なまずんです。
今日はあるブログの記事を題材にしたお話です。
仮想通貨界の有名ブロガーの最近の記事です。運営者のマナさんは2017年に仮想通貨を購入した先行者で,仮想通貨に詳しい人はご存じかもしれません。技術的なことから市況まで中立的な分析記事が多く,私が継続して読んでいる唯一の仮想通貨ブログです。
といっても,仮想通貨の話題を取り上げるわけではありません。積立投資家,インデックス投資家の視点で読んで思ったことを書きます。「つみたてNISA」などについて調べても始めない人に関しても私見を述べます。
自分から行動できない初心者がビットコインを手にしたときのお話
マナさんの記事「妹がビットコインを手にした時のお話し」の背景はこんな感じ。
- 妹は高卒で地元の田舎町で就職,結婚。安月給で働く
- 夫も同じ職場で安月給
- 金遣いは荒く,勉強はしない
- 少しでもややこしい話になると「難しい」と言って思考停止
- 「格安SIMを調べた」と言うも,行動に移せない
こんな妹にビットコインをあげてみた話です。
案の定,マナさんの妹はビットコインをどう取り扱ったらよいかがわからず,「難しい」と言って思考停止。「調べた」と話すものの,ビットコインを売買する取引所に口座を開設したり,店舗で利用する行動に移したりすることはありませんでした。
仮想通貨に関心を持ち,検索までしたものの,自分がどう行動すべきかがわからずに機会を全く活用できなかった例と言えます。
マナさんによれば,そもそも仮想通貨を取引するにはある程度の知識が必要です。「レイトマジョリティ~ラガードの層にはチンプンカンプンの代物」と分析しています。そして「年収と知性は相関関係にあると考えている」と結んでいます。
言葉は悪いですが,「年収が低く,知性が低い人にビットコインを与えたとしても,取引したり使ったりするほど理解できない」ということになります。
「ビットコイン」を「つみたてNISA」などに置き換えて読む
私のブログの読者の多くは仮想通貨投資家ではないと思うので,マナさんの記事は縁遠い話に聞こえるかもしれません。
でも,「ビットコイン」を「つみたてNISA」,または「iDeCo」,「インデックス投資」,もしくは「ふるさと納税」などに置き換えて読んでみるといかがでしょうか。置かれた状況はそれほど違うとは私には思えません。
「投資や節税は資産家が取り組むもので,庶民には無縁」といったイメージは徐々に崩れてきてはいますが,ややこしい非課税投資制度,複雑な目論見書,優遇を受けるのに手続きが必要な寄附金控除など,投資環境はまだ簡単なものではありません。
つみたてNISAやiDeCoは優秀な仕組みですが,それは投資について詳しい人にとってのものであり,現時点では「レイトマジョリティ~ラガードの層にはチンプンカンプンの代物」と言っても間違いではないでしょう。
情報に基づく行動の結果がうまくイメージできていない
こういった人たちの最大の課題は,金融知識の有無ではなく,関心を持っても「調べた情報を基に行動する」という行為が完結できないところにあります。
優れた制度があるにもかかわらず投資を始めない人が多いことについて,「幼少期からの金融教育の不足」がよく言われます。しかし,確かに金融教育も重要ですが,私はそれが特効薬になるとはあまり考えていません。
今の時代,誰でも文字情報や解説動画にアクセスすることは可能です。それを解釈し,行動に落とし込むところが壁でしょう。すなわち,次のような構造が問題と考えています。
検索「〇〇って何だろう?」
↓
何らかの情報が出てくる(つみたてNISAの仕組みや,投資信託の選び方など)
↓
得た情報を基に自分が行動したときの結果がイメージできない
↓
得た情報の自分にとってのメリット・デメリットが評価できない
↓
行動しない(「難しくてよくわからなかった」)
個人的に特に問題視しているのは,3番目の「得た情報を基に自分が行動したときの結果がイメージできない」ところです。投資のリスク,リターンなどについて自分ごととしてとらえるのは少し難しいからです。しかも,この部分に齟齬が生じると,投資という選択を見過ごしてしまったり,逆にやたらと高リスクな投資法に傾倒してしまったりします。
実践録がきっかけには重要
この層にアプローチするには,単なる情報の解説ではなく,情報の受け手に共感してもらう内容づくりが必要です。例えばリスク許容度の話をするのであれば,大幅な下落相場に巻き込まれたときの自分の感情を訴えるなどです。あるいは,その時期も積立投資を続けたことにより,大きなリターンを得たという成功体験を語るのも重要です。
もちろん,そもそもリスクを伴う投資は全員が積極的に行わなければならないものではありません。しかし,働きながら比較的簡単に実践できる積立投資やインデックス投資という道があるのを知って選択しないのと,知らずに(または間違った知識を持って)選択できなかったのでは意味が違います。
より多くの人に投資のきっかけは与えるべきです。そのうえで,地道ながら最も効果があるのは,生活感のある実践録(特に成功の記録),生の言葉が付された情報ではないかと思います。ということで,「つみたてNISA」について調べても始めない人が多い現状は,「つみたてNISA」などの仕組みを作るだけでは不十分で,現在の実践者の地道な発信が必要という考えに至ります。
コメント
はじめまして。いきなりすみません。
以前からBANK ACADEMYの小林亮平さんのTwitterアカウントをフォローしており、3月7日配信のYouTube動画を見て、なまずんさんのブログを知りました。
私は普段地方で働いている27歳女の会社員で、資産運用や投資に興味があり一昨年FP3級ほど取得しました。しかし、こちらの記事にあるような「調べた情報を基に行動することができない」タイプの人間で、楽天証券で口座を開設したものの、読書やSNSから情報を収集するばかりで何も始められていない状況です。
なまずんさんのブログを読んで、これを機に、興味のあったつみたてNISAを始めてみよう!と決心しました。
そこでふたつ質問があります。
ひとつ目は、以前他の方のブログで、楽天証券では毎日つみたてる方がポイントが貯まって良いとの記事を見ました。なまずんさんは楽天証券で投資信託を購入されていると拝見しましたが、毎月つみたてなのでしょうか?毎日つみたてることのメリットは、取り引き件数を月20回以上にすること(ランクを上げるため)以外に何があるのか、いまいち分かりません(私は口座の貯金額の点からランクをあげる必要はありません)。
ふたつ目は、なまずんさんは預金をどういった形でされていますか?私は現在、SBJ銀行の2年定期(2年前のキャンペーン時に金利が良かったので)と楽天の普通預金(マネーブリッジに登録状態)に預けております。
長々と申し訳ありません。もしよろしければ、お答えいただけると喜びます。とても参考になるブログを知り、大変嬉しく思っています。これからも更新楽しみにしています!
くるみさん
コメントをありがとうございました。私と同年代でご関心をお持ちの方からのコメントはうれしいです。
FP3級の取得,おめでとうございます。また,本やSNSで情報収集をされているとのこと,とても素晴らしいと私は思います。
・楽天証券の件
毎日積立が有利とのこと,文面から察するにこちらのことだと思います。
https://ideco-ipo-nisa.com/31290
どうやら,この方式は改悪されてしまったようです。
私は楽天カードクレジット決済で毎月1回積み立てています。この方式は,買付日が毎月の月初に固定されています。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/creditcard.html
毎月積立と毎日積立では,毎日積立のほうが過去,わずかにリターンが上回るという調査結果がありました。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO17172260R00C17A6000000
ただし,今後も続くとは限りませんし,お好きな方でよいと思います。私は特定口座では毎日積立にしている商品もあります。
平日の日数は毎年違うので,つみたてNISA枠をぴったり使いたいのであれば,毎月のほうが楽だと思います。
・預金について
管理はくるみさんとほぼ同じです。わずかですけれど,少しでも金利が高い銀行においておくほうがいいですもんね。
ただし,振り込みへの対応や災害時の備えのために,近くに店舗がある銀行やゆうちょにも数十万円程度を置いています。
私にとっても大変参考になるご質問をありがとうございました。
不定期更新ですが,今後ともよろしくお願いいたします!