自治体に寄附することで,所得税・住民税から控除を受けつつ返礼品をもらえるふるさと納税が人気です。
ところで,すでに行ったふるさと納税について,きちんと控除されているか確認しましたか?
毎年5~6月になると,勤務先や居住地の税務課から,住民税の決定通知書をもらいます。これらの書類はときに間違っていることもあるので,住民税の控除を受けられる人は,通知書を入手したらその金額が適切に控除されているか必ず確認しましょう。
この記事では確定申告で税額を決定した会社員向けに,ふるさと納税の控除が受けられていることを確認する最低限の方法をまとめます。私は2018年度は普通徴収,2019年度は特別徴収を経験したので,それぞれ解説します。
◆確定申告不要の「ワンストップ特例制度」を使った人の確認方法はこちらの記事へ。
準備すべきものと基礎知識
確認の前に,必要なものを準備します。
- 寄附金総額のわかるもの
- (あれば)提出した確定申告書の詳細。前年の所得税における所得税率がわかるもの
- (特別徴収の場合)「給与所得に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書(納税義務者用)」(以下,住民税の決定通知書)
- (普通徴収の場合)「税額決定納税通知書(課税明細)」
基礎知識
ふるさと納税における控除の仕組みについては別記事の項目で説明しています。
ふるさと納税の寄附金は所得税・住民税の両方から控除されているという点が理解できていれば,すでに知識は十分です(詳しい計算方法は知らなくてもOKです)。そのまま進んで問題ありません(図の出典は総務省ふるさと納税ポータルサイト)。
図における「①所得税からの控除」と「②住民税からの控除(基本分)」,「③住民税からの控除(特例分)」に2000円を足すとふるさと納税した金額になれば,きちんと控除を受けられていることになります。
確認の実際
ここからは,「①所得税からの控除」と「②住民税からの控除(基本分)」,「③住民税からの控除(特例分)」に分けて確認します。
「①所得税からの控除」を確認
計算式は以下です。
所得税率は,「課税される所得金額」をもとに,国税庁ウェブサイト等で簡単に求められます。「課税される所得金額」は,前年の確定申告書などを参照して調べます。
所得税率に掛ける「1.021」は2037年まで上乗せされる復興特別所得税です。これを忘れると計算が合わなくなってしまいます。
「②住民税からの控除(基本分)」,「③住民税からの控除(特例分)」を確認
この2つはいっぺんに確認できます。住民税の徴収方法が,給与天引きの特別徴収か,自分で納める普通徴収かで見方が変わりますので,分けて説明します。
特別徴収の場合
会社を通じて受け取る住民税の決定通知書をもとに調べます。ワンストップ特例制度を用いた場合の確認方法と同じく,税額欄の「税額控除額⑤」欄に記載された控除額を確認します(図の元画像は総務省資料から)。
以下のようになっていればきちんと控除を受けられています。
「+500円」となる理由は,
- 自己負担額2000円
- 「税額控除額⑤」に含まれる「調整控除」2500円
の差額です。
「税額控除額⑤」には,ふるさと納税による控除(寄附金税額控除)のほか,調整控除,住宅借入均等特別税額控除など複数の控除がまとめて計上されています。住民税の決定通知書の裏側に詳細が書かれているのでここでは説明を省きますが,これらの控除がある場合は,その金額も差し引いて確認します。
*なお,調整控除の金額はたいていのサラリーマンは2500円ですが,収入の少ない人や控除の多い人は2500円を超える場合もあります。
普通徴収の場合
個人宛に郵送されてくる「税額決定納税通知書(課税明細)」を参照します。会社からもらう通知書は給与所得以外の所得については書いていないためです。
私が以前住んでいた某所の住民税通知書の控えをもとに作成しました。「合計年税額」の部分が元から赤枠なので紛らわしいですが,使うのは下部の赤枠部分です。
「税額控除額の内訳」という欄の「寄附金税額控除」を確認します。特別区・市町村民税と,都道府県民税の2つを合算します。これが,住民税からの控除分(つまり,「②住民税からの控除(基本分)」+「③住民税からの控除(特例分)」)です。
特別徴収のときと違って,調整控除は別枠になっていますので,
となっていればきちんと控除を受けられています。
普通徴収のときに送られてくる「税額決定納税通知書(課税明細)」は寄附金税額控除だけを明示してくれるので,計算が簡単ですね。
面倒でも念のために確認を
あくまで最低限ではありますが,この記事では確定申告した場合における,ふるさと納税の税額控除の確認方法をまとめました。控除額を確認するところまでがふるさと納税ですので,少し面倒に思っても念のために確認しましょう!
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