企業年金のお仕事のプレッシャー

221212企業年金のお仕事のプレッシャー 企業年金
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先日に記事にしたように、約1か月前から確定給付企業年金(DB)に関する仕事をしています。

確定給付企業年金の運用
あまり詳しくは書けないのですが、勤務先の企業年金に関するお仕事を少し担当することになりました。 そうそう、来月から会社の企業年金にちょっとかかわることになりました。Twitterや...

前回はDBの運用の大きな目的について書きました。そのなかで、株式・債券のほかに利率が固定されている保険も用いてブレを小さくしているという特徴にも触れました。これにはDCでの運用や、個人が行う資産運用とは考え方が異なります。上記の記事では触れていませんが、同じ年金資産運用を行うGPIFとも違いますよね。

さて、今月もそのお仕事があったので、まとまりませんが感想を少し。詳細はあまり踏み込んで書きません。

私が担当している主な業務は2つあり、1つは制度や法令にのっとって年金運用をするための検討をする委員会、もう1つは各委員会から上がってきた議案を合議のうえ実行するための仕事です。

今回は負債に対して十分な資産があるかどうかを検証する「財政再計算」までの見込みについてと、現在の運用状況の報告がなされました。

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DBの「財政再計算」はかなりのプレッシャー

国の年金財政が「財政検証」で5年おきに見直されているように、将来の給付に対して責任を持つDBにも、5年おきに似たような見直しの機会があります。それが「財政再計算」で、財政検証とは内容は異なりますが、DB運営においては最も重要性が高い事項の1つです。

何をやるかざっくり説明すると、「将来の給付見込み(=負債)に対して、現在、十分な資産残高があるかどうか」を比べて、会社の出す掛け金を見直すものです。

DBでも毎年、決算が行われますが、その時点では負債に対して15%まで資産が不足していてもよいとされています。運用資産の価格は上下し、なかには今年のように運用状況が悪い年もありますから、一時的に15%までの不足が生じていることは問題にしないということでしょう。

が、5年に1回の財政再計算では、少しでも不足していれば会社が補填しなければなりません。

DCを採用する企業のなかには、DBで運用がうまくいかなかった場合のこの補填の負担を嫌って移行する例も多いと聞きます。まあ嫌ですよね。

現在は私の所属するDBは、2020~2021年の資産価格上昇の影響で資産超過にあります。

が、昨今の情勢でそのプラス幅は縮小しており、2~3年後に控える財政再計算の時期までこのままの運用のリスクをとっていていいのか、場合によっては財政再計算を前倒しでいま実施することはできるのかとの話題が相次いで出てきました。

運用がどうなるかなんてそんなの知りませんよ。

リスクを取っていけば増える可能性はあるものの、次の財政再計算で引っ掛かり、会社の負担を増やすかもしれない。かといってリスクを抑えすぎたら上昇局面を逃し、次の次以降の財政再計算で引っかかる可能性が高まるかもしれない。

どっちにしても確率的には(会社の)負担増が待っているかもしれませんが、はっきりした判断は難しいですよね。再計算の時期をいまに前倒しすれば……!って案にはびっくりしましたが、その次は再計算をしてから5年後なので、結局危険を高める可能性もあります。

個人的にはこれまで通りのリスクを取ってとにかく祈り、もし次回に引っかかって掛金が上がっても、いずれは掛金を引き下げられる水準まで資産が拡大し得ることを説明してはどうかと思いますが、それも確約された未来ではないため、簡単な判断ではないでしょうね。

個人の運用でも将来の必要額に基づく見直しは定期的に行う必要があります。でも、個人の運用は支出を切り詰めたり、仕事する期間を伸ばしたり、老後も運用しながら乗り切ったりできるので、ここまでシビアではないでしょう。ただ、たとえばギリギリのFIREや老後を継続するとなると落ち着かない感じになるでしょうね。

個人の運用はなるべく前倒しで、かつバッファをとって積み上げて、リスクもそのバッファの許す範囲で取っていくことが良いと思います。

会社の金だから危ない橋を渡るのもドキドキする程度ですみますが、自分の資産運用では少し余裕を持って展望したいです。

外国債券(ヘッジつき)のせいでこうなっている

このような判断の助けになるようにと、私の手元にはDBの現状とともに、資産運用コンサルタントから資料が配られ、近年の国内外の株のリターン(グロース・バリュー、大型・小型などに分類したものや、より詳しい業種別のものなど)や債券、商品などのリターン状況、為替の変動なども情報が入ってきます。

たとえばそれをみると「今年はバリュー株は悪くないものの、グロース株が大きく下げている状況」とか「それでも過去3年ではグロース株のほうがリターンが大きい」など、いろいろわかっておもしろいです。

株も全体的には下がっていますが、それ以上に、「為替ヘッジ付きの外国債券」が9月末までに年度リターンで指数が-10%を記録しているひどいリターンで、そのせいで前述のような緊張感が増幅されています。

このアセットクラスは私が入るずっと前から結構多くの割合が組み入れられていますが、この状況でちょっと足を引っ張っています。

そして金利の状況も読めないので、いったん売却して少し落ち着いたら買い戻したらどうか……との意見まで出てきてなかなかカオスです。え、果たしてそれがいいの!?

前回に書いたように、債券ファンド(とくにアクティブ債券ファンド)は今年に入って世界的に売られているのが事実ですが、すでに金利上昇は一服する気配もあり、いま売ってももはや遅すぎでは? という思いもあります。「安いときに売って、高くなってから買う」という下手な取引にならないかちょっと心配です。

米国籍ファンドが2022年は資金流出、アクティブ運用が大きく売られて
モーニングスターの12月8日の記事が印象に残ったのでブログで取り上げておきます。 タイトルのとおりですが、2022年のファンド動向について、以下の2つがまとめられていました。 20...

運用がどうなろうともらえる年金が確定しているのがDBのいいところですが、下手な取引をして会社の負担を上げないように頑張ります。

中の人になってみると、運用への制約や運営へのコストもいろいろあり、運用の基本がわかっている人はDCで、自分のことだけを考えてのんきに株式の長期投資で運用したほうが良いよねと思います。

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