2026年7月24日、東京証券取引所(東証)にて「第3回東証ETFインフルエンサーミーティング」が開催されました。私は今回で3回目の現地参加です。

相場について回るだけのインデックス投資家の私ですが、あの建物に入るのは、やっぱり毎回ワクワクしますね!
今日は東京証券取引所に行ってきました!✨ ETFの話を今回もたくさん聞けました。
投信のような分配金再投資がいずれできるようになるように考えている…とのことだったので、今後に期待してます! pic.twitter.com/XZg0Db9giC
— なまずん🐟20代からインデックス投資をスタート🐟 (@gameoftheweak) July 24, 2026
今回のテーマは、大きく分けて「テーマ型ETF」「金・米国高配当株」「ETF市場の現在と今後」の3つで、運用会社2社と東証による、それぞれ趣の異なるセッションでした。当日の説明に、私見を交えながらまとめていきます。
◆過去2回のレポートはこちらです。




市場の一部を切り取る戦略のテーマ型ETF





最初は野村アセットマネジメントによる、テーマ型ETFのセッションでした。
日本株が最近大きく上がっていることは知っていると思いますが、そのうち上がっている銘柄がどれくらいなのかをご存じでしょうか?
インデックスが上がっていると大半の銘柄は好調なのかと思う人もいるかもしれませんが、2025年12月末~2026年6月末での上昇銘柄はTOPIX構成銘柄のうち約半数にとどまるそうです。そしてTOPIXを上回って上昇した(=市場を牽引した)銘柄は全体の4分の1ほどしかありません。
一部の銘柄だけが大きく上がっているという偏った相場になっているわけですね。





これはあくまでトータルリターンではなく、株価ベースの話だと思いますが。
一部が銘柄群が牽引している相場であることから、市場全体を買うよりも一部のみに絞ったほうがよいという文脈で、そこを狙う手段としてテーマ型ETFが紹介されました。
紹介された商品は、2026年6月に上場したばかりの「日経エンタメ・コンテンツ株指数」に連動するETF(20銘柄で構成)と、2024年6月設定の「日経半導体株指数」に連動するETF(2026年設定、30銘柄で構成)の2本です。
この2つはかなり値動きの傾向が異なるようで、直近11年半での相関係数は0.22とのことでした。





この2つを合わせて持てば、リスクとリターンの効率が高まるということになりますね。ただ、数ある組み合わせのなかでなぜこの2つが選ばれたのかについては、とくに説明はありませんでした。
質疑応答のセッションでは、「指数連動(パッシブ)運用とアクティブ運用はどう使い分ければよいか」という質問がありました。これには、「パッシブETFは自分で銘柄やテーマを選び、自分で購入・売却時期を決めたい人向け」「アクティブETFは運用のプロに任せたい人向け」という説明がありました。
また、「市場全体をすでに買っている人が、テーマ型を足す意味は?」という質問には、いわゆるコアサテライト戦略としての位置づけのなかで、市場環境を見て「勝ち組」になりそうな銘柄群を追加できるという答えでした。





つまり、テーマ型ETFの購入の前提には、銘柄とタイミング選びの必要性があるわけです。市場を牽引した銘柄を後から説明するのは簡単ですが、このような商品が出る頃にはテーマが盛り上がった後⋯⋯ということも多くあります。「これから牽引する銘柄とそのタイミングを自分が(もしくはアクティブETFが)選べるのか」という点は、慎重に考えたほうがよいでしょう。
なお、会場では「運用会社は自社に都合のよい情報を選んで発信できる立場にあるので、投資家はそのコメントを鵜呑みにしすぎないほうがよい」という趣旨の意見も出ていました。





この点には私も同感です。運用が良いときは指数を上回ったと報告するものの、悪いときは指数との比較がレポートからなくなるなんて例もよくありますから。
野村アセットマネジメントは自社ファンドを横断的に自己評価する「ファンド・レビュー・レポート」なるものを出しているそうです。





投資家に広く公開していることは評価できますが、あくまでも自己評価であることは割り引いて考える必要はありますね。
株式以外の選択肢としての金





続いては、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)から最近ブランド変更)による、金と米国高配当株のセッションでした。
まずは「S&P500やオルカンに加えて何を買うか」という問いから始まり、より狭いセクターや業種に張るという方向ではなく、株式とは別の資産クラスを買う考え方もあるという説明がありました。





これは分散投資の考え方であり、私としては必要な視点だと思います。
◆「インデックス投資ナイト2026」でもオルカンを超える方法として他の資産への分散という話がありました。


一般論として、運用額が大きくなるほど、金額ベースの値動きは大きくなります。つまり資産が増えるほど、下落時の金額的なインパクトは大きくなるわけです。





理屈としても当然ですが、実際にわが家も運用規模が大きくなってきて実感するところでもあります。その影響を緩和するために値動きの相関が低い資産である金を入れてはどうか、ということですね。
金は中長期で価格が上昇してきた資産であり、その背景には希少性と、中央銀行のような構造的な買い手の存在がいることなどが挙げられるとの分析が示されました。長期的にはインフレ率を超える価格上昇を記録しているとのこと。
ポートフォリオ全体で考えたときに、とくに預金の比率が高くインフレに負けやすい人にとっては、そのポジションの一部を金に置き換える利点があり、資産全体の1割程度を金で長期保有してはどうかとの提案がありました。





株式と金の値動きの相関係数を調べたところ、国内外の株式とはほとんど相関がない(相関係数-0.1~0.1程度)という調査もあります。インフレに追従できる資産で、かつ株式の変動を緩和するという目的では有力であり、個人的にはこの先、金を保有することも考えたいとあらためて思いました。
セッションでは金を保有する方法として、金ETFの「ステート・ストリート・スパイダーゴールドETF(為替ヘッジなし)」(447A)、「ステート・ストリート・スパイダーゴールドETF(為替ヘッジあり)」(448A)が紹介されました。
セッション中に、「金の場合、ETFと投資信託のどちらがオススメか?」と質問をしたのですが、これについては「ETFを買える環境にあるなら、ETFの一択」との回答がありました。投資信託にはさまざまな運用方法がありますが、金ETFを買う投資信託も多く、コスト面ではETFに分があります。





よく、ETFは投資信託に比べて分配金の再投資の手間や税の繰り延べができない点が問題になります。しかし、金は配当が出ない資産であり、金ETFは基本的に分配金が出ません。金ETFには分配金の問題はありません。ETFで買うのもよいのではないかと思います。
他にも現物を買う方法もありますが、取引コストや保管に神経を使うことは考慮する必要がありますね。
他にも、米国籍金ETFのGLDと東証に上場する国内ETF(447A)のどちらを使うか、という質問もありました。GLDは東証にも重複上場しているので、さまざまな買い方ができますが、国内証券扱いになるか、外国証券扱いになるか、外国税額控除の対象になるか…⋯といったさまざまなポイントがあります。





日本から投資するなら東証ETFがコスト面では有利、という説明であったように思いますが、このあたりは実際に買うときにきちんと調べなければいけませんね。
また、日本と米国ではETFの「総経費率」の算出基準が異なる(米国は関連コストを含めた総額、日本は保管費用などが別扱い)ものの、日本でも同じ基準にそろえていく方向にあるという話もありました。
一方、米国高配当株については同社の「S&P500高配当株ETF」(451A)を題材に、ディフェンシブなセクターが多く、グロース中心のS&P500とは値動きの特性が異なるという説明がありました。S&P500高配当株指数は、S&P500指数に含まれる銘柄のうち、配当利回りが高い80銘柄を均等ウエートに組み入れたものです。
配当利回りは4%程度とのことで、近年1%台前半のS&P500指数とはだいぶ異なります。





この図は組入比率で見ていると思いますが、S&P500指数では比率が少ない銘柄が高配当株指数では多く組み入れられていますね。
その結果、S&P500が上がる日には高配当株は相対的に弱く、下がる日には強い傾向があり、分散投資の1つになりうるとのことです。





一般論として、時価総額加重平均指数は将来の利益成長に期待したグロース株寄りの銘柄が多くなりがちです。これも値動きの特性が異なるものを組み合わせるという考え方ではありますが、個人的には株式以外に分散するほうを選びたいと考えています。
東証の今後の改革に期待!
その次は、東証によるETF市場の現状と今後についてのセッションでした。
日本のETF市場の残高は順調に増えており、日本株ETFを中心に約130兆円に規模になっています。ただし、その主役は機関投資家と海外投資家であり、個人の存在感はまだ大きくないとのこと。上場銘柄数もこの数年で約2倍に増えており、残高の拡大がそれを支えています。
その中身を見ると、日本株ではテーマ型ETFに人気が集まっているそうです。新規の上場銘柄もテーマ型が中心とのことでした。一方で、コモディティはこれまで低調で、機関投資家でも保有比率は1%程度にとどまるといいます。





私は企業年金の中の人をやっていますが、コモディティETFが話題に上ったことは確かに一度もありません。
また、近年話題になることも多いレバレッジETFについては、値動きによって徐々に減価する特性があることに加えて、日時のりバランスで相場の上昇・下落そのものを増幅させてしまう側面があるという説明がありました。最近の韓国市場での強烈な動きにも、レバレッジ運用が影響しているとのことでした。





個々人ではどうしようもないのですが、日次でレバレッジをかける運用が増えてくるとインデックス投資家にも影響が及んでくるというわけですね。
セッションで印象的だったのは、日本のETF市場の成長が、国内の運用会社の成長と結びつけて語られていた点です。実質的に国内専用商品である非上場の投資信託とは異なり、ETFは世界中の投資家に売ることができます。
上記のように日本のETF市場は日本株が大半を占めているので、世界から日本への投資を呼び込むうえでも、ETF市場を育てることは重要だという説明がありました。
一方、個人にとっての最大の課題として挙げられたのが、やはり分配金の再投資の手間です。
私もこれは知らなかったのですが、ETFには①原資からの配当収入を全額支払わなければならないものと、②投資信託と同様の税制に基づくものの両方があるようです。②のほうも現状では配当収入を全額支払う形で取り扱われていますが、このあたりを整理しようというのが東証の考え方のようです。





もし、ETF内で分配金の自動再投資や金額指定の積立ができるようになれば、ETFはぐっと使いやすくなりますよね。
なお、現状の商品のままでも、証券会社が分配金を再投資する仕組みを作れば、税金の繰り延べはできないものの再投資の手間はなくなるということで、そのような働きかけもしているとの説明がありました。
セッションでの質問には、「かつては投信よりETFのほうが低コストだったが、いまはその優位性を感じにくい」という指摘がありました。コストは運用会社が決めるものとしつつ、一部のインデックス商品はすでに価格の安さだけでは優位性を保てなくなっており、価格以外の差別化要因が必要になっているという認識があるようでした。





実際、私が投資を始めた2017年頃まではETFのほうがコストが安く、私もいくつか当時に買ったETFをまだ持っているんですよね。再投資が必要なETFのデメリットはよく感じるところであり、今後の改革に期待したいと思います。
ETFの復権はくるのか?
ここからは3つのセッションを通じての感想です。
結論から言えば、もう少し運用規模が拡大したところで、株式以外の資産への分散の1つとして、金ETFは候補の1つになるという考えになりました。ETFでも再投資の手間がかからないというのは大きなポイントです。
会場のYouTuber・ブロガーなどの皆さんも3分の1前後の人が金を保有しているようで、興味を持っている人は多いのだろうなと感じました。
ただ、私はそれ以外のテーマ型ETFや高配当株ETFは現状では取り入れる見込みはないでしょう。





もちろん、商品自体に問題があると言いたいわけではなく、こういった商品を買いたい人にとっては妥当な選択肢になるでしょう。そして運用会社がこれらの商品を売り出す理由があることは理解しますが、それらが私にとって買う理由になるかどうかはまた別の問題なのです。
セッション後には懇親会もありました。私からは、個人投資家としてETFの分配金はやはり扱いづらい、という話をしました。





結局、出てくるドルをそのままMMFに置いているだけになってしまっているんですよね。
以上のように、商品開発をする運用会社と、市場の整備をする東証のそれぞれの立場から、ETFという器を良くしていこうという話を同じ日に聞けたのは貴重な体験でした。
前述のように私自身が積極的にテーマ型ETFなどを買うことは考えにくいのですが、こうして他の運用手法や市場の仕組みを知ることは、自分の運用の特性を別の視点から見直すよい機会になります。





分配金まわりの制度が整っていけば、インデックス投資家にとってもETFの復権となる可能性は残されているなと感じるセミナーでした。東証および運用会社の皆さま、貴重な機会をいただきありがとうございました!








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