2021年6月に設定された超低コストインデックスファンド「SBI・V・全米株式」が、2022年8月17日に純資産総額1000億円を突破しました。
設定から1年2か月での到達です。早い!
ライバルの「楽天・全米株式」より信託報酬が安い「SBI・V・全米株式」
「SBI・V・全米株式」はCRSP U.S. Total Market指数に連動するインデックスファンドです。運用方式はバンガードのVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)をひたすら購入していくというもので、これは「楽天・全米株式」(楽天VTI)とまったく同じです。
この2つのファンドの過去のリターンや信託報酬、設定日といったスペックを比較してみました。注目したいのは信託報酬に差があることです。リターンは2022年7月末時点、信託報酬・純資産総額(百万円)・運用方法は執筆時点のデータです。
名称 | 1年 リターン |
3年 リターン |
信託報酬 | 純資産 総額 |
運用方法 |
SBI・V 全米株式 |
10.82% | – | 0.088% | 101,439 | マザーファンドを通じて VTIをひたすら購入 |
楽天 全米株式 |
10.76% | 69.79% | 0.150% | 689,875 | マザーファンドを通じて VTIをひたすら購入 |
直近1年間のリターンは「SBI・V・全米株式」に軍配が上がっていますが、ほぼ互角というところ。
下の記事にまとめていますが、運用当初はコストの比率が高いのか、最初は「SBI・V・全米株式」が後れを取っていました。1年経った時点では「SBI・V・全米株式」が少しリードしている状態になっています。
信託報酬が安い分、このまま「SBI・V・全米株式」が有利になるのか注目しています。
◆リターン比較の詳細は過去に記事の後半をどうぞ。
SBIアセットマネジメントの米国株式インデックスファンドでは、S&P500に連動する「SBI・V・S&P500」がよく売れていますが、こちらも1年で1000億円ほど売れていて、よく売れているといえます。
月間資金流入では「楽天・全米株式」が2~4倍
さて、純資産総額は3年9か月も早く設定された「楽天・全米株式」のほうが大きく、「SBI・V・全米株式」とこれまでの推移を比べるとまだ大きな差がついています。
「SBI・V・全米株式」が1000億円に達するまでの期間に、「楽天・全米株式」は約4000億円も純資産総額を伸ばしました。
ただし、上のグラフは基準価額の変動の影響を受けます。ですが、日次の流入・流出を比較したモーニングスターの集計した月次資金流出入額を比べても、「楽天・全米株式」のほうが2~4倍多いです。
◆楽天・全米株式の月次資金流入
◆SBI・V・全米株式の月次資金流入(注:縦軸が異なります)
縦軸が異なるところに要注意です。「SBI・V・全米株式」もよく売れていますが、「楽天・全米株式」はそれをかなり上回っていますね。「SBI・V・全米株式」に大きく奪われたような感じはありません。
これには「SBI・V・全米株式」はSBI証券でしか買えないのに対して、「楽天・全米株式」は多くのネット証券で買えるという販路の差があると思われます。このままでは資金流入額が逆転するのは難しいと思われますし、信託報酬が相対的に高い「楽天・全米株式」が「SBI・V・全米株式」を意識して信託報酬を下げる……という期待もあまり持てません。
当面は「『楽天・全米株式』のほうが信託報酬が高いけれど、売れ行きは良い」という状況が続くと思われます。
運用状況も悪くありませんから、「SBI・V・全米株式」と「楽天・全米株式」のどちらも買えるSBI証券なら、「SBI・V・全米株式」を選ぶほうが良いかなと思っています。
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