ネット証券の楽天証券が2019年7月5日,米国株の最低取引手数料の引き下げを発表しました。以前は5ドル(税抜,以下同じ)だったものを,500分の1の0.01ドルに引き下げるというものです(プレスリリース)。
7月4日には同じくネット証券のマネックス証券が5ドルから0.1ドルへの引き下げを発表したばかりです(プレスリリース)。
こういったニュース,米国株投資家の方はもちろん,インデックス投資派の人でもバンガードなどの米国籍ETFを取引する際は関係してきます。
少額の資金しかないため,米国株・米国籍ETFの購入をためらっていた若手投資家にもグッドニュースです。
最低取引手数料は米国株投資のハードルの一つ
ノーロード(購入手数料ゼロ)の投資信託を積み立てていると忘れがちですが,株式市場で取引するには,約定金額のほかに証券会社に取引手数料を支払わなければなりません。ETFを取引する場合も同じです。
取引手数料は証券会社によって異なり,主要ネット証券のSBI証券,楽天証券,マネックス証券では米国株取引では原則として約定金額の0.45%です。ただし最大と最低が設定されており,各社とも以下の通りでした。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
取引手数料 | 約定金額の0.45% | 約定金額の0.45% | 約定金額の0.45% |
最低取引手数料 | 5ドル | 5ドル | 5ドル |
最大取引手数料 | 20ドル | 20ドル | 20ドル |
各社横並びです。取引手数料は約定金額の0.45%ですが,最低取引手数料が5ドルだと,約定金額1111ドル未満の場合に手数料が割高となってしまいます。日本円で10万円を優に超える金額です。
直接比較はできませんが,ノーロード投資信託が100円から買える時代にあって,最低取引手数料の高さは米国株取引のハードルを上げる一因でした。
引き下げでこうなる
(2019/07/11 全面更新)
各社,現地7月22日約定分からの引き下げです。
SBI証券 | 楽天証券 | マネックス証券 | |
取引手数料 | 約定金額の0.45% | 約定金額の0.45% | 約定金額の0.45% |
最低取引手数料 | 0ドル | 0ドル | 0ドル |
最大取引手数料 | 20ドル | 20ドル | 20ドル |
「最低取引手数料を無料化」というややこしいキャッチフレーズを付けて各社ともプレスリリースを出しています。実質的には最低取引手数料の撤廃です。取引手数料として「約定金額の0.45%」がかかってくるのは変更されません。
1株からでも,米国籍ETFが最低取引手数料を超えるように
例えば,人気の米国籍ETFの株価は7月5日時点で,
- VT:約75ドル
- VTI:約152ドル
- BND:約83ドル
- VWO:約43ドル
- VEA:約42ドル
- VYM:約88ドル
です。いずれも1株1111ドルを下回るため,これまでは1株を購入しようとすると最低取引手数料が5ドルかかってしまいました。
たとえば,VWOでは,1株購入では約43ドルの約定金額に対して5ドルの最低取引手数料を支払うところでした。それが,7月22日以降は1株での購入でも,取引手数料0.45%が適用され,最大取引手数料が適用される4444ドルまで手数料体系が約定金額と比例するようになりました。
VWOを1株買う場合,今回の改定によって取引手数料は約定金額の0.45%の0.19ドルですむようになります。
なお,ここでは詳しく紹介しませんが,個別株の購入に及ぼす影響も同じです。少額取引でも手数料負けする可能性が大幅に低くなったのは好感が持てます。配当金再投資戦略の人にも好都合なニュースでしょう。
かく言う私もナスダック100に連動するQQQ,新興国株式ETFのVWOを楽天証券で保有しています。定期積み立てしているわけではありませんが,どちらも今回の改定で少額でも買いやすくなりました。
少額の投資環境が整うのはありがたい
マネックス証券の最低取引手数料の大幅引き下げを受けて始まった各社の競争は,SBI証券が最低取引手数料の撤廃を発表,他の2社が追随したところで幕引きとなりました。
近年の米国株の人気から,米国株投資を気軽に始めたい人は多いことでしょう。米国株・米国籍ETF購入のハードルの一つとなっていた最低取引手数料が下がることは投資家にとってよいことです。証券会社の動向にも引き続き注目です!
◆米国籍ETFのQQQを買ったときの話。
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