インデックス投資の基準価額を見てしまう行動経済学

インデックス投資
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なまずんです。

株式市場が世界的に低調になった先週,通勤列車に乗っていると30代くらいの人がスマホで,インデックス投資信託の基準価額をずっと眺めていました。

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周りの人のスマートフォンを覗き見ることが良いことではないと思いつつ,目の前でeMAXIS SlimやiFreeの先進国株式インデックスファンドの基準価額の推移をずっと確認していたのです。ついつい様子を眺めてしまいました。

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今後も長くホールドするつもりなら,基準価額を見る意味はない

先週は相場が荒れました。推察の域を出ませんが,この人は自分が持っている投資信託の損益が気になっていたのではないでしょうか。

確かに,私も気になって見てしまうことがあるのは事実です。しかし,あと数十年の長期投資を前提とする私にとって,現在の基準価額を気にする行動にはあまり意味がありません。個別株ならまだしも,毎月積立でインデックスファンドへ長期投資する戦略では,価格変動によって取り得る行動が変わるわけではありませんから。

誰もが購入時の価格を基準に考える

ただ,心理的に気になる感覚はとてもよくわかります。積立投資を始めた頃は私も毎日のように基準価額を見て,保有する投資信託の損益を確認していました。頭では意味がないとわかっているのに,損益を確認してしまう行動はなぜ起こるのでしょうか?

これには行動経済学の「参照点」,「損失回避」という心理が働いていると考えます。いずれもノーベル経済学賞を受賞した心理学者,ダニエル・カーネマンの提唱した心理現象です。

「参照点」とは,人間はある特定の基準,投資であれば自分が購入した価格を基準に物事を判断してしまう心理です。「基準価額が下がったけど,含み益が出ているから一安心」などは特に根拠のない安心感ですし,「価格がさらに下がり,含み損が出ていて居ても立ってもいられない」という感情が短期的に保有銘柄を売ってしまう原因の一つになります。

「損失回避」とは人間は得するよりも損するほうが心理的な動揺が大きいことです。含み益が出ているときは利益を確定したくなりますし,含み損が出ているときは同額の含み益が出ているときよりも心理的影響が大きくなります。

しかし,いずれもリターンにとってはマイナスの影響しか及ぼしません。含み損が出ているからといって売ってしまっては今後の価格上昇の恩恵を受けることができませんし,含み益が出ているときに利確すれば税金がかかってきます。

このような人間の性質を知っていることで,多少なり心理的影響を制御できるのではないでしょうか。

価格変動が気になりすぎるなら,リスク許容度を超えているかも

以上を踏まえても,価格変動が心理的に大きな影響を及ぼしている場合は,心理的なリスクの取り過ぎでしょう。

私も投資信託以外の取引ではリスクを取り過ぎ,価格変動にとても敏感になった経験があります。資産価格の上下動にかなり振り回されていたと思います。

行動経済学的な人間の性質を踏まえた上で,資産価格の増減があまりに気になるようならば,無リスク資産のポジションを増やすなどの対処が必要です。

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