2022年3月17日に2021年10~12月期の「資金循環統計」が発表されました。
これを受けていろいろと分析やニュースが出ています。
ニッセイ基礎研究所のレポートではその内訳が詳しく分析されています。また、モーニングスターのマーケット情報や経済メディアのQUICK MoneyWorldでは過去のおおまかな動きが解説されていました。
株・投信が家計資産の15%に拡大
内容をまとめると、金融資産合計や預金・株・投信については次のような状況です。
- 金融資産合計は2023兆円(前年比+87兆円(+4.5%)で過去最高)
- 現預金残高は1092兆円(前年比+35兆円(+3.32%)で過去最高)
- 株・投信は合計305.8兆円(前年比で株が+15.5%、投信が+20.4%)
この統計は四半期ごとに発表されますが、時期による影響があるので、前四半期ではなく1年前と比較して考えたほうがよいです。
株・投信が全体に占める割合は15%を超えました。また、金融資産合計が前年比で87兆円のプラスになったうち、円安・株高による影響は43兆円。全体としては貯蓄から投資にゆっくりと配分が移動しています。
「貯蓄から投資へ」が進んでいるといえば進んでいますけれど……。まだこれくらいなのかというのが正直な感想です。
ただ、希望が少ないわけではありません。モーニングスターの記事では、とくに25~39歳の男女に投資が浸透してきたという2021年の調査も合わせて解説されていました。
2018年の調査よりも1.5~2.0倍になっていて、30代男性は10人に1人以上が投資信託を持っている状況です。
もちろんまだ増加する余地はありすぎるくらいあります。これからもっと増えてほしいですね。
ちなみに保険・年金・定額保証の金融商品が500兆円ほどで長らく続いていて、全体の割合は少しずつ減っています。
貯蓄から投資にさらに進める
QUICK MoneyWorldには、家計金融資産の推移についてわかりやすいグラフが掲載されていました(図は記事より)。
過去に家計金融資産が500兆円・1000兆円・1500兆円・2000兆円を超えた時期をみてみると、増加のペースがだんだんと落ちていることがわかります。
- 500兆円→1000兆円:8年0か月
- 1000兆円→1500兆円:12年3か月
- 1500兆円→2000兆円:16年9か月
物価が大きく上がらないことをはじめ、日本経済の成長のペースが鈍化したことがその背景にあるのでしょう。
人口減少は経済規模の縮小につながるでしょうし、これからもあまり期待できる状況ではありません。長い目で見れば,これだけの「金融資産を活用」する方向に進めていけるかどうかがこの国の未来にかかわってくると思います。
少なくとも個人レベルでは大きな差になってきます。いまは「気づいた人から始めている」というところでしょう。
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