「たわらノーロード 全世界株式」の新規設定と全世界株式クラスのファンド比較(2019年7月)

190724たわらノーロード全世界株式の新規設定と全世界株式クラスのファンド比較 インデックス投資
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◆読者の皆さまへ
本記事で紹介した信託報酬率は執筆時点(2019年7月)であり,現在は変更されています。全世界株式インデックスファンドの比較については,以下の記事をご参照ください。
https://game-of-the-weak.com/tax/nisa/2426/#toc8

2019年7月22日に,アセットマネジメントOneが提供する「たわらノーロード 全世界株式」が設定され,購入できるようになりました。

アセットマネジメントOneはインデックスファンドシリーズ「たわらノーロード」を擁し,近年の信託報酬引き下げ競争の引き金の一つになった運用会社です。最近は他社のインデックスファンドの低コスト化が進み,話題になることが減りましたが,私も「たわらノーロード 先進国株式」を保有しています。

新しく設定された「たわらノーロード 全世界株式」は金融庁が認可するつみたてNISA対象ファンドでもあります。同じくつみたてNISA対象の全世界株式ファンドとの比較を交えてまとめます。

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たわらノーロード 全世界株式とは

ベンチマーク:MSCI AWCI(含む日本)

米国MSCI社が提供するインデックス「MSCI AWCI(含む日本)」に連動する運用成績をめざします。先進23か国と新興24か国が時価総額比で組み入れられています。日本株,先進国株,新興国株の全てを合わせた指数です。

人気のインデックスで,つみたてNISA対象ファンドでは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」,「ステート・ストリート全世界株式」が同じインデックスを採用しています。

信託報酬等のコスト:業界最低の0.120%

2019年7月22日時点の信託報酬は同種のファンドの中で業界最低の0.12%(税抜)という驚きの低コストです。

同種ファンドの中で業界最低なだけでなく,「たわらノーロード」シリーズの他の株式ファンド(日本株,先進国株など)の中でも信託報酬は最低です。

全世界株式ファンドでは,同一シリーズの日本株,先進国株,新興国株のファンドを自分で時価総額比で合成するほうが信託報酬が低くなることが一般的ですので,この点は他社にはない特徴です。

取扱販売会社

楽天証券で取り扱いがあります。取扱販売会社はこれから広がるのでしょうか。

類似ファンドとの比較

つみたてNISA対象ファンドのうち,日本を含む全世界株式クラスでは「楽天・全世界株式」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に人気が集まっています。ベンチマークが2種類ありますが,指数の動きに大きな差はありません。

信託報酬(税抜) 純資産総額 設定日 ベンチマーク
たわらノーロード 全世界株式 0.120% 0.00億円 2019/7/22 MSCI ACWI Index
楽天・全世界株式 0.210% 240.22億円 2017/09/29 FTSE Global All Cap Index
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 0.120%(8/9から) 49.87億円 2018/10/31 MSCI ACWI Index
SBI・全世界株式 0.142% 29.93億円 2017/12/6 FTSE Global All Cap Index
ステート・ストリート 全世界株式 0.480% 10.95億円 2017/9/8 MSCI ACWI Index

(純資産総額は2019年7月23日)

楽天・全世界株式は,米国バンガード社の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(ティッカー:VT)」を買い付けるファンドです。VTの直接購入より経費はかかるものの,税制上の利点や配当金再投資の手間が少ない,少額から購入できるなど積立投資に適した商品です。国内の類似ファンドより信託報酬は高いですが,ブランド力のあるVTを,気軽に保有したい支持者に買われている印象です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は,信託報酬の低さが魅力です。将来にわたって,他社同種ファンドと同水準に信託報酬を引き下げると宣言しているため,徹底して低コスト商品を保有したい層に人気です。

商品性の高い楽天・全世界株式とは異なり,新規設定されたたわらノーロード 全世界株式は低コスト戦略ですので,同じく低コスト戦略を掲げるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と同じ土俵で戦うこととなります。すでにeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を保有する人はあえて乗り換えることは少ないでしょうが,安定して運用し,つみたてNISAなどで定期購入されることが増えれば期待できるのではないでしょうか。

つみたてNISAに適した商品となる可能性

全世界株式型のインデックスファンドは,つみたてNISA口座や一般NISA口座で,時価総額比で世界分散投資したい人に適した商品です。

つみたてNISAでは購入した非課税投資枠について,スイッチング(保有商品の変更)ができません。したがって,日本株,先進国株,新興国株の保有比率をリバランスで調整するのは簡単ではありません。そこで,ファンド内で常に調整してくれる全世界株式型の商品にはリバランス不要という大きな強みがあります。

また,課税口座での購入であっても,リバランス不要な仕組みは,簡便に世界分散投資したい人にとってとても魅力的です。

楽天・全世界株式の設定来のデータでは,純資産総額が一次関数的に増加していることがわかります(楽天投信投資顧問のページより)。

楽天・全世界株式純資産総額の推移

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の純資産総額の推移も同様です(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のページより)。

eMAXIS Slim全世界株式純資産総額の推移

全世界株式ファンドの選択肢の一つになることを期待

信託報酬がたわらノーロードシリーズの中で,また同種ファンドの中で最も低い設定でのスタートとなった「たわらノーロード 全世界株式」にはいち投資家として大きな期待を持っています。購入するかどうかの検討は運用成績をしばらく見てからとしますが,全世界株式ファンドを購入する際の新たな有力な候補が登場したことにはうれしく感じます。

◆つみたてNISA対象ファンドの比較一覧はこちら。

【2020年12月・つみたてNISA対象】インデックスファンド比較・一覧【過去リターン・信託報酬,実質コスト,純資産総額など】
この記事は2020年版です。最新版は以下のページからどうぞ。 この記事では,つみたてNISAで購入できるインデックスファンドのリターン・信託報酬・実質コスト・純資産総額・運用期間な...

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