2022年12月22日、すでに発表されていた「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」(楽天VXUS)の運用が開始されました。同日からつみたてNISA対象ファンドの仲間入りを果たしています。
#つみたてNISA 対象商品に
「楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド」
が追加されたよ!詳しくはHPをチェックしてね!https://t.co/FZcJrH5gQ1— つみたてワニーサ (@Wa_nisa_FSA) December 22, 2022
「全世界株式(除く米国)」というジャンルの超低コストなインデックスファンドは初めてです。
運用方法や組入地域、信託報酬
運用は「VXUS」を買うファンド……のはず
さて、この「楽天・全世界株式(除く米国)」は公式の愛称が「楽天・VXUS」です。「VXUS」は米国バンガード社のETF、VXUS(バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF)のことです。
姉妹ファンドで2017年設定の「楽天・全米株式」(楽天VTI)は、全米株式ETFであるバンガードのVTI(バンガード・トータル・ストック・マーケッツETF)を、マザーファンドを通じてとにかく買いまくるだけの運用方式をとっています。
それと同様に、この楽天VXUSも、マザーファンドを通じてVXUSを買いまくるだけ……と思っていたのですが、目論見書では少し異なります(図は目論見書より)。
どうやら、VEA(バンガード・FTSE・デベロップド・マーケッツETF、米国を除く先進国株式)も投資対象に入っていますね。
VXUSとVEAでは新興国部分の有無が異なります。愛称が「楽天・VXUS」であり、目論見書の信託報酬の記載部分にはVXUSの経費率0.07%を基準にしたような記述があるため、基本的にはVXUSを買うのでしょう。でも、実際はどうなのかは運用が始まってみないとわかりませんし、将来的にもどうするつもりなのでしょう。
構成地域のトップは日本
参考までに、VXUSの構成国のうち、上位10か国は次のとおりです。
国・地域 | 割合 |
日本 | 15.2% |
英国 | 10.2% |
中国 | 8.1% |
カナダ | 7.6% |
フランス | 6.5% |
スイス | 5.8% |
オーストラリア | 5.3% |
ドイツ | 4.9% |
インド | 4.6% |
台湾 | 4.3% |
日本は米国に次ぐ世界第2位の株式時価総額がありますので、「米国のない世界」では世界の株式市場のトップに君臨しています。
信託報酬等のコスト
信託報酬は楽天VTIなどと同様の税抜年率0.12%。これに、VXUSの経費率0.07%が加わります(参考までに、VEAは0.05%)。
楽天VXUSは米国比率を下げるときに使えるファンド
株式時価総額が最も大きいのは米国ですから、よほど逆張り思想の人を除けば、「米国を除く全世界株式」のみに投資したい! という人は少ないでしょう。
したがって、「楽天VXUS」は保有資産の米国への偏重をやわらげたいと考える人の選択肢として使われるパターンが多いのではないかと私は考えています。
近年は「全世界株式か米国株式か」で投資先が検討されることも多く、「米国株式」を選んだり、人によっては「全世界株式&米国株式」と両方のつみたてを選んだりした人もいると思います。しかし、全世界株式も半分以上が米国株式ですので、「全世界株式&米国株式」でも、全体の8割程度が米国株式になっています。
全世界株式や先進国株式のファンドには必ず米国が含まれているので、一度米国に偏重してしまうと、売却を伴わずに投信で解消するのは困難でした。そのため、あとになって「やっぱり全世界株式の比率にする」ことは難しい状況でした。
ですが、楽天VXUSの登場により、米国への偏重が解消することが格段にやりやすくなりました。なぜなら、「全世界株式=全米株式+全世界株式(除く米国)」だからです。
このファンドの登場で、売却を伴わずに方針の変更が可能になった点では、投資家にとって大きな選択肢となりました。米国偏重のポートフォリオを変えたいと思ったときに、全世界株式の比率に近づけるツールとして楽天VXUSを使えることを知っておいてもよいでしょう。
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