2026年10月1日、SBIアセットマネジメントが「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」(愛称:ゼロカン)を設定すると発表しました(プレスリリース)。全世界株式に投資するインデックスファンドで、信託報酬は年率0.00%。2027年1月に始まる「こどもNISA」専用のファンドです。

インデックスファンドの低コスト化も究極の領域に! MSCI ACWIに連動する信託報酬ゼロの商品が登場しました。
設定日は2026年11月17日の予定ですが、こどもNISAの制度開始までは買い付けできないため、実際に買えるのは2027年1月からです。あわせて、同じマザーファンドに投資する一般向け(成人のNISAや課税口座)の「SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド」(愛称:SBIオールカントリー)も設定されます。





この記事では、2本のファンドの概要と設定の背景、信託報酬ゼロがもたらす差、長く保有するうえでの注意点を私なりに考えていきます。
「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」「SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド」の概要
2本のファンドの概要は次のとおりです。
| 項目 | SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド | SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド |
| 信託報酬(年率・税抜) | 0.000% | 0.050% |
| 対象指数 | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) | |
| 購入できる口座 | こどもNISA専用 | 一般向け(NISAは成長投資枠・つみたて投資枠の対象予定) |
| 運用 | 2本で共通のマザーファンドに投資。株式の運用指図の権限の一部をステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズに委託 | |
| 当初申込期間 | ―(こどもNISAの開始前は申込不可) | 2026年10月19日〜11月16日(予定) |
| 設定日 | 2026年11月17日(予定) | 2026年11月17日(予定) |
連動する指数は、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と同じMSCI ACWIです。運用の一部は、米国の大手運用会社ステート・ストリートの日本法人に委託されます。また、マザーファンドについてはまだ公表されていないようですが、新しく設定されるものとみられます。





ステート・ストリートへの委託は先日設定された「SBI NASDAQ100インデックス・ファンド」と同様です。何を委託しているのかは不明ですが、SBIアセットマネジメント内には、全世界の市場の株式を取り扱う十分な運用体制がないのかもしれません。
「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」を買えるこどもNISAには、次のような条件があります。
| 項目 | こどもNISAの条件 |
| 対象年齢 | 0〜17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円(月5万円に相当) |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 投資できる商品 | つみたて投資枠の対象となる投資信託 |
| 払出し | 12歳以降、一定の要件を満たせば可能 |
| 18歳以降 | 成人のNISAに自動で移行 |
| 金融機関の変更 | 不可(他社に変更するには口座の廃止が必要) |
購入はこどもNISA限定ですが、18歳で成人のNISAに移ったあとも、それまでに購入した「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」はそのまま保有を続けられます。
信託報酬ゼロの投資信託には「野村スリーゼロ先進国株式投信」という先例がありますが、こちらは0%の期間が2030年12月31日までと区切られています。「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」にはそのような期限は示されていません。





販売会社は明記されていませんが、信託報酬ゼロのファンドをグループ外の証券会社が扱うとは考えにくく、SBI証券限定になると思います。
同じMSCI ACWIに連動する主なファンドと、信託報酬を比べると次のとおりです(2026年10月4日時点)。
| ファンド名 | 信託報酬(年率・税抜) | 購入できる人・口座 |
| SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド | 0.000% | こどもNISAのみ |
| SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド | 0.050% | NISA・課税口座 |
| 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド | 0.051% | NISA・課税口座 |
| eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.0525%以内 | NISA・課税口座 |
話題は信託報酬ゼロの「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」に集まりがちですが、一般向けの「SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド」も最低コストを更新する非常に魅力的なファンドです。





「業界最低水準の運用コスト」を掲げるeMAXIS Slimシリーズですが、今回の2商品の登場で一気に4番手になってしまいました。巻き返しを図るのかには注目したいと思います。
設定の背景は?
2026年10月1日は、こどもNISAの口座開設の受付が各社で始まった日でもあります。各社とも、口座開設の囲い込みのためのキャンペーンを打ち出しています。
各社がこどもNISAの口座獲得を急ぐ理由の1つが、こどもNISAは開設後、金融機関を変更できないことです。成人のNISAは年単位で金融機関を変えられますが、こどもNISAは一度開設すると、他社に移すには口座を廃止しなければならないのです。証券会社の視点に立てば、最初に顧客を囲い込むことが非常に重要です。
「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」はファンド単体では収入がなく、証券会社・運用会社・受託会社は費用だけがかかります。





それでも、こどもNISAの口座を確保し、その子どもが成人したあとの取引につながるなら、グループ全体としては十分にメリットがあると考えたのでしょう。
これがSBIグループの囲い込み戦略か。
信託報酬ゼロは魅力的だけれど、立ち行かなくなって長期投資前提のこどもNISAで繰上償還になったら悪夢以外の何物でもないしなぁ…
単体で維持不可能な商品はどうなのか。 https://t.co/Ow0GWeoWs5
— なまずん🐟20代からインデックス投資をスタート🐟 (@gameoftheweak) October 1, 2026
信託報酬ゼロでどれくらい差がつくか
インデックスファンドの低コスト化が進み、全世界株式では信託報酬0.05%台の熾烈な競争になっています。ここまで下がると信託報酬による差は誤差のようにも見えますが、小さいながらも実際の運用成績にはきちんと表れています。
たとえば先進国株式では、信託報酬ゼロの「野村スリーゼロ先進国株式投信」が、2026年8月末までの過去1年・3年・5年のリターンで、同じMSCIコクサイ指数に連動するファンドのなかではいずれもトップでした。
◆先進国株式インデックスファンドの比較はこちら。


では、「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」では、どれくらいの差がつくのでしょうか。次の条件で試算しました。
- 0歳0か月から毎月初に5万円を積み立て、120か月目(9歳11か月)で積立を終了(元本600万円)
- 年率リターンは4%(月次複利)で一定
- 「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」は信託報酬0%、eMAXIS Slimは0.05775%(税込)を年率リターンから差し引く
- 信託報酬以外の費用やポイント還元は考えない
その結果はこちら。
| 年齢 | SBI・ゼロ(万円) | eMAXIS Slim(万円) | 差額(万円) | 差額の比率 |
| 10歳 | 735.9 | 733.7 | 2.2 | 0.30% |
| 18歳 | 1,007.1 | 999.7 | 7.4 | 0.75% |
| 25歳 | 1,325.3 | 1,310.4 | 14.9 | 1.14% |
| 30歳 | 1,612.4 | 1,589.8 | 22.6 | 1.42% |
| 45歳 | 2,903.9 | 2,839.5 | 64.4 | 2.27% |
| 60歳 | 5,229.7 | 5,071.3 | 158.4 | 3.12% |
年率7%で同じ条件にすると、次のようになります。
| 年齢 | SBI・ゼロ(万円) | eMAXIS Slim(万円) | 差額(万円) | 差額の比率 |
| 10歳 | 860.1 | 857.5 | 2.6 | 0.30% |
| 18歳 | 1,477.8 | 1,467.0 | 10.8 | 0.74% |
| 25歳 | 2,373.0 | 2,346.8 | 26.2 | 1.12% |
| 30歳 | 3,328.3 | 3,282.6 | 45.7 | 1.39% |
| 45歳 | 9,182.9 | 8,983.8 | 199.1 | 2.22% |
| 60歳 | 25,335.8 | 24,586.6 | 749.2 | 3.05% |





長く持てば持つほど、そして運用リターンが良ければよいほど、金額としては大きな差になっていきます。
なお、この試算は信託報酬の差だけを比べたものであることには注意が必要です。
信託報酬がゼロでも、監査報酬や株式の売買手数料、外貨建て資産の保管費用などは信託財産から支払われるため、実質的なコストはゼロにはなりません。また、運用そのものの質が低いと指数から上下に乖離しやすくなってしまいます。
設定当初は規模が小さく、監査報酬のような固定的な費用の比率が高くなる可能性があります。スペックだけにとらわれるのではなく、本当の差を確かめていく必要があるでしょう。
「最後まで売られない」からこそ繰上償還リスクは避けたい
NISA利用者はよくご存じのように、NISAの非課税保有限度額は購入したときの金額(簿価)で管理されます。そして、保有している商品を売るとその簿価の分だけ枠が復活するのです。





そのため、お金が必要になって一部を売るときは、含み益が少ない商品から売るほうが、枠を有効に使えます。
こどもNISA限定商品である「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」は、含み益が大きくなりやすい商品です。しかも信託報酬はゼロであり、長期保有に向いています。
つまり資産を取り崩すときに、「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」を売るのは最後になる可能性が結構高いのです。教育費や住宅購入費などの取り崩しの機会が来ても、「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」は手つかずのまま、何十年も保有され続けることも十分にありえます。
先ほどのXポストでは繰上償還のリスクに言及しているようにも読めると思いますが、このリスク自体は高くないと考えます。販路が限られ、長期保有が前提の商品なので、解約が相次いで規模が急減する事態は起こりにくいでしょう。
また、資金が集まりすぎて収益面で大きな問題になる可能性も高くはありません。単体では資金が集まるほど費用が膨らむわけですが、こどもNISAには年60万円、総額600万円までの買付制限があり、資金の流入は緩やかです。





とはいえ、繰上償還されると全額売却したことと同じ取り扱いになるため、影響は甚大です。
先ほどの年率4%の試算で45歳のときに償還されたとすると、評価額約2904万円に対して、復活する非課税枠は簿価の600万円分にとどまります。差の約2300万円は、課税口座で運用し直すしかありません。何十年も非課税で育ててきた資産だからこそ、繰上償還だけは避けてほしいところです。
こどもNISAで全世界株式に投資するなら、信託報酬ゼロの「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」が有力な候補であることは確かです。ただ、マザーファンドは新しく設けられるとみられ、肝心の運用実績はまだわかりません。
その点、こどもNISAには最大18年という長い期間があり、人によっては様子見をする余裕があります。SBI証券で口座を開いておけば、最初の数年は実績のある「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」などを積み立て、運用状況を確かめてから「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」の積み立てに切り替える、という方法も取れます。時期によってあえて異なるファンドを買っておくと、含み益の小さい商品から売ることができ、枠をより効率的に使えるので、数年でファンドを替えることも選択肢の1つです。
口座選びについて整理すると、信託報酬ゼロを選択肢に残したいならSBI証券で、その他各社の口座開設の特典や使い勝手などを重視するなら他社という判断になります。こどもNISAは後から金融機関を変えられないので、口座選びは慎重に行う必要があります。





わが家も、子どものこどもNISAをどこで開くか、各社の動向を見ながら考え中です。
悩ましいことながら、選択肢が増えたこと自体は歓迎すべきことでしょう。
こどもNISAの「長期の資産形成を支援する」という趣旨に沿った商品を、業界最低の信託報酬で出してきたSBIアセットマネジメントの姿勢は高く評価できます。一方で、単体では収益を生まない構造であることと、運用の実績がまだないことを考えておく必要もあります。
これからの運用状況を、期待をこめて見守りたいと思います!
◆全世界株式インデックスファンドの比較はこちら。




コメント