2022年7月20日に、MSCI ACWIに連動する投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(以下,オルカン)が純資産総額6000億円を突破しました。
5000億円を突破したのが4月5日でした。3か月半で1000億円も純資産が増えています。
オルカンは設定から3年9か月ほどで純資産6000億円に
純資産総額の推移
オルカンの設定日は2018年10月31日です。3年9か月ほどで純資産総額が6000億円に達しました。執筆時点では基準価額の下落によって6000億円を割り込みましたが、資金流入額がものすごいので、すぐに増加基調になるでしょう(グラフは三菱UFJ国際投信のファンドページより)。
投資情報メディアのQUICKの記事によれば、資金流入は5月には推計366億円だったそうです。営業日は20日ほどですから、平均して1営業日あたり18億円ほど買われている計算になります。
信託報酬がわずかずつ安くなっている
「eMAXIS Slim」シリーズは純資産総額が増えるほど信託報酬がわずかながら減る信託報酬体系を採用しています。
純資産総額 | 信託報酬率 (税込) |
500億円未満の部分 | 0.11440% |
500億~1000億円の部分 | 0.11385% |
1000億円以上の部分 | 0.11330% |
6000億円の時点では、信託報酬は税込で0.113438%です。当初より0.001%(10万円に対して年間1円)ほど安くなりました。
「オルカン」は最近出た新しい(そして怪しい)投資方法?
さて、タイムリーにTwitterで見かけた話ですが、「オルカン」が最近ポッと出た流行りの投資対象と同列に語られるという事案があったようです。
オルカンを何か新しい横文字の歴史の浅い金融商品だと思っているのは相当まずい。オルカン登場前は日本株式、先進国株式、新興国株式インデックスファンドをバラ買いして擬似オルカンを作っていました。
— ケンズ (kenz 投資ブロガー ) (@kenz08) July 25, 2022
「オルカン」という名称こそ、このファンドが設定された2018年以降に定着した言葉です。しかし、「全世界の株式への分散投資」という思想は長らく実践されてきました。
たとえば、連動する指数は異なるものの、同じ全世界株式で代表的なETFであるバンガード社のVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)は2008年から運用されています。
「オルカン」の登場する少し前から運用を始めた私はツイートしているケンズさんのように、「日本株+先進国株+新興国株」をほぼ時価総額比になるように購入してきました。
設定変更が面倒なことなどのもろもろの理由から、実は私は現在もバラ買いしていますが、これは「オルカン」(オール・カントリー=全世界株式)そのものを志向しています。
最近ポッと出てきて、損するか得するかよくわからないような投資先とは異なり、オルカンは、「長年、多くの投資家の評価に耐えてきた方法が再注目され続けている」という理由でよく話題にのぼっているだけです。横文字になったからといってその好ましい評価が変わるわけではありません。
ただ逆にいえば、新しい略称で呼んでしまっていること自体が「よくわからない新しい投資手法」と一部に思われる原因かもしれません。「eMAXIS Slim」シリーズでも、全世界株式は米国株式(S&P500)に比べて売れ行きが半分程度です。仮にごく一部であってもその理由がこの略称にあるのかも……と思うと、私はなかなか複雑な気分です。
コメント