確定給付企業年金の運用

221106確定給付企業年金の運用 企業年金
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あまり詳しくは書けないのですが、勤務先の企業年金に関するお仕事を少し担当することになりました。

で、この話がどうなったかというと、運用にも多少かかわる(意見を言える)人になりました。とても興味深いですが、私以外はほぼ50代で経験もある人のなかに放り込まれて右往左往しているところです。

さっそくですが、企業年金では個人の運用とは考え方がかなり異なる部分もあることがわかりました。

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確定給付年金とその運用の考え方

“古き良き日本企業”の伝統がある程度は残されている私の勤務先には、確定給付年金があります。これで退職金の大半をまかなう構図で、このような企業も結構あると聞いています。そう、今回私がかかわることになったのはこの確定給付企業年金です。

年金資産・退職金資産が会社の外部に積み立てられているため、会社の一存で使われてしまうことがないという点では、単なる退職金制度よりは働き手にとっては安心感があるしくみです。

また、個人が運用していく確定拠出年金とは異なり、確定給付年金は基本的に企業が運用に責任を持っています。そのため、定期的に手持ちの資産残高をもとに「将来の給付を見据えた債務を果たせるか」を検証し、不足していると判断されるときには、企業が追加で資金を拠出しなければなりません。

したがって確定給付年金の運用は、①将来の給付に必要な程度の利益を上げること②運用中に資産を一定以下に減らさないことの2つが同時に求められます。

①は長期的に運用益を上げる目的ということでわかりやすいですが、②も重要です。②が満たされないと、たとえば相場の下落時(多くの場合は不況のとき)に会社に資金を追加拠出させることになってしまうからです。大きく減ってしまえば、企業年金にも企業本体にも大きな影響が出かねません。

極論をいえば、確定拠出年金や個人の老後資産づくりでは「自分の老後に資金が増えていること」が重要で、それまでの間はどうなっていてもよいのです。が、確定給付企業年金では「運用期間中に大きく減らさないこと」も重要なのです。

リスク・リターンを考えながら運用するのは高度な判断が必要です。したがって当然ながら、担当者が独断で行うのではなく、専門家の助言をもとに合議で進めています。

確定給付年金では「保険」も重要な商品

そこで、私が今回かかわることになった企業年金は、株式・債券だけでなく、利率が確定している商品、すなわち「保険」も運用商品の多くを占めています(分類としては「一般勘定」)。これは運用リスクを保険会社に移転させるためのコストはかかるのですが、ブレ(リスク)を減らす効果があるのです。

「保険で運用」などと言うと“マネーリテラシー”を掲げる人に怒られてしまうかもしれませんが、目的が違えば手段も変わってくるわけです。実をいえば私も最初はびっくりしましたが。

でも、個人の運用は「余剰資金」で行うので、ある程度ブレても放置しておけば良いのですが、企業年金の運用は「基本ギリギリ」で行いながら「定期的な検証」も求められます。個人の運用とは異なるシビアな条件ですから、最低限のリターンが計算できて、全体のリスクも低減できる保険商品が役立つわけですね。

個人の運用でも取り崩し期間になれば過剰に攻めた投資はできなくなりますが、それと同じような理屈です。企業年金は継続してやっていれば、つねに給付のタイミングがくるわけですから。

このように、収益を上げるところは個人の運用と似通った点がありますが、企業年金ではリスクを非常に意識している特徴があります。

それゆえ、この経済状況のなかでどのように運用するかについてはさっそく面白い話題もあったのですが、それはまた近日中に別の記事に続きます。

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