この記事では,継続的に信託報酬を引き下げてきたことで人気の投資信託「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(以下,ニッセイ外国株式)の基本情報と評価についてまとめます。
私にとって年間購入金額が最も多い商品です。
ニッセイ外国株式は先進国株式クラスの投資信託の低コスト化を牽引している点で特筆すべきファンドです。純資産総額の増加に伴って信託報酬を減らしてきた実績には多くの支持が集まっています。
ニッセイ外国株式とは
「ニッセイ外国株式」は,ニッセイアセットマネジメントが運用するインデックス型の投資信託です。2013年12月10日に設定され,金融庁が指定するつみたてNISA対象ファンドの1つに選ばれています。
低コストおよび購入時・売却時の手数料をゼロとした人気の<購入・換金手数料なし>シリーズの中で最も純資産総額の多いファンドで,執筆時点では先進国株式インデックスファンドの中でも純資産総額が第1位です。
ベンチマーク:MSCI kokusai Index
米国MSCI社が提供する株式インデックス「MSCI Kokusai Index(MSCIコクサイ インデックス)(円換算ベース,配当込み)」に連動する投資成果をめざします。
「外国株式」という名称ですが,新興国は含まず,日本を除く先進国株式が投資対象です。似た名称の「野村つみたて外国株投信」は新興国も含むため,少しややこしいですね。
日本を除く先進国24か国を対象とし,各国における株式市場の時価総額の90~95%程度をカバーします。為替の動きに対するヘッジは行いません。
主要な組入銘柄は以下のとおりです(交付目論見書(2020年2月21日)より)。
上位10位までのうち多くを占めるのは情報技術関連の銘柄です。4位のフェイスブックや6位・7位のアルファベット(グーグル)もIT関連企業ですね。
日本を除く先進国24か国に広く分散投資するファンドですが,上位10社で15%を占めるため,これらの値動きが全体に及ぼす影響は大きいです。
信託報酬等のコスト:毎年のように業界最低水準に引き下げ続けている
信託報酬は業界で最低水準となる年率0.0930%(税抜)です。純資産総額の増加に伴って,他社に先駆けて信託報酬の引き下げを発表し続けてきた実績があります。
◆2019年5月には,初めて信託報酬を0.1%未満に引き下げる発表をしました。
◆2020年1月の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」では表彰式の場で信託報酬の引き下げを発表しました。
なお,ファンドの正式名称の通り,購入時・解約時にかかる手数料等はありません。
純資産総額:1802億円
2020年7月10日時点で,純資産総額は1802.21億円に達しています。
先進国株式クラスで最大規模の運用残高であることから,償還される心配はないと私は考えています。
また,ニッセイ外国株式は同社の他ファンドとマザーファンドを共有しています。マザーファンドの規模は2110億円です(2020年1月17日時点)。
設定以来の推移:純資産総額は順調に増加
運用開始からのチャートと純資産総額です(ファンドページより)。
多くのライバルファンドがあるにもかかわらず,非常に多くの資金がこのファンドに流入し続けています。
取り扱い販売会社:ネット証券を中心に22社
ネット証券大手3社(SBI証券,楽天証券,マネックス証券)を含む22社で取り扱いがあります(ファンドページより)。銀行などのネット証券以外の販路もあります。
類似ファンドとの比較・評価
MSCI-kokusaiインデックスは人気の高い指数で,多くの運用会社が類似商品を販売しています。
低コストで投資に適したファンドとして金融庁が認可した「つみたてNISA対象ファンド」だけでも,MSCI-kokusaiインデックスに連動するファンドは17本もあります。
この17本のうち,執筆時点では,ニッセイ外国株式は信託報酬率の安さで第3位(期間限定の野村スリーゼロ先進国株式投信を除けば第2位)です。信託報酬率は受益者還元型信託報酬システムを導入するeMAXIS Slim先進国株式が,0.001%ほどのわずかな差で低コストです。
純資産総額の大きさでは他社のファンドを大きく引き離し,第1位のファンドです。
純資産総額の第2位はeMAXIS Slim先進国株式であり,ニッセイ外国株式とeMAXIS Slim先進国株式の2つが先進国株式インデックスファンドの2強の座にあります。
投資家からの評価
投資家からの評価は純資産総額に現れます。そのため,純資産総額が先進国株式クラスで最も多く,かつ,現在も資金流入が続くニッセイ外国株式は多くの投資家からの支持を得ています。
しかし,直近1年間の純資産総額の伸びでは,eMAXIS Slim先進国株式のほうがやや優勢です。以下の表のように,eMAXIS Slim先進国株式のほうが80億円ほど多く純資産総額を伸ばしている結果となりました。
2019年7月12日 | 2020年7月13日 | 1年間での変化 | |
ニッセイ外国株式 | 1282.61億円 | 1802.21億円 | +519.60億円 |
eMAXIS Slim先進国株式 | 507.52億円 | 1105.05億円 | +597.57億円 |
eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」とのキャッチコピーのもと,ニッセイ外国株式の経年的な信託報酬の引き下げにピッタリと並走してきました。
その実績と,受益者還元型信託報酬の設定によってコスト面でわずかながら最安の座を得たことが評価されていると考えられます。
投信ブロガーからの評価
投資信託を厳しい目でウォッチしている投信ブロガーからの評価が高いところは特筆すべき特徴です。
登場翌年の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2014(FOY2014)」(2015年1月)にて初登場第1位を獲得すると,そこからFOY2016まで3連覇しました。FOY2017・2018は第2位,FOY2019は第4位と,毎年のように上位層が入れ替わる厳しい戦いのなかで高評価を取り続けています。
これは純資産総額の増加に伴ってニッセイ外国株式が信託報酬の引き下げを発表し続けてきた要因が大きいでしょう。
他社に足並みをそろえることを目標にするのではなく,他社に先駆けて信託報酬を引き下げてきた姿勢を評価するブロガーは多く,私もその一人です。
業界の低コスト化を牽引してきた実績は素晴らしい
私見を述べれば,「これまで信託報酬を引き下げてきた」という実績はインデックスファンド選びの要素の1つです。さらに,他社に先駆けて引き下げることは,投資信託全体の低コスト化に欠かせないことでもであり,それがこのファンドを選ぶ理由にもなります。
2020年1月のFOY2019の表彰式では,信託報酬をこれまでの0.0999%から,0.0930%まで一気に引き下げる発表をしたことで驚きをもって迎えられました。
投資家にとっては,信託報酬は投資のリターンを引き下げる要因です。信託報酬は低ければ低いほど,投資家にとっての手残りが大きくなります。そして,長期投資になればなるほど,その影響は大きくなります。
ライバルであるeMAXIS Slim先進国株式も素晴らしいファンドですが,信託報酬に関しては他社とピッタリと並走することがほとんどです。このような追随姿勢も大変評価できるのですが,最近の先進国株式インデックスファンドの信託報酬の低下はニッセイ外国株式によるところが大きいです。
今後も純資産総額の拡大に伴って,信託報酬のさらに引き下げる実績を作っていってもらいたいと思います。私もたくさん買って応援しています。
◆ライバルファンドのeMAXIS Slim先進国株式も,買いたい魅力がたくさんあるので迷いどころです。私はこちらも買っています。
◆私が購入しているファンド一覧です。ニッセイ外国株式はその主力です。
◆つみたてNISA対象商品の先進国株式インデックスファンドの一覧は,こちらの記事で一挙紹介中!
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