つみたてNISAは2018年に始まりました。そのとき以来,純資産総額が最も大きいファンドはずっと日本株中心のアクティブファンド「ひふみプラス」(レオス・キャピタルワークス)でした。
それが2021年6月14日についに逆転。莫大な資金流入が続く「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」がトップになりました。
設定から3年も経たずにトップへ
2008年に設定された「ひふみ投信」を直販以外で買えるようにした「ひふみプラス」は2012年に設定されました。
それに対して,「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が設定されたのは,つみたてNISAが始まって半年ほど経った2018年7月です。設定から3年も経たずに「ひふみプラス」を抜きました。
金融情報サービスのQUICKによれば,2021年に入ってから6月14日までの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の資金流入金額はなんと1758億円。2番めに資金流入金額が多い「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の992億円も大きな数字ではありますが,それとも大きく差がついています。
年初来の資金流入金額は「SBI・V・S&P500」は933億円,「楽天・全米株式」は709億円と続いています。米国株に巨大な金額が流入していますね。
続いて「eMAXIS Slim先進国株式」が310億円,「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式」が230億円です。米国株ファンドが登場するまでは主要な資産クラスだった先進国株式とも驚くほどの大きな差があります。
純資産総額の推移は全く異なる
ここで,「ひふみプラス」(青線)と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(橙線)の推移を見てみましょう。グラフにしてみました。
見てみると,「ひふみプラス」は2018年をピークに純資産総額は減少傾向にあります。対して,「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は鋭く右肩上がりになっています。
もちろん,日本株に投資する「ひふみプラス」と米国株に投資する「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」では動きが異なるのは当然です。しかし,グラフの形がこれほど異なることは値動きからは説明がつきません。
おそらく,「ひふみプラス」はファンドの売買をアクティブに行う層がいて,2019年以降は資金流入よりも売りが優勢になったのでしょう。一方で,「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はつみたてNISAなどで継続的に買う人が多く,これまでは売却する人はあまりいなかったことが予想されます。しかも,その数が増えているためにこのようなグラフになっているのだと推測できます。
2017年の「ひふみプラス」の動きと,現在の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の上がり方は似ています。
もし,「ひふみプラス」と同じように売る人が多くなれば,「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」も純資産総額は頭打ちになり,減らすことになるでしょう。
しかし,「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の買われ方は積立が一定の規模を占めていると考えられます。つみたてNISAは始まってからのファンドですので,長期保有を前提に考えている人も多いはずです。そのため,この先に純資産総額を急に減らすとは当面は思えません。
今後もしばらくは「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が純資産総額を伸ばしていくことでしょう。多くの人の長期の資産運用の手段になることと私は考えています。
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