10月15日,三菱UFJ国際投信が,低コストインデックスファンドシリーズ「eMAXIS Slim」の信託報酬の引き下げを発表しました。(プレスリリース,10月15日)
いずれのファンドも,すでに業界のなかでかなり低コストな部類ですが,「業界最低水準の運用コストをめざす」というスローガンのもと,最も信託報酬の低いファンドにぴったりと追随してきた実績は大いに評価に値します。
今回,信託報酬の引き下げ対象になるのは以下の4ファンドです。
信託報酬引き下げの概要
今回の信託報酬引き下げは,先に発表されていた「SBI・バンガード・S&P500」「SBI全世界株式(雪だるま)」への対抗です。
米国株式は一気に4割超の引き下げ
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は2018年7月の設定から1年3か月ほどで,純資産総額約320億円を集める超人気ファンドです(図は三菱UFJ国際投信ウェブサイト「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」より)。
今回の引き下げは,2018年8月に,信託報酬年率0.088%(税抜)という画期的な低コストで新規設定が発表された「SBI・バンガード・S&P500」への対抗です。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬は年率0.150%から0.088%に引き下げとなります。引き下げ率として41.3%という大きな変更です(図は上掲のプレスリリースより)。
なお,純資産総額500億円を超えると発動される仕組みは,今回は変更箇所がありました。これまでは500億円以上の部分は0.005%,1000億円以上の部分は0.01%の引き下げ率でしたが,それぞれ0.0005%,0.001%となると発表されています。
全世界株式3ファンドも業界最低水準に
こちらは「SBI全世界株式(雪だるま)」への対抗です。
全世界株式クラスは2019年7月に,「たわらノーロード全世界株式」の設定を受けて引き下げたばかりでした。徹底的かつ迅速な対抗措置には好感を持てます。
年率0.120%から,0.104%に引き下げとなりました(図は上掲のプレスリリースより)。
引き下げ開始日
2019年11月12日から新しい信託報酬が適用されます。
どんどん進む低コスト化にはいつも驚かされる
今回は他社への対抗措置の発表が遅かったことが少し話題になりましたが,継続的かつ機動的な対抗措置は,「eMAXIS Slim」シリーズの定着に大きな役割を果たしています。
信託報酬の低下はつみたてNISA開始前後のこの数年にかけてもどんどん進み,驚異的な水準まで達しています。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)から,委託会社である三菱UFJ国際投信が得られる信託報酬はわずかに0.0340%です。純資産総額が320億円としても年間1088万円であり,もはやこの規模の会社にとっては収益がないのも同然です。
それでも他社ファンドへ対抗する背景には他に販売している高コストファンドや巨額の機関向けファンドからの収益があることは予想されますが,それにしても驚くべき低コストとなりました。いち消費者としてはありがたい限りです。
◆引き下げ対象の4ファンドは,いずれもつみたてNISA対象商品です。他社ファンドと比較するにはこちらの記事。
最後に,私がすでに読んだ記事を紹介します。みなさん情報収集と執筆速度が早すぎで,すばらしeMAXIS Slim!
◆しんたろうさん
◆青井ノボルさん
◆水瀬ケンイチさん
◆アウターガイさん
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