楽天証券のポイントサービスの縮小が続いています。立て続けにポイント制度が改定されることになり、ユーザーとしては非常に残念です。
先日には投信の保有残高に応じて付与されるポイントが大幅に削減されたところです。ポイント制度が優秀だったことも楽天を選んだ理由にあったので、あくまで今日までにわかっていることでの判断ですが、今後の積立投資の一部はSBI証券に切り替えるつもりです。
「クレカ積立」とSPUが改悪
クレカ積立でポイント減、「楽天キャッシュ決済」が登場
2月1日に出たお知らせによれば、これまで1%のポイント還元をしていた「楽天カードクレジット決済」のポイント還元率が2パターンに変更されます(画像は楽天のお知らせより)。
これまで通りの還元が受けられるのは非常に高コストな投資信託だけです。「0.4%」が基準になっていますが、これは信託報酬ではなく、そのうち楽天証券が受け取る分だけで考えることになります。
eMAXIS Slimシリーズなどの低コスト投資信託をはじめ、つみたてNISA対象のインデックスファンドはその基準をはるかに下回っています。つまり、インデックス投資家にとってはポイントが5分の1(0.2%還元、毎月最大5万円)になる改悪といえます。
カードでのポイントが減るかわりに、「楽天キャッシュ決済」(0.5%還元、毎月最大5万円)という枠ができるようです。設定される8月から12月までは0.5%の還元を上乗せすることになっているので、8~12月は1%還元になります。これを機に楽天キャッシュ決済に変更しておくのが良いと思います。
設定は6月下旬から行えるようになります。
「楽天カードクレジット決済」と併用もできるとされているので、毎月10万円を投資する人は併用するとよいでしょう。
なお、毎月10万円を投資している人は、これまではカード決済で500ポイント(5万円の1.0%)を得ていたはずです。これが、「楽天キャッシュ決済」が始まる8月はキャンペーンを含めて1000ポイント、9~12月は600ポイント、それ以降は350ポイントとなっていきます。減りますが、それなりのポイントは付きますね。
SPUの改悪
また、SPUにも制度変更があります。SPUとは楽天市場での購入の際のポイントアップの条件のことです(画像は楽天証券のお知らせより)。
これまでは500円以上のポイントを使って投資すればよかったのですが、「米国株」と「投資信託」を各3万円分以上買わないと同じ条件が達成できなくなりました。
3万円のなかで1ポイントでも使えば対象ですが、そもそも毎月3万円を投資に回せる人は多くはありません。
わが家は現状では投資信託を毎月3万円以上買っていますが、米国株を3万円以上買っていく予定はないので、実質的には半減となる改悪です。QQQを毎月買えばいいのかな?
ポイント制度ではSBI証券と差がついてきた
一連の改定で、楽天証券はライバルであるSBI証券と差がついてきました。ポイント関連の一覧はブロガーのNightwalkerさん作の表がわかりやすかったのでリンクを張っておきます。
これまでは楽天のほうが上回るところも多かったのですが、それが一気に及ばなくなってきました。楽天証券は楽天市場での買い物へのポイント付与がアップするというSPUの恩恵もあります。それも魅力が減った形になります。
投信ポイントの削減もあいまって、これまで楽天証券をメインに積立投資をしていたのですが、「楽天カードクレジット決済」と「楽天キャッシュ決済」の10万円を超える部分はすべてSBI証券での買い付けに変更しようかと思います。
消費者向けにより努力してくれる会社を選びたい
証券会社も営利企業ですから、利益を追求するのは当然です。もし、利益度外視の運営で破綻してしまっては、利用者としても困ります。
また,ポイントはそもそも販売戦略の1つです。ポイントをえさに顧客を集め、目標を達成したあとはポイントを減らしていくのは普通の手段でしょう。「ポイントはもらえるうちにもらっておく」というのが基本的なスタンスです。
しかも、楽天は楽天モバイルでのコスト負担が大きく、これまでのようなポイントの大盤振る舞いが難しくなっていくのではないかとの見立てもあります。カードによる積立設定をする人ももう伸び切りつつあるのでしょう。そうすると営業費用は別のところ(今回でいえば楽天キャッシュ)へ使っていくのが賢い方法だとは私も思います。
ただ、この様子だと、ポイント還元だけでなくその他のサービスもユーザーへの還元を減らしていくことになるのではないかと疑わしい気もします。
たとえば楽天銀行では、2022年4月から楽天証券との「マネーブリッジ」を利用している人を対象に行ってきた金利優遇を縮小することになりました(画像は楽天銀行のお知らせより)。
今回の楽天証券のポイント改定を「たかがポイントが減っただけ」のように言う人もいますが、果たしてそれだけで済むのかもややあやしくなってきたかもしれません。
ポイントを付けたり、サービスを向上したりしなくてもユーザーが離れないのであれば、企業も努力をしなくなっていきますよね。
「ポイントを減らしたけどユーザーが減らない」というデータが積み上がれば、きっとほかのところももっと削られていきます。ユーザーへの還元が減っても何も行動を変えなければますます悪くなるでしょう。
インデックスファンドの低コスト化が進んだ背景には、企業間の競争とともに、ユーザーがそういう商品を選んでいったこともあります。そう考えると、一人ひとりの選択は小さくても大事ですよね。
どの証券会社を使うかはポイント以外のことも含めた総合的な判断になりますが、楽天証券のほうが優れている点はそのまま使いつつも、私はこれを機にライバルのSBI証券を利用する割合を増やしていくつもりです。
具体的には、「楽天カードクレジット決済」と「楽天キャッシュ決済」の合計10万円を超える分はSBI証券での購入に切り替えていきます。要するに、楽天証券で買ってもポイントの対象にならないところということです。
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