新規設定されます。
SBIアセットマネジメントの日経225、TOPIX連動新ファンド
SBIアセットマネジメントが発表したのは、「SBI・iシェアーズ」シリーズの2本。「SBI・iシェアーズ」シリーズは、ブラックロック社が運用するETF「iシェアーズ」シリーズを購入していく運用方法のファンドです。
バンガード社のETFを購入する「SBI・V」シリーズと同じしくみのファンドですね。
「SBI・iシェアーズ」シリーズは以下の記事で紹介しているようにこれまで7本がありましたが、ここに下表の日本株式のファンドが加わり、7月12日から運用が始まります。
ファンド名 | 信託報酬(税抜) | 対象指数 | 投資対象 |
SBI・iシェアーズ 日経225インデックスファンド |
0.103% | 日経平均株価 | iシェアーズ・コア 日経225ETF(1329) |
SBI・iシェアーズ TOPIXインデックスファンド |
0.103% | TOPIX | iシェアーズ・コア TOPIXETF(1475) |
TOPIXおよび日経平均株価に連動する他社のインデックスファンドはこれまで、信託報酬は年率0.130%(税抜)が最低水準でした。「SBI・iシェアーズ」の2ファンドは投資先ETFの経費率0.045%(税抜)と信託報酬0.058%(税抜)を含めて0.103%と発表されており、これまでの最低水準を約2割引き下げることになりました。
「SBI・iシェアーズ」シリーズには日本株式がなかったので、新しいNISAを前にラインナップの充実を図ってきたような印象ですね! 最低コストを大幅に更新しているのも好印象です。
日本株式のインデックスファンドは信託報酬が低いファンドの成績が優秀である傾向が顕著です。ETFを購入する方式のこれらのファンドの運用が始まったら運用にも着目していきたいと思います。
PayPayアセットマネジメントから先進国株式、全世界株式が登場
PayPayアセットマネジメントが発表したのは、「PayPay投資信託インデックス」シリーズの2本。ETFを購入する方式で、先進国株式と全世界株式インデックスファンドが設定されました。運用開始は6月28日で、概要は次の通りです。
ファンド名 | 信託報酬(税抜) | 対象指数 | 投資対象 |
PayPay投資信託インデックス 先進国株式 |
0.0906%程度 | FTSE Developed All Cap Index | シュワプ・U.S.ブロードマーケットETF(SCHB) SPDRポートフォリオ先進国株式(除く米国)ETF(SPDW) |
PayPay投資信託インデックス 世界株式 |
0.0983%程度 | FTSE Global All Cap Index | バンガード・トータルストックマーケットETF(VTI) SPDRポートフォリオ先進国株式(除く米国)ETF(SPDW) SPDRポートフォリオ新興国株式ETF(SPEM) |
「先進国株式」は日本を含む先進国株式、「世界株式」のほうは日本を含む全世界株式が投資対象です。
これらも非常に低コストで、先進国株式では期間限定で信託報酬ゼロの「野村スリーゼロ先進国株式投信」、全世界株式は「Tracers MSCIオール・カントリー」(0.0525%)に次ぐ業界最低水準です。
低コストはうれしいのですが、両ファンドとも複数のETFを組み入れて運用するものです。先進国株式は全米株式と米国を除く先進国株式のETFの2本で運用され、全世界株式のほうは米国はVTI、米国を除く先進国、新興国のETFの3本で運用されます。
先進国および全世界をカバーできてはいますが、VTI以外はFTSEの指数とは異なることから、指数にピッタリ追従する運用は難しいのではないかと思われます。
先進国株式と全世界株式で、米国部分の投資先ETFが異なる理由はよくわかりません。先進国株式は、同指数に連動する「SBI・先進国株式(雪だるま)」と同じ構成なので、これに揃えたのかもしれません。
PayPayアセットマネジメントの商品はあまり売れていませんが、このファンドはどうなるでしょうか。また、
野村アセットマネジメントからは全世界株式、米国株式などが登場
野村アセットマネジメントが発表したのは新シリーズで、「はじめてのNISA」シリーズの5本です。Funds-i Basicという愛称も与えられています。
ファンド名 | 信託報酬(税抜) | 対象指数 |
はじめてのNISA 日本株式インデックス(日経225) |
0.130% | 日経平均株価 |
はじめてのNISA 日本株式インデックス(TOPIX) |
0.130% | TOPIX |
はじめてのNISA 米国株式インデックス(S&P500) |
0.0852% | S&P500 |
はじめてのNISA 全世界株式インデックス(オール・カントリー) |
0.0525% | MSCI ACWI |
はじめてのNISA 新興国株式インデックス |
0.169% | MSCI Emerging |
いずれも主流となっている指数への連動をめざし、かつ自前のマザーファンドでの運用です。また、信託報酬はいずれも発表時点の最安に揃えてきています。
とくに、全世界株式は「Tracers MSCIオール・カントリー」に揃えてきており注目しています。
すでに話題になっているとおり、「Tracers MSCIオール・カントリー」は指数の利用料などが信託報酬外になっているのですが、現状では「はじめてのNISA・全世界株式」ではそのような記載がありません。
◆Tracersの低コストに関する記事はこちら。
野村アセットマネジメントのファンドはこれまで、コスト面で不利だったために成績が他のファンドに劣後していましたが、低コストになれば期待できるものと思います。
運用開始は7月10日。スタート時は野村證券のみでの取り扱いのようで、今後大手ネット証券でも取り扱われるかどうかがポイントですね。
新しいNISAのスタートを前に各社力を入れている!
2018年に始まったつみたてNISAの開始前後でも同じ現象が起こりましたが、2024年1月から始まる新しいNISAを前に、より低コストな商品のラインナップが進んできました。
NISA制度、とくにつみたてNISAや新しいNISAの積立投資枠では長期投資が掲げられています。低コストでも、多くのシェアを得れば長期にわたって収益が見込めることから、どの会社も力を入れているのでしょう。
といっても、これだけ多くのファンドのすべてに資金が集まるわけではなく、ものによっては長期運用できない場合も出てくるでしょう。どのファンドに投資すべきか、純資産総額やその運用会社の実績ももとに判断する必要があるのはこれまでと同じです。
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