つみたてNISAの対象商品には14本の米国株式インデックスファンドがあります。
では、最も運用成績がよいファンドはどれでしょうか?
この記事では、基準価額の推移をもとに過去の損益率を比較しました。最終的な損益を分析することで、見えないコスト面も含んだファンドの総合的な実力を知ることができます。
2022/08/03 2022年7月末の情報に更新。
2022/09/03 2022年8月末の情報に更新。
2022/10/03 2022年9月末の情報に更新。
2022/11/03 2022年10月末の情報に更新。
2022/12/03 2022年11月末の情報に更新。
米国株式インデックスファンドの対象指数は2種類
つみたてNISA対象の米国株式インデックスファンドには、2種類の対象指数(ベンチマーク)があります。
S&P500
S&P500は、米国S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出する時価総額加重平均型の株式指数です。米国を代表する約500銘柄で構成されます。
指数を構成するトップ5社は次の通りです。
銘柄 | 構成比 |
アップル | 6.70% |
マイクロソフト | 6.41% |
アルファベット | 4.28% |
アマゾン・ドット・コム | 3.94% |
テスラ | 2.40% |
S&P500指数に連動するおもなインデックスファンドは8本あります。信託報酬は税抜、純資産総額の単位は百万円です。ファンドは、①信託報酬率が安い、②運用期間が長い(設定日が古い)、という順に並べています。
ファンド名称 | 1年 損益率 |
3年 損益率 |
5年 損益率 |
信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
決算日 | 設定日 | 備考 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
5.14% | 65.49% | – | 0.088% 以内 |
0.112% | 1,630,154 | 2022/04/25 | 2018/07/03 | |
SBI・V S&P500 |
5.07% | 64.74% | – | 0.088% | 0.104% | 726,322 | 2022/09/14 | 2019/09/26 | 信託報酬に原資産経費率約0.03%(年率)含む |
SMBC・DCインデックス S&P500 |
5.06% | – | – | 0.088% | 0.128% | 9,927 | 2021/11/22 | 2020/07/22 | |
iシェアーズ米国株式 S&P500 |
4.82% | 63.04% | 96.20% | 0.088% | 0.419% | 14,885 | 2022/05/02 | 2013/09/03 | 信託報酬に原資産経費率約0.03%(年率)含む |
My SMT S&P500 |
– | – | – | 0.088% | 未決算 | 2,853 | 未決算 | 2022/03/29 | |
つみたて 米国株式(S&P500) |
5.01% | – | – | 0.200% | 0.238% | 5,730 | 2022/06/27 | 2020/03/06 | |
Smart-i S&P500 |
4.72% | – | – | 0.220% | 0.386% | 6,257 | 2022/06/27 | 2020/07/29 | |
iFree S&P500 |
4.99% | 64.87% | 99.24% | 0.225% | 0.273% | 76,446 | 2022/09/07 | 2017/08/31 | |
NZAM・ベータ S&P500 |
4.94% | – | – | 0.240% | 0.440% | 261 | 2021/12/13 | 2020/02/13 | |
ステート・ストリート 米国株式 |
4.65% | 63.73% | 97.17% | 0.450% | 0.541% | 44,237 | 2022/03/10 | 2017/09/29 | |
農林中金<パートナーズ> つみたてNISA S&P500 |
4.69% | 62.91% | – | 0.450% | 0.653% | 8,933 | 2021/11/15 | 2017/12/19 |
信託報酬が最も低い「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の運用成績が最も良い結果となっています。これは2022年1月以来12か月連続です。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は純資産総額でもトップです。コスト面では「SBI・V・S&P500」が優位な結果ですが、リターンでは下回っています。
なお、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500」は運用方法が異なります。
「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は構成銘柄を自社のマザーファンドで直接買い付け、「SBI・V・S&P500」はマザーファンドを通じてバンガードのVOO(バンガード・S&P500ETF)を購入することで構成銘柄をそろえていきます。
VOOを購入する方法は、ファンドの規模が小さいうちは有効な手段です。一方で規模の拡大にともなうメリットは得づらいかもしれません。
CRSP U.S. Total Market
CRSP U.S. Total Market指数は、米国株式市場に上場する約4000銘柄をほぼ全てカバーする時価総額加重平均型の株式インデックスです。S&P500と比較して、時価総額の小さい銘柄(小型株)も組み込むことが特徴です。
指数を構成するトップ5社は次の通りです。
銘柄 | 構成比 |
アップル | 5.59% |
マイクロソフト | 5.35% |
アルファベット | 3.51% |
アマゾン・ドット・コム | 3.25% |
テスラ | 1.98% |
この指数に連動するインデックスファンドは2本です。
ファンド名称 | 1年 損益率 |
3年 損益率 |
5年 損益率 |
信託 報酬 |
実質 コスト |
純資産 総額 |
決算日 | 設定日 | 備考 |
SBI・V 全米株式 |
2.60% | – | – | 0.088% | 0.110% | 120,166 | 2022/07/11 | 2021/06/29 | 信託報酬、実質コストに原資産経費率約0.03%(年率)含む |
楽天 全米株式 |
2.49% | 61.68% | 93.27% | 0.150% | 0.187% | 742,372 | 2022/07/15 | 2017/09/29 | 信託報酬、実質コストに原資産経費率約0.03%(年率)含む |
2022年6月に、「SBI・V・全米株式」が運用開始から1年を迎えました。以降、5か月連続で「SBI・V・全米株式」のほうが運用成績が良好です。
「SBI・V・全米株式」と「楽天・全米株式」の運用方法は同じです。マザーファンドを通じて米国バンガードのVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)を購入しています。
といっても差はわずかなので、優位性がはっきりするまでは「楽天・全米株式」を選んでもよいかもしれません。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)が最も安心か
『ウォール街のランダム・ウォーカー』のバートン・マルキールや『敗者のゲーム』のチャールズ・エリスをはじめ、インデックス投資に関する研究の多くはS&P500指数を主な対象にしてきました。また、米国で最初に組成されたインデックス商品もS&P500指数に連動するものです。
一方で、CRSP U.S. Total Market指数にも定評があり、バンガードのVTIがベンチマークとしています。S&P500指数もCRSP U.S. Total Market指数も米国株の人気の指数です。
S&P500指数は大型株で、CRSP U.S. Total Market指数はそれ以外の株も含んでいます。そのため、大型株の株価の騰落率がその他を上回れば、S&P500指数のリターンのほうが高くなり、逆であればCRSP U.S. Total Market指数のリターンのほうが高くなります。
中小型株の有無にこだわりのある人でなければ、これらの指数の差を考える必要はありません。この点は、全世界株式のMSCI ACWIとFTSE Global All Cap指数の関係に似ています。
今から投資商品を選ぶのであれば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が最も安心であるように思います。または信託報酬が同水準に安い「SBI・V・S&P500」を選ぶのがよいでしょう。
個人的にはこれまでの運用成績がよい「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」のほうを評価しています。
ただ決め手には欠けていて、SBIやiFreeと差があってもわずかです。また、CRSP U.S. Total Market指数に連動する「SBI・V・全米株式」と「楽天・全米株式」も優れていて悩ましいのですが、運用実績の少なさや信託報酬の差がばかり気になります。
◆全世界株式や先進国株式など、その他の指数に連動するファンドの比較はこちらから!
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