少し前にTwitterで話題になっていたものですが、「子どもの教育費用のための学資保険を解約して、つみたてNISAを始めたほうがよいのではないか」というツイートがありました。
この2通りだけではないだろうと私は思いましたが、基本的に家庭の状況によって結論が異なると思います。どういった場合にどう考えるか、個人的な方針を書いていきます。
なお、先に書いておくと、20年近い準備期間がとれれば基本的には投資でよいだろうと考えています。
お金が足りることが条件
私はこのような状況では次のような順で考えています。学費に限らず、他の支出でも同じような感じです。
- 「最悪の場合」でも学費をまかなえること
- 学費を支払うことで、学費以外の出費や備え(住宅費や老後のための資金、その他の生活費、万一の際の予備資金など)に大きな影響が及ばないこと
「必要なときにお金が足りない!」という事態を防ぐことを最優先に私は考えています。
最低限必要なお金を確保できるというこの条件を満たせば、どうやって準備するかは価値観の問題です。ここからはこれを前提に話を進めていきます。
学資保険以外に備えがあるなら保険は解約してもよい
学資保険は「満期返戻金の利回り」を基準に考えられてしまいがちです。投資と比べるときも利回りで比べている場合が多いです。
ですが、学資保険の最大の利点は「保険」の機能にあると私は考えています。つまり、親に万一のことがあったときに、以降の保険料の支払いが免除され、契約した満期返戻金を得られることです。
要するに、保険料さえ納めていれば「元気に生きててもそうでなくても」そのお金が手に入るというところが重要です。
そのため、たとえば十分な資産を持っていたり、十分な金額の生命保険に入っていたりすれば、学資保険に加入する必要性はないと思います。
ただ、貯蓄のペースをつくることができるのはよいところで、元本保証型の商品のなかでは利回りも悪くないほうです。貯蓄習慣に不安があれば、学資保険を活用してもよいとは思います。
投資は運用がうまくいかない未来でもなんとかなる範囲で
投資で準備していくときも考え方は同じです。最悪の場合でも必要と考える金額が確保できる見込みがあるなら運用で準備してもよいと思います。
学資保険の保険料と同じくらい毎月投資に回す余裕資金があるなら、私は運用で準備するほうでも問題ないと考えています。
20年近くをかけて運用してインデックス運用で準備すれば、高い確率でプラスになるでしょう。この数十年では、最悪の20年間でも大きなマイナスになったことはありません。トントンから少しマイナスでも大丈夫であれば、運用を基本にしても大きな心配はないと思われます。
一方で、「運用してギリギリ必要金額になる」というような準備の方法ではかなり不安です。長期低迷してほとんど増えない時代もありました。この先10~20年がそうなる可能性もありますし、減るおそれすらありますので、投資を過信しないことが重要です。
そういった状況なら、家計の改善などや別の資金計画の見直しといった別の方法を先に検討したほうがよさそうです。投資は増える可能性はあるので合理性はありますが、たとえ全世界株式インデックスファンドや米国株式インデックスファンドでも結構なリスクがあると考えて保守的に動いたほうがよいと私は思っています。
また、気をつけなければならないのは資金が必要なタイミングと暴落が重なる可能性があるということ。高値から20%程度の下落は数年に1回は来ています。大学に通う4年間には、下落のタイミングが1~2回はきてもそれが普通です。
それでも大きな問題を及ぼさなければ運用で準備すればよいでしょう。
とくに準備期間が短い場合は、大暴落で大きなマイナスになると回復する期間がとれません。投資で準備する場合は、予防的に貯金で準備する部分も確保しておくほうが無難だと思います。
いくらか足りなくてもなんとかなる
さて、ここからはさらに私の価値観の語りですが、正直なところ「学費の準備は多少は足りない前提でもいい」と思ってます。進学する本人が安い利率でお金を借りられるからです。奨学金は将来、金利が上がるとしても住宅ローンの変動金利よりは安い水準に保たれるでしょう。
私自身がそうだったといえばそれまでですが、大学や専門学校といった高等教育は子ども自身が選ぶ道であり、親がすべて面倒をみなければいけないものではありません。
個人的には、私が全額支払える状態でも「100万円くらいは子ども自身に負担してもらう」ということも考えています。それには2つの思いがあります。
- 子ども自身の財布がまったく痛まないと真剣に考えずに生活しそう
- 費用の全額を私が出すと、子どもの進路に口を出してしまいそう
「金は出すけど口は出さない」というのが最も格好いいのですが、なにか言ってしまうような気もします。文句が言えるように余地を残す……という意味でもあります。
私は420万円の借金を背負って社会に出たので、さすがにこの金額は負担だなと思いました。が、学生時代から将来にどうやってお金を稼ぐかを真剣に考えていろいろ取り組むきっかけの1つにはなりました。
お金を理由に好きな分野に進めなかったり、留学や課外活動に支障をきたしたりするようなことは防いであげつつ、自分の選択に対する責任をある程度は持たせてもよいと思います。
もし返せなくなりそうなら、後年に肩代わりしてあげてもいいわけです。
そもそも論ですが、進路によって学費は大きく異なり、将来のインフレの可能性もあるので、いまから学資保険や投資で計画しても十分に賄えるかという問題もあります。
先を見据えながら準備しつつも、わからない部分やどうにもならない部分は決め打ちで構えてもよいのではないでしょうか。
コメント