2024年12月10日、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全米株式」が信託報酬の引き下げを発表しました(プレスリリースはこちら)。
多忙すぎて記事にできていませんでしたが、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は11月に日本の投信(ETF除く)で史上初めて純資産総額6兆円を突破しています。
5兆円を突破したのは6月27日のことですので、純資産総額の増え方は本当にびっくりするレベルですね。
S&P500、全米株式とも業界最低水準に
まずは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」から。eMAXIS Slimシリーズの信託報酬は純資産総額の拡大に伴って漸減する方式を取っていますが、これまで3段階だった階級が5段階となりました。
この区分けを見てみると10兆円超を完全に視野に入れていますね。
また、一番下に丁寧にも書いてありますが、新しい信託報酬率を適用すると税込で約0.77%の信託報酬になっています。わざわざなんでこんな記載があるのかというと、S&P500に連動する投資信託で信託報酬最安の「楽天・プラス・S&P500」の税込信託報酬率0.077%を思いっきり意識しているのでしょう。
「楽天・プラス・S&P500」が信託報酬の引き下げを発表したのは2023年11月ですので、eMAXIS Slimはそれから1年も遅れていますが、人気の根源である他社の信託報酬に徹底対抗する姿勢は見せたということになります。同社役員の代田常務は「eMAXIS Slim」シリーズはファンドが存続可能な範囲で信託報酬を引き下げているという趣旨の発言をしていることから、1年もかかったのはそのような背景があるのかもしれません。
これまでは表の一番上の信託報酬率が他社と揃うようにしていたのに対して、今回の改定では漸減する信託報酬を加味しての信託報酬ですので、その意味でも運用会社にとっての信託報酬引き下げ余地は限界に近づいているのだと思います。
裏を返せば投資家にとっては非常にありがたい環境になっているということです。
続いて「eMAXIS Slim 全米株式」はこの通り。
S&P500に揃えたということだと思いますが、結果的には率先して信託報酬を引き下げたことになります。S&P500よりも分散が効いていて同率の信託報酬というのは太っ腹ですね。
投信で初めての6兆円突破
多忙にかまけてすっかり放置していましたが、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は設定来、ハイペースで純資産総額を増やして11月7日には6兆円を突破しています(図は三菱UFJアセットマネジメントのページより)。
ファンドの設定は「つみたてNISA」が始まって約半年後の2018年7月3日。その後資金流入は増えていき、5000億円から6兆円までは次の表の通りでした。
純資産総額 | 達成日 |
5000億円 | 2021年7月2日 |
1兆円 | 2022年2月10日 |
2兆円 | 2023年5月2日 |
3兆円 | 2023年12月20日 |
4兆円 | 2024年3月21日 |
5兆円 | 2024年6月24日 |
6兆円 | 2024年11月7日 |
設定から5000億円まではちょうど3年かかりましたが、その後は資金流入のペースが上がり、3兆円→4兆円、4兆円→5兆円はほぼ3か月、5兆円→6兆円も約4か月半という驚異的な成長になっています。
これまでは「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」(グロソブ)が記録した純資産総額5.8兆円というのがトップでしたが、それも追い抜きました。
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