2023年7月8日に開催された「インデックス投資ナイト」では、経済評論家の山崎元さんが1人で登壇し、「インデックス投資家の皆さんへのメッセージ」という題で講演しました。
◆インデックス投資ナイトの概要と当日の内容
その概要は私のブログでも上記の記事で少し紹介しましたが、8月21日に山崎さんがご自身のnoteでその原稿を公開しています。
内容はご本人のnoteをご覧いただくとして、この山崎さんのメッセージを読んで私が感じたことをまとめていきます。
インデックス投資をどう見て、どう付き合うか
当日のメッセージは、総じてインデックス投資をどうとらえ、どのように付き合っていくかを指南する内容でした。
・インデックス投資は初心者向け、入門者向け
・インデックス運用が良いのは投資理論における特殊な場合だけ
・右肩上がりの相場でないとダメ
・インデックス運用の割合が増えると市場の価格発見機能が阻害される
インデックス投資についてよく言われるこのような主張はすべて誤りで、インデックス投資家一人ひとりがきちんと反論でき、インデックス投資家であることを誇れるようであってほしい。
というのが山崎さんの最初のメッセージ(上記はnoteからの私なりの要約です)。
インデックス投資は初心者や入門者でも経験者と同じように実践できる面がありますが、それは「初心者向け、入門者向け」とは意味が異なります。より良い次のステップがあるわけではありませんよね。
また、インデックス運用そのものの優位性は次のメッセージのように、特定の場合や相場に依存するわけでもないのです。
そしてこの理解のためにも、①論理的に正しい結論を自分で考えて出すべき、②n=1の「経験」の一般性を疑う知性を持ってほしい、③インデックス投資家は合理的な存在なのだから、他人への寛大さを持ちましょう。
という内容が続きます。
①は、例えばアクティブ運用の何が問題なのか、ドルコスト平均法は有利なのか、リバランスによる効果はあるのか、投資期間が長いほどリスクは低減するのか、低成長の国の株式のリターンは低いのかなどの論点について、情報を取捨選択しながら自分なりに結論を出す作業です。
条件を定めれば、論理的に正しい結論は1つになるというのが山崎さんの主張で、もちろんこれは正しいと思います。条件が同じであれば、「最適な投資法は人それぞれ」なんてことにはなりません。
②は、自身や他の投資家の経験は高々1回の試行に過ぎず、一般化できるものではないという意味です。個々の結果を一般論に置き換えて話をしてはいけないということですね。
私の情報発信も含めて、一人ひとりの「経験」は一般論としての価値は少ないかもしれません。が、他人の「経験」を一般論ではなく、「経験」としてとらえて活用する道は重要です。
③では信託報酬のわずかな差にこだわるインデックス投資家も例にあがっています。近年はインデックスファンドのコストが一段と下がり、すでに差が僅かになってきたのは事実です。
ですが、インデックス運用におけるリターンの向上にはコストの低減が重要です。そうである以上、低コストを徹底するファンドを選ぶことはインデックス投資家ができる数少ない投資判断の1つであり、合理性という点でも譲れない点ではないかというのは私の意見です。
ほかにも、投資法の違う人とも「人としては」仲良くすればよい、という話もここに入っていました。これは私も同感です。
他人は他人のやり方でやればいいでしょう。他人の行動によって私のやっていることが正しいかどうかが変わるわけではありませんので。
その他にも、第1回以来のインデックス投資ナイトに対する思いや、投資情報の取捨選択、そして「予想」と「希望」を意識的に切り分けて行動しようという提言がありました。
補足すると「予想」=客観的な情報に基づく未来、「希望」=主観的な思い、ですね。詳しくはnoteを読んでみてください。
また、noteでは幸いにも、インデックス投資ナイト当日よりも現在の山崎さんの体調は良いようです。この点にはひと安心。来年のインデックス投資ナイトにもぜひ登壇してもらいたいですね。
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