なまずんです。
2018年11月26日にFund of the Year(FOY)2018に投票しました(投票期間=2018年11月1日~30日)。
FOYは投信ブロガーがファンドを評価するイベントで,年に1回開催されてきました。2007年に始まり,今回で12回めです。2017年11月にブログを開設した私は初めての参加です。
企画趣旨は引用の通り。投資家目線のファンド評価を通じて「自分たちの手でよりよい投資環境を」という思いに強く賛同いたします。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」とは?
投資信託について一般投資家の目線でつねに考え、情報を集め、ブログを書いている投信ブロガーたち。投資信託の事情通である彼らが支持する投資信託はどれか?証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、それを広めることで「自分たちの手でよりよい投資環境を作っていこう!」というイベントです。
投票先は,3つのファンド
投票先のファンドは次の3つです。eMAXIS Slim先進国株式に2票,<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドに2票,たわらノーロード先進国株式に1票。
いずれもMSCIコクサイインデックスに連動するインデックスファンドです。ニッセイ外国株式はFOY2014~2016を三連覇し,2017でも第2位を獲得した人気ファンドです。
数あるファンドから一押しのファンドを選ぶのは難しいですね。全世界に投資するETFや投資信託も候補と考えていたので,もっとたくさん選べれば……!笑
選んだ理由
私がなぜこの3つを選び,なぜこの点数配分としたかを書きます。私は30年以上の長期投資を前提としています。ファンドに求める要件は以下の2つです。
- 同種ファンドの中でコストが十分低いこと
- 途中で償還せず,長期運用が見込めること
どのファンドも,将来の運用状況はわかりません。現時点での状況から,私自身の資産形成に役立てたいファンドとして選びました。
長期運用のため,選ぶファンドの資産クラスは株式です。『ウォール街のランダム・ウォーカー』によれば,伝統的資産である株式・債券のリターンを比べると,30年以上の長期投資ではほぼ確実に株式のリターンが上回るとされています。
株式クラスには国内株式,先進国株式,新興国株式とありますが,今回は私の投資先で最も大きい先進国株式から選びました。思い入れも期待も強いものですから。
また,低コストは最重要ポイントなため,低コストのインデックスファンドから選定しています。
同種ファンドの中でコストが十分低いこと
コストには信託報酬と,その他の費用を含んだ実質コストがあります。
信託報酬では,選んだファンドのうち,eMAXIS Slim先進国株式,ニッセイ外国株式は信託報酬が同種のファンドの中で業界最低水準(0.11772%)です。
eMAXIS Slim先進国株式は「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けるファンドシリーズ」との標語通り,同種ファンドの中で最低水準の信託報酬を追求してきました。先進国株式だけでなく,他のアセットクラスでも業界最安のファンドの信託報酬にピッタリ追随している点は評価できます。
たわらノーロード先進国株式は信託報酬では両ファンドより高い水準ですが,その他費用を加えた実質コストでは健闘しています。
たわらノーロード先進国株式は2017年12月,eMAXIS Slim先進国株式とニッセイ外国株式は2018年7~8月にかけて信託報酬の改定を行いました。現在の信託報酬水準が安いことはもちろん重要ですが,長期投資では将来の投資信託水準も気になります。今回選んだファンドは設定後に適宜コストを見直す姿勢が共通しており,好感します。
繰上償還せず,長期運用が見込めること
運用の継続性ははるか先の将来のことなので確実なことはわかりません。3ファンドのうち最も運用期間が長いニッセイ外国株式でも運用開始から約5年。30年以上先の未来はわかりません。
しかし,ファンド規模が大きく,資金が流入傾向のファンドの運用が打ち切られる可能性は低いでしょう。そこで,私はファンド選択で,ファンド規模と運用資産残高の推移に着目しています。
ニッセイ外国株式は2018年11月に2013年12月の設定以来,運用資産残高を増やし続け,1000億円の大台を突破しました。他の2ファンドも設定後運用資産残高を増加させ,執筆時点で残高は250億円を超えています。
いずれも当面,繰上償還の可能性はないと考えられます。安心して積み立てられるところは高評価です。
過去のFOY受賞ファンドを振り返って
さて,投票にあたって過去のFOY受賞ファンドを眺めると,この12年で商品の質・量ともかなり変わったことを感じます。
例えば,2009年の第1位受賞は「バンガード・トータル・ワールド・ ストックETF(VT)」でした。VTが国内から直接購入できるようになったのを評価する声が上がりました。
・低コストで世界中にこれだけで投資可能で、リバランスの手間もかからない究極の1本。
・長期投資家が長く待っていたETF。 など
その後,VTは2011年の6位を除き,2016年まで定番ETFとして毎年ベスト3に入り続けます。2017年は第9位に沈んだものの,同年の第1位を受賞したのは「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)」。
・いつかはVTを購入したいと思いつつ、ハードルが高く外から指をくわえて見ているだけでしたが、投信で毎月VTに積立投資が可能になる日が来るなんて夢にも思っていませんでした。つみたてNISAでは本投信を主軸に積立を考えています。 など
全世界に分散投資するVTがより身近になったと好感する意見が多いことは興味深いです。
また,2009年に第2位を受賞した「eMAXIS 新興国株式」(Slimではない!)のコメントも興味深かったです。
・同じシリーズの【eMAXIS 先進国株式インデックス】と信託報酬が同率(=年0.63%)なのが魅力。
・STAM新興国株式から信託報酬を0.2%以上も下げた。えらい。 など
当時の信託報酬の水準を伺わせます。今となっては,「信託報酬年0.63%」と言われたら,「高!!」との反応に取られるでしょうね。
現在の信託報酬の最安水準は0.2%程度(SBI・新興国株式インデックス・ファンド 『愛称:雪だるま(新興国株式)』,eMAXIS Slim新興国株式インデックス)と,10年間で3分の1になりました。
人気ファンドの栄枯盛衰を通じて,徐々に投資環境が良くなってきたことを実感します。
まとめ
FOYの企画趣旨は「証券会社の宣伝やうたい文句にまどわされず、自分たちにとって本当によいと思える投資信託」。
近年はネット証券の興隆を背景に,ウェブからの投信購入者へのマーケティングも盛んになっていることでしょう。投信会社・証券会社とも,ブロガーをマーケティングに利用する動きも高まっています。発信する側にも一定のリテラシーが必要と感じます。
当記事を作るまで,なるべくバイアスを掛けたくなく他の方の投票記事をなるべく見ないように過ごしました。見ちゃったのもありますけれども……笑。みなさまはどうお考えか,これから他の方の記事も巡回したいと思います!
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