
この記事は主要なインデックスファンドのリターンを比較するシリーズの「新興国株式」編です。NISAのつみたて投資枠対象の商品を取り扱っています。



インデックスファンドのリターンは、「配当込み指数の動き」と「運用のコスト・誤差」によって決まります。同種のインデックスファンドであれば指数の動きは同じですので、運用のコストや誤差がなるべく小さいファンドが投資家にとって優れた商品ということになります。





そこで、この記事では、基準価額の推移をもとにこれまでの運用状況を比較しています。
最終的な損益を分析することで、見えないコスト面も含んだファンドの総合的な実力を知ることができます。
2026/09/08 2026年8月末の情報にて新規公開。
新興国株式インデックスファンドには、3種類の対象指数(ベンチマーク)があります。2種類は時価総額加重平均型の株価指数で、1種類はスマートベータ指数です。
MSCI Emerging Market Index
MSCI Emerging Market Index(MSCIエマージング・マーケット指数)は、米国MSCI社が算出する時価総額加重平均型の株式指数です。新興24か国・地域の約1,200銘柄からなり、大型株・中型株を中心に、対象国・地域の時価総額の約85%をカバーしています。
組み入れられる割合が大きいトップ5か国・地域は次の通りです(2026年8月末時点)。
| 国 | 構成比 |
| 台湾 | 27.44% |
| 韓国 | 20.84% |
| 中国 | 20.62% |
| インド | 11.25% |
| ブラジル | 3.94% |





「新興国」というと世界各地に広がるイメージがありますが、約80%はアジアの4か国・地域です。
組入上位5社は、TSMC(台湾)、サムスン電子(韓国)、SKハイニックス(韓国)、テンセント(中国)、アリババ・グループ(中国)と続きます。業種別では情報技術が4割以上を占めているのが新興国指数の実態です。
MSCI Emerging Market指数に連動するインデックスファンドは以下のとおりです。
なお、信託報酬は税抜、純資産総額の単位は百万円。ファンドは、①信託報酬率が安い、②運用期間が長い(設定日が古い)順に並べています。また、緑色の欄は「前月末までの◯年間の総リターン」を示し、黄色の欄は過去5年における1年ごとのリターンを示しています。
| 名称 | 信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
前月までの長期リターン | 過去5年における1年ごとのリターン | 過去1年の 資金流入 (概算) |
総経 費率 |
決算日 | 設定日 | 備考 | ||||||||
| 過去 1年 |
過去 3年 |
過去 5年 |
過去 10年 |
過去 15年 |
過去 1年 |
1~2 年前 |
2~3 年前 |
3~4 年前 |
4~5 年前 |
|||||||||
| JAバンクよりそいノーロード 新興国株式 |
0.13780% | 0.839% | 736 | 50.23% | – | – | – | – | 50.23% | – | – | – | – | 535 | 0.68% | 2026/04/27 | 2025/07/29 | 実質コストは1年あたりに換算後 |
| eMAXIS Slim 新興国株式インデックス |
0.13800% 以内 |
0.279% | 432,096 | 50.80% | 101.94% | 116.87% | – | – | 50.80% | 19.49% | 12.08% | 7.71% | -0.30% | 72,873 | 0.24% | 2026/04/27 | 2017/07/31 | 信託報酬は純資産総額2,500億円未満の部分は0.138%、2,500億円以上5,000億円未満の部分は0.1379%、5,000億円以上の部分は0.1378% |
| 楽天・エマージング株式 インデックス・ファンド |
0.13800% | – | 1,601 | 50.55% | – | – | – | – | 50.55% | – | – | – | – | 1,473 | – | – | 2025/07/18 | 初回決算日は2026/07/15 |
| たわらノーロード 新興国株式 |
0.16900% | 0.374% | 66,696 | 50.65% | 101.33% | 113.69% | 243.08% | – | 50.65% | 19.42% | 11.91% | 7.19% | -0.98% | 10,442 | 0.34% | 2025/10/14 | 2016/03/14 | |
| ニッセイ新興国株式インデックスファンド <購入・換金手数料なし> |
0.16900% | 0.345% | 8,670 | 50.38% | 100.58% | 115.57% | – | – | 50.38% | 19.20% | 11.90% | 7.90% | -0.40% | 633 | 0.31% | 2025/11/20 | 2017/10/13 | |
| はじめてのNISA・ 新興国株式インデックス |
0.16900% | 0.276% | 10,345 | 50.78% | 102.48% | – | – | – | 50.78% | 19.44% | 12.43% | – | – | 3,079 | 0.24% | 2026/06/03 | 2023/07/10 | |
| My SMT 新興国株式 インデックス(ノーロード) |
0.17000% | 0.384% | 10,329 | 50.51% | 102.10% | 117.43% | – | – | 50.51% | 19.59% | 12.28% | 7.78% | -0.18% | 3,025 | 0.35% | 2025/10/20 | 2018/01/12 | |
| インデックスファンド海外新興国 (エマージング)株式 |
0.25000% | 0.438% | 129,682 | 50.32% | 100.84% | 114.44% | 249.54% | 350.78% | 50.32% | 19.31% | 11.99% | 7.35% | -0.54% | 12,836 | 0.42% | 2025/11/17 | 2008/04/01 | |
| 三井住友・DC 新興国株式インデックスファンド |
0.34000% | 0.543% | 14,774 | 50.10% | 98.81% | 112.67% | 238.76% | 315.47% | 50.10% | 18.62% | 11.65% | 7.45% | -0.45% | 871 | 0.47% | 2025/12/01 | 2011/04/18 | |
| つみたて 新興国株式 |
0.34000% | 0.493% | 93,632 | 50.46% | 100.59% | 114.60% | – | – | 50.46% | 19.23% | 11.82% | 7.51% | -0.49% | 11,512 | 0.46% | 2026/06/25 | 2017/08/16 | |
| Smart-i 新興国株式 インデックス |
0.34000% | 0.646% | 19,492 | 50.07% | 99.77% | 112.51% | – | – | 50.07% | 19.10% | 11.77% | 7.22% | -0.78% | 2,856 | 0.60% | 2026/06/25 | 2017/08/29 | |
| SMT 新興国株式 インデックス・オープン |
0.60000% | 0.830% | 49,040 | 49.76% | 99.03% | 112.25% | 250.25% | 356.36% | 49.76% | 18.99% | 11.69% | 7.19% | -0.51% | -1,354 | 0.82% | 2026/05/11 | 2008/12/15 | 実質コストは1年あたりに換算後 |
| eMAXIS 新興国株式インデックス |
0.60000% | 0.794% | 67,589 | 50.07% | 99.03% | 111.80% | 247.60% | 352.03% | 50.07% | 18.91% | 11.54% | 7.22% | -0.75% | -68 | 0.76% | 2026/01/26 | 2009/10/28 | |
| 野村インデックスファンド・ 新興国株式 |
0.60000% | 0.759% | 198,282 | 50.64% | 101.82% | 117.31% | 256.97% | 363.51% | 50.64% | 19.32% | 12.29% | 7.63% | 0.04% | 24,852 | 0.72% | 2025/09/08 | 2010/11/26 | |
直近1年のリターンは「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」がトップでした。
期間を延ばすと顔ぶれが入れ替わります。過去3年は「はじめてのNISA・新興国株式インデックス」、過去5年は「My SMT新興国株式インデックス(ノーロード)」が首位でした。
過去5年の総リターンは、最も高いファンドと最も低いファンドの差は5ポイント以上になっています。ただしその並びは、信託報酬の安い順とは必ずしも一致していません。





先進国株式や米国株式ではコストの順位がほとんどそのままリターンの順位になっています。一方、新興国株式ではそうなっていないのが面白いところです。
新興国株式は現地での売買コストや、配当課税の扱いの差、そもそもの市場へのアクセスのしやすさなどに特徴があるため、表記されるコスト以外の部分で差がつきやすいのでしょう。基準価額の推移を追いかけてみると、ファンドによる差がはっきりと見えてきます。
FTSE Emerging Index
FTSE Emerging Indexは、英国FTSE Russell社が提供する時価総額加重平均型の株価指数で、新興23か国・地域の約2,300銘柄を組み入れています(2026年8月末時点)





MSCI Emerging Indexとの違いは時価総額のより小さい銘柄も組み入れていることです。また、国別では韓国は先進国に分類されているため、この指数には組み入れられていません。
組み入れられる割合が大きいトップ5か国・地域は次の通りです。
| 国 | 構成比 |
| 台湾 | 32.80% |
| 中国 | 27.18% |
| インド | 15.69% |
| ブラジル | 4.22% |
| 南アフリカ | 3.95% |
この指数に連動するインデックスファンドは1本です。
| 名称 | 信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
前月までの長期リターン | 過去5年における1年ごとのリターン | 過去1年の 資金流入 (概算) |
総経 費率 |
決算日 | 設定日 | 備考 | ||||||||
| 過去 1年 |
過去 3年 |
過去 5年 |
過去 10年 |
過去 15年 |
過去 1年 |
1~2 年前 |
2~3 年前 |
3~4 年前 |
4~5 年前 |
|||||||||
| SBI・新興国株式 インデックス・ファンド |
0.12000% | 0.138% | 58,193 | 31.19% | 76.77% | 96.73% | – | – | 31.19% | 20.97% | 11.39% | 7.92% | 3.13% | 5,789 | 0.16% | 2025/11/12 | 2017/12/06 | 信託報酬・実質コストには原資産の経費率として0.06%を加算 |





この1本しかないため比較ができませんが、MSCI Emerging Market Indexとは結構な差があります。
直近1年はMSCI Emerging Market Indexが39.25%、FTSE Emerging Indexが22.0%です(いずれも税引後配当込み)。半導体関連の上昇で韓国市場が大きく伸びたことが、そのまま両指数の差になっています。
FTSE RAFI Emerging Index
FTSE RAFI Emerging Indexは、英国FTSE Russell社が提供する株式インデックスです。
時価総額ではなく、配当・キャッシュフロー・売上高・簿価といった財務指標をもとに組入比率を決めるスマートベータ指数です。FTSE Emerging All Cap Indexからスコア上位350社を選ぶ方式となっており、12か国・地域の約400銘柄で構成されています。
組み入れられる割合が大きい上位5か国・地域は次のとおりです(2026年8月末時点)。
| 国 | 構成比 |
| 中国 | 37.71% |
| 台湾 | 25.63% |
| ブラジル | 12.27% |
| インド | 10.26% |
| 南アフリカ | 3.68% |





名称は似ていますが、中身はFTSE Emerging Indexとかなり異なります。
この指数に連動するインデックスファンドは1本です。
| 名称 | 信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
前月までの長期リターン | 過去5年における1年ごとのリターン | 過去1年の 資金流入 (概算) |
総経 費率 |
決算日 | 設定日 | 備考 | ||||||||
| 過去 1年 |
過去 3年 |
過去 5年 |
過去 10年 |
過去 15年 |
過去 1年 |
1~2 年前 |
2~3 年前 |
3~4 年前 |
4~5 年前 |
|||||||||
| iFree 新興国株式 インデックス |
0.34000% | 0.650% | 47,420 | 36.02% | 91.43% | 128.90% | – | – | 36.02% | 22.70% | 14.70% | 11.79% | 6.97% | 7,088 | 0.53% | 2025/07/07 | 2016/09/08 | |





FTSE Emerging Indexと比較しても、運用成績は年によって大きく異なりますね。
将来的にどちらが良くなるかはわからないものの、時価総額加重平均型から離れることをどう考えるかが判断の分かれ目の1つになります。
1本を選ぶなら「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」
3つの指数のうちどれを選ぶかは、①時価総額加重平均型の指数を選ぶかそうでない指数を選ぶか、②韓国を組み入れるかどうかで決まります。
MSCIは韓国を新興国に、FTSE Russellは先進国に分類しているため、先進国株式と新興国株式を組み合わせて持つ場合は、指数の算出会社をそろえないと韓国が二重に入ったり、丸ごと抜け落ちたりします。





丸ごと抜け落ちるとすれば、その影響は小さくありません。
先進国株式としてFTSE Russelの指数を採用する「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」を持っているなら、新興国株式は「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」を選ぶとバランスが良くなります。
その他のファンドはMSCIの指数を採用していることから、その場合はMSCI Emerging Market Indexを選ぶほうがよいでしょう。
数あるファンドから1本を選ぶなら、「eMAXIS Slim新興国株式インデックス」が安定して良好な成績を維持しています。信託報酬と総経費率は最安水準で、純資産総額でも2位以下を大きく引き離しています。
「はじめてのNISA・新興国株式インデックス」も運用状況は良好ですが、純資産総額には開きがあります。長く保有する前提であれば、規模の差は無視できる水準には達していないと思います。





スマートベータのFTSE RAFI Emerging Indexは値動きが他と違って興味深いのですが、それがリターンにつながるかは別の話です。コストの低さを重く見るなら、ほかの2指数から選ぶほうが無難です。
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