資産運用は「お金を増やすテクニック」の話だと思われがちです。しかし、私は資産運用について考えるときに、もう少し手前から考えたほうがよいと思っています。

そもそも、なぜ私たちは貯蓄や投資をしなければいけないのでしょうか。
この問いは、「お金と時間という限りある資源をどう使い、どう生きるか」という人生設計の話につながっています。これを考えることは運用の方針を定めることにもつながります。





私は資産運用を、単に「お金を増やす」という視点ではなく、「経済的に安全な状態をつくり、維持すること」を実現するための手段だととらえています。
人生は選択の連続です。就職、結婚、住まい、子育てといった大きなライフイベントから、日常の買い物や趣味まで、あらゆる選択にお金は少なからず影響します。
お金に関する不安に振り回されるのではなく、お金をうまく活用することで人生の選択肢を広げていく。そのための第一歩が、貯蓄と投資について考えることだと思います。
貯蓄をしなければいけない理由は何か





貯蓄の必要性を理解するには、まずは収入と支出を時間軸でみていく必要があります。
私たちの人生には、働いて収入を得る期間と、そうでない期間がありますよね。多くの人は20代前半から60代半ばくらいまでの約40年間を働いて過ごしますが、これは人生の約半分の時間です。現代では、退職後の期間が20~30年、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。
かつては一般的なサラリーマンであれば、勤め上げた会社の退職金と年金で老後資金の大部分をまかなえました。しかし、終身雇用の時代は終わり、年金も現在の受給世代より減る可能性があるのが現実です。
寿命が延びること自体は喜ばしいのですが、そのぶん老後に必要な資金の総額は増えています。また、退職後の生活だけではなく、働いている期間のなかでも、結婚・出産や教育費、自動車の購入、自分や家族の突然の病気の治療費や介護費、旅行や趣味のためのまとまった費用など、大きな支出は次々とやってきます。





最低限、生きている間にお金がなくなってしまうことは避けたいものです。だからこそ、自分自身で計画的に準備する重要性がかつてないほど高まっているのです。
すなわち、現在の収入は、現在の生活費だけをカバーするものではありません。「現在の収入=現在の支出+将来の支出」という構造になっています。
老後資金や教育資金はその典型例ですが、共通して言えるのは、このような大きな資金は短期間で用意するのが難しく、長い時間をかけて少しずつ準備するのが現実的だということです。大金を一気に準備するよりも、早い段階から少しずつ積み上げるほうがはるかに楽ですし、心理的な負担も軽くなりますよね。
投資をしなければいけない理由は何か





さて、将来のために長期間にわたってお金を準備する必要があるとして、その置き場所はどこがよいのでしょうか。
銀行預金は安全性が高い反面、現在の金利水準ではお金が効率的に増えるわけではありません。
ここに、貯蓄だけでなく投資が必要になる理由があります。株式をはじめとするリスク資産は、長い目で見れば銀行預金よりも高いリターンを期待できます。
長期間使わない資金をただ銀行に寝かせておくのは、安全なようでいて、活用の機会を逃しているという意味ではもったいない選択です。





「当分使わないお金」は、できるだけ期待リターンの高いところに置いておくほうが合理的ですよね。そのため、私はこの資金を積極的に投資に回しています。
もちろん、リスク資産には価格変動がつきもので、想定外の結果になる場合があります。そのため、投資に回す金額は自分が許容できるリスクの範囲内で設定する必要があります。
また、基本的に資産運用の成果は、「運用金額」「運用期間」「収益率」の3つで決まります。運用期間が長くなるほど、リターンは積み上がり、複利の効果も大きくなります。





つまり、準備を始めるのが早ければ早いほど、投資は時間を味方につけることができます。
老後が遠くなったことは不安の種でもありますが、行動する人にとっては運用期間が長く取れるというチャンスでもあるのです。
投資の目的は「使えるお金の総額」を増やすこと





ここまでの話から、私は投資をすることで得られるメリットは2つあると考えています。
第1のメリットは、「当分使わないお金を増やせること」です。
運用によって貯めたお金が増えれば、退職後の生活をより豊かにしたり、退職時期を前倒しにしたりする選択肢が生まれます。言い換えれば、労働による収入を増やさなくても、人生において使えるお金の総額を増やせるわけですね。
また、生活レベルを維持したり、長い期間働いたりして、経済的な安全性をより高める選択肢もあります。
◆人生の前半戦で頑張ると選択肢はかなり広がります。







しかし、投資の効用はそれだけではありません。
第2のメリットとして、「いま使えるお金を増やせること」があります。
これがどういうことなのか、先ほどの「現在の収入=現在の支出+将来の支出」の式で考えてみましょう。
「将来の支出に備えて取っておいたお金」が投資によって増えるのであれば、そもそも将来のために取っておく金額を少し減らしても問題ないことになります。そうすると、その余った分を現在の生活に使うことができますよね。
たとえば、老後資金として3,000万円が必要だとしましょう。運用を一切しなければ、その全額を労働収入から貯めなければなりません。しかし、長期の運用によって元本が1.5倍に成長すると考えれば、準備すべき資金は2,000万円で済みます。差額の1,000万円は、現在の生活を充実させるために使ってもよいわけです。
資産運用によって将来の資金に余裕ができれば、その一部はいまの生活に還元できる。投資というと「将来のためにいまを我慢する発想」になりがちですが、俯瞰的に見ればそうではないのです。





いまお金をたくさん使いたい人ほど、投資に取り組むメリットが大きいと言えますね。
資産形成は、現在と将来の生活の質を同時に高めていくための行為でもあるのです。
もちろん、投資に多くの資金を振り向ければ、将来の投資収益はほぼ確実に大きくなります。どれだけ投資に回すかは、現在の生活とのバランスのなかで、自分が納得できる水準を見つけることが大切でしょう。
経済的に安全な状態をつくり、維持するために





経済的に安全な状態をつくり、維持していくためにまず重要なことは、家計を適切に管理することです。
自分の収入と支出を把握し、「いま使うお金」と「将来に送るお金」の配分を意識する必要があります。そのうえで、将来に送るお金は投資に回していく。これが基本的な考え方です。
強調しておきたいのは、投資は資産を増やすための「攻め」の手段であると同時に、将来経済的に困らないだけの資産を早期につくり、維持するための「守り」の手段でもあるということです。また、将来の物価上昇から資産価値を守るという意味や、自分にとって大事な時間を守るという意味もあります。





自分の持つスキルで長く稼ぎ続けられるかどうかもわからない現代社会においては、資産は将来の不確実性に対するバッファーにもなりますね。
一方で、リターンを得られる可能性だけに注目して、過度にリスクを取った運用(いわゆる博打のような投資)はこの目的に反します。人生設計という次元で将来の支出をカバーできればよいのであり、数年単位で大きな収益を得ようと無理をすると、目論見が外れたときのダメージもそれだけ大きくなってしまいます。
短期的に大きなリターンを狙って集中投資をしたり、レバレッジをかけすぎたりして、「外れたら自分や家族が経済的に困窮する」という事態は避けなければなりません。繰り返しますが、資産運用の目的を「経済的に安全な状態をつくること」と位置づけるならば、その手段もまた安全寄りであるべきです。
資産管理の最低限の目標は、生きている間にお金がなくならないことです。資産から得られる収益が生活費を上回る状態(いわゆる経済的自立)を達成できれば理想的ですが、そこまでいかなくても、うまく運用で資産を活用し、計画的に取り崩しながら生涯を通じてお金が足りる状態であれば問題ありません。





現在私が知る限りでは、インデックス投資が運用手段として最もよい方法だと考えています。
私は25歳という比較的早い段階から資産運用に取り組み、結婚してからも夫婦で実践する仕組みをつくっておいたことで、将来の選択肢は確実に広がっていると感じています。
やってきたことは、現在の収入を「いま」と「将来」に配分し、将来の分をなるべく有利な場所に置いておく。それだけのことです。





そのシンプルな行動を早くから長く続ければ、人生から経済的な心配を減らし、経済的な自由を手にすることができるでしょう!
◆これまでの運用の記録です。


2017年11月以来の毎月末時点での資産状況の経過です。


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