インデックス投資を始めるときに行うべきことの一つは証券口座の開設です。証券口座は株や債券,投資信託などの金融商品の取引に使う口座です。
銀行口座を作るときは自分にとって使いやすい銀行に口座を開きます。そのときには,店舗・ATMへのアクセスの良さや預金金利の高さ,各種の手数料やその優遇プログラムなどを基準に選ぶと思います。
同じように,証券口座も金融機関によってそのサービスが異なるため,自分の投資スタイルに合った会社を選ぶようにしましょう。
インデックスファンドを毎月一定金額で自動的に積み立て続けるつもりの人にとっては,証券口座の選び方は難しくありません。結論としては,低コストなインデックスファンドをラインアップしている証券会社のなかから,ポイント還元などの連携サービスが使いやすい会社を選ぶのがよいでしょう。
低コストインデックスファンドを売る会社は限られている
そもそも,投資信託だけを購入するのであれば,①証券会社に証券口座を作る方法と,②銀行で投資信託口座を作る方法があります。私としては,投資信託だけを購入する人でも,①証券会社に証券口座を作る方法がおすすめで,なかでもオンライン専業のネット証券に開設するのがよいと考えています。
その理由は,近年登場した低コストインデックスファンドを揃えているのは主にネット証券だからです。
口座を開く金融機関を選ぶときに最も重要なことは,買いたい商品の取り扱いがあるかどうかです。
たとえば,投資家目線で投資信託を評価する「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」の上位に入ったファンドの取り扱い会社を見てみましょう。第5位までに入ったのはeMAXIS Slimシリーズの全世界・米国・先進国・8資産均等ファンドと<購入・換金手数料なし>シリーズの外国株式インデックスファンドでした。
これらのシリーズの投資信託は信託報酬が安いことでインデックス投資家からの人気を集めてきました。インデックス投資家にとって信託報酬はリターンを下げる要因でしかないため,基本的には信託報酬が安いインデックスファンドが好まれます。
しかし,信託報酬が安いインデックスファンドは,販売側から見れば利益の少ない商品です。販売するのにコストがかかる店舗型の会社や,そもそも投資信託の販売に力を入れていないところでは積極的に取り扱う理由がありません。
そのような状況もあるため,数ある金融機関のなかで,「Fund of the Year 2019」の第5位までのファンドをすべて取り扱っているのは以下の10社しかないのが執筆時点での現状です。
- auカブコム証券
- SMBC日興証券
- SBI証券
- 岡三オンライン証券
- GMOクリック証券
- ジャパンネット銀行
- フィデリティ証券
- 松井証券
- マネックス証券
- 楽天証券
なお,従来の店舗網を持つSMBC日興証券でも,これらのファンドを購入できるのはオンラインで取引する口座のみです。
そのため,低コストで人気を集める投資信託を買うならネット証券に口座を開設するようにしましょう。
ネット証券以外では,執筆時点で193本あるつみたてNISA対象ファンドのうち10本ほどしかそろえていない金融機関もよくあります。取り扱い商品数は多ければよいというわけではありませんが,あまりに選択肢が少ないと,のちのち他の商品を買うことになったときに制約が出てくるかもしれません。
今後,より良い商品が出てきた場合にそれが取り扱われる可能性を考えると,多くの投資信託を取り扱っている金融機関のほうが安心に思います。
ネット証券のなかで自分に合った会社を選ぶ
私は楽天証券だけで~す!
現物株などの取引では,ネット証券各社でも強みとなるサービスが異なります。海外株の取り扱いの幅や,その際の手数料にも違いがあります。そのため,複数社に口座を開設して賢く使い分ける方法もよく見られます。
しかし,つみたてNISAや特定口座などで投資信託を積立購入し,保有し続けるような使い方であれば,ネット証券各社で大きな差はありません。どこを選んでも購入時・売却時の手数料は無料で,保有期間中の信託報酬もファンドで決まっているため同じです。
そのため,私たちにとって証券口座選びの決め手になったのはその他のサービスと連携した使いやすさでした。
私たちが楽天証券とSBI証券を選んだ理由はおもに次の点です。
- 楽天銀行や住信SBIネット銀行を使っている
→連携することでお金の管理がスムーズで,かつ銀行側の普通預金金利が上がる - 連携したポイントサービスを使っている
→投信の保有額などに応じて提携ポイントがもらえる - 利用者が多く,他の人の実践が参考にできる
→お得なキャンペーンなどの情報が入ってきやすい
楽天証券は口座を持っていることと,ポイントで投資することが楽天市場での購入時のポイントアップの条件にもなっています。
ほかの会社でも,たとえばauカブコム証券はPontaポイントと連携していて,似たようなポイントサービスが展開されていますので,使いやすいところを選ぶのがよいでしょう。
なお,iDeCo口座で購入できる投資信託は,他の口座とは別にラインアップされています。
そのため,つみたてNISAなどでは取り扱っていても,iDeCo口座では取り扱われていない場合があります。そのような場合はiDeCo口座のみ他の証券会社で開設するのも一手です。
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