



インデックスファンドのリターンは、「配当込み指数の動き」と「運用のコスト・誤差」によって決まります。同種のインデックスファンドであれば指数の動きは同じですので、運用のコストや誤差がなるべく小さいファンドが投資家にとって優れた商品ということになります。



そこで、この記事では、基準価額の推移をもとにこれまでの運用状況を比較しています。
最終的な損益を分析することで、見えないコスト面も含んだファンドの総合的な実力を知ることができます。
2025/05/03 2025年4月末の情報に更新。
2025/04/12 2025年3月末の情報に更新。
2025/03/11 2025年2月末の情報に更新。
2025/02/13 2025年1月末の情報に更新。
2025/01/17 2024年12月末の情報にて新規公開。
米国株式インデックスファンドには、2種類の対象指数(ベンチマーク)があります。
S&P500
S&P500は、米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出する時価総額加重平均型の株式指数です。米国を代表する大型株約500銘柄で構成され、米国市場における企業の時価総額の約80%をカバーします(2024年12月時点)。
指数を構成するトップ5社は次の通りです(2025年1月時点)。
銘柄 | 構成比 |
アップル | 7.07% |
エヌビディア | 6.67% |
マイクロソフト | 6.16% |
アマゾン・ドット・コム | 3.81% |
メタ・プラットフォームズ | 2.46% |










S&P500に連動するインデックスファンドは以下のとおりです。
なお、信託報酬は税込、純資産総額の単位は百万円。ファンドは、①信託報酬率が安い、②運用期間が長い(設定日が古い)順に並べています。また、緑色の欄は「前月末までの◯年間の総リターン」を示し、黄色の欄は過去5年における1年ごとのリターンを示しています。「過去1年の資金流入(概算)」は1年前と現在の純資産総額の差を過去1年のリターンで補正する方法で概算しています。
名称 | 信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
前月までの長期リターン | 過去5年における1年ごとのリターン | 過去1年の 資金流入 (概算) |
決算日 | 設定日 | 備考 | ||||||||
過去 1年 |
過去 3年 |
過去 5年 |
過去 10年 |
過去 15年 |
過去 1年 |
1~2 年前 |
2~3 年前 |
3~4 年前 |
4~5 年前 |
||||||||
つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500) |
0.05860% | 0.155% | 5,673 | -0.12% | – | – | – | – | -0.12% | – | – | – | – | 3,279 | 2024/05/02 | 2023/11/17 | 実質コストは概算。信託報酬に原資産経費率約0.03%(年率)含む |
ステート・ストリート S&P500 |
0.07480% | 0.137% | 276 | -0.25% | – | – | – | – | -0.25% | – | – | – | – | 253 | 2024/11/15 | 2024/01/11 | 実質コストは概算 |
楽天・プラス S&P500 |
0.07700% | 0.101% | 479,205 | -0.19% | – | – | – | – | -0.19% | – | – | – | – | 325,064 | 2024/07/16 | 2023/10/27 | 実質コストは概算 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
0.09372% | 0.104% | 6,332,347 | -0.15% | 52.71% | 168.70% | – | – | -0.15% | 46.58% | 4.34% | 18.85% | 48.04% | 2,022,380 | 2025/04/25 | 2018/07/03 | 信託報酬は5000億円未満の部分が0.852%、5000億円以上が0.0846%、1兆円以上の部分が0.0840% |
たわらノーロード S&P500 |
0.09372% | 0.149% | 101,938 | -0.21% | – | – | – | – | -0.21% | 46.53% | – | – | – | 76,164 | 2024/10/15 | 2023/03/30 | |
はじめてのNISA 米国株式(S&P500) |
0.09372% | 0.213% | 48,267 | -0.19% | – | – | – | – | -0.19% | – | – | – | – | 39,556 | 2024/06/03 | 2023/07/10 | |
iシェアーズ米国株式 S&P500 |
0.09380% | 0.099% | 56,910 | -0.15% | 52.32% | 165.07% | 251.46% | – | -0.15% | 46.45% | 4.16% | 18.13% | 47.32% | 15,512 | 2024/05/02 | 2013/09/03 | 信託報酬に原資産経費率約0.03%(年率)含む |
SBI・V S&P500 |
0.09380% | 0.104% | 1,815,986 | -0.11% | 52.50% | 167.52% | – | – | -0.11% | 46.41% | 4.28% | 18.69% | 47.80% | 250,018 | 2024/09/17 | 2019/09/26 | 信託報酬に原資産経費率約0.03%(年率)含む |
SMBC・DCインデックス S&P500 |
0.09680% | 0.132% | 117,198 | -0.28% | 52.20% | – | – | – | -0.28% | 46.40% | 4.26% | 18.55% | – | 58,559 | 2024/11/20 | 2020/07/22 | |
My SMT S&P500 |
0.09680% | 0.228% | 78,522 | -0.28% | 51.97% | – | – | – | -0.28% | 46.25% | 4.20% | – | – | 45,093 | 2024/03/26 | 2022/03/29 | |
iFree S&P500 |
0.19800% | 0.257% | 370,846 | -0.33% | 52.00% | 166.73% | – | – | -0.33% | 46.38% | 4.19% | 18.67% | 47.86% | 155,103 | 2024/09/09 | 2017/08/31 | |
つみたて 米国株式(S&P500) |
0.22000% | 0.234% | 131,924 | -0.29% | 52.11% | 167.00% | – | – | -0.29% | 46.39% | 4.21% | 18.71% | 47.86% | 85,555 | 2024/06/25 | 2020/03/06 | |
NZAM・ベータ S&P500 |
0.22000% | 0.262% | 2,788 | -0.36% | 51.67% | 164.63% | – | – | -0.36% | 46.17% | 4.14% | 18.48% | 47.27% | 477 | 2024/12/11 | 2020/02/13 | |
Smart-i S&P500 |
0.24200% | 0.286% | 54,018 | -0.38% | 51.21% | – | – | – | -0.38% | 46.06% | 3.92% | 18.26% | – | 33,195 | 2024/06/25 | 2020/07/29 | |
eMAXIS S&P500 |
0.33000% | 0.339% | 101,139 | -0.39% | 51.62% | – | – | – | -0.39% | 46.23% | 4.09% | 18.58% | – | 33,542 | 2025/01/27 | 2020/12/14 | |
ステート・ストリート 米国株式 |
0.49500% | 0.515% | 122,266 | -0.63% | 50.39% | 162.87% | – | – | -0.63% | 45.81% | 3.80% | 18.38% | 47.65% | 23,849 | 2025/03/10 | 2017/09/29 | |
農林中金<パートナーズ> つみたてNISA S&P500 |
0.49500% | 0.540% | 41,482 | -0.63% | 50.52% | 161.43% | – | – | -0.63% | 45.83% | 3.87% | 18.22% | 46.92% | 17,718 | 2025/11/15 | 2017/12/19 |
直近1年間のリターン(緑色の欄の一番左)では、2022年1月以来、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が31回、「SBI・V・S&P500」が6回、「iシェアーズ米国株式(S&P500)」と「楽天・プラス・S&P500」が3回トップを取っています。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、過去5年における1年ごとのリターン(黄色の欄)でも好成績ですので、継続的に優位にあると思われます。「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は公募型投信のなかで純資産総額が1位になっていて、資金流入も圧倒的です。










なお、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「つみたてiシェアーズ・米国株式(S&P500)」「SBI・V・S&P500」などは運用方法が異なります。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は構成銘柄を自社のマザーファンドで銘柄を直接買い付ける方式です。「つみたてiシェアーズ・米国株式(S&P500)」は自社グループである米国ブラックロック社のIVV(iシェアーズ・コアS&P500ETF)を購入する方式、「SBI・V・S&P500」は米国バンガード社のVOO(バンガード・S&P500ETF)を購入することで構成銘柄をそろえていきます。
ですので、「つみたてiシェアーズ・米国株式(S&P500)」や「SBI・V・S&P500」などは投資先ETFの経費率も間接的な運用費用としてかかってきます。










なお、運用方法は違いますが、米国および日本における課税の影響は同じです。
◆「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」関連の記事はこちら


CRSP U.S. Total Market
CRSP U.S. Total Market指数は、米国株式市場に上場する3,500銘柄以上のほぼ全てカバーする時価総額加重平均型の株式インデックスです。S&P500と比べて、時価総額の小さい小型株も組み込まれていることが特徴です。










指数を構成するトップ5社は次の通りです(2024年6月時点)。
銘柄 | 構成比 |
アップル | 6.10% |
マイクロソフト | 5.80% |
エヌビディア | 5.14% |
アルファベット(A) | 3.20% |
アマゾン・ドット・コム | 3.19% |










名称 | 信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
前月までの長期リターン | 過去5年における1年ごとのリターン | 過去1年の 資金流入 (概算) |
決算日 | 設定日 | 備考 | ||||||||
過去 1年 |
過去 3年 |
過去 5年 |
過去 10年 |
過去 15年 |
過去 1年 |
1~2 年前 |
2~3 年前 |
3~4 年前 |
4~5 年前 |
||||||||
PayPay投資信託インデックス アメリカ株式 |
0.08060% | 0.304% | 2,678 | -0.68% | – | – | – | – | -0.68% | 45.17% | – | – | – | 1,395 | 2024/04/15 | 2023/03/22 | 信託報酬,実質コストに原資産経費率約0.03%(年率)含む |
SBI・V 全米株式 |
0.09380% | 0.110% | 275,441 | -0.82% | 49.22% | – | – | – | -0.82% | 46.16% | 2.93% | – | – | 24,122 | 2024/07/11 | 2021/06/29 | 信託報酬,実質コストに原資産経費率約0.03%(年率)含む |
楽天 全米株式 |
0.16200% | 0.182% | 1,603,561 | -0.96% | 49.03% | 160.33% | – | – | -0.96% | 46.20% | 2.92% | 14.45% | 52.63% | 133,606 | 2024/07/16 | 2017/09/29 | 信託報酬,実質コストに原資産経費率約0.03%(年率)含む |
直近1年間のリターン(緑色の欄の一番左)では、2022年6月以来、「SBI・V・全米株式」が23回、「楽天・全米株式」が9回、「PayPay投資信託インデックスアメリカ株式」が1回トップを取っています。
「SBI・V・全米株式」「楽天・全米株式」「PayPay投資信託インデックスアメリカ株式」の運用方法は同じで、米国バンガード社のETF、VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)を購入しています。










「SBI・V・全米株式」のほうがリターンがよい傾向が続くのではないかと私は考えていますが、購入できる証券会社が限られているのが難点です。その場合は「楽天・全米株式」を買うか、もしくはS&P500との差は小さいので、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」を選んでもいいと思います。



なお、運用方法が基本的に同じなのに「PayPay投資信託インデックスアメリカ株式」のリターンが大きく劣後しているのは運用要因だと思われます。このファンドはその点でオススメできません。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が最も安心
『ウォール街のランダム・ウォーカー』のバートン・マルキールや『敗者のゲーム』のチャールズ・エリスをはじめ、インデックス投資に関する研究の多くはS&P500を主な対象にしてきました。また、米国で最初に組成されたインデックス商品もS&P500に連動するものです。ですが、CRSP U.S. Total Market指数も定評がある指数で、バンガードのVTIがベンチマークに採用しています。
S&P500は大型株のみで、CRSP U.S. Total Market指数は中・小型株も含んでいます。そのため、大型株の株価のリターンが中・小型株を上回れば、S&P500のほうがリターンが高くなり、逆であればCRSP U.S. Total Market指数のリターンのほうが高くなります。










どちらの指数を選ぶかによって、最終成績に大きな違いはないといえます。この点は、全世界株式のMSCI ACWIとFTSE Global All Cap指数の関係に似ていますね。
そのため、純資産総額が最も大きく、かつ運用も問題なく行われていると考えられる「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が最も安心だと思います。
もちろん信託報酬が同水準に安い「SBI・V・S&P500」や、CRSP U.S. Total Market指数に連動する「SBI・V・全米株式」を選んでも間違いないでしょう。










◆全世界株式や先進国株式など、その他の指数に連動するファンドの比較はこちらから!



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