積立投資の実践者を優遇するTHEOの手数料改定は高評価

インデックス投資以外

なまずんです。

2019年2月15日,ロボアドバイザーの「THEO」が,2019年4月から手数料体系を改善する「THEO COLOR PALETTE」を発表しました。

お金のデザイン » 新手数料体系 THEO Color Palette(テオ カラーパレット) 2019年4月スタート
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THEOは最低1万円から自動で積立投資・リバランスを行えるサービスです。全世界の株式や債券などを投資対象に,ETFで運用します。2016年にサービスを開始し,THEOで運用する人は20~40代を中心に,2019年1月末時点で6万5000人を突破しました。

これまで,手数料率は預かり資産残高3000万円以下の部分は税抜年率1.0%,3000万円を超えた分は0.5%でした。今回の手数料改定では,入出金総額などよって「カラー」が決定され,そのカラーによって段階的な手数料が適用されます。

適用条件は預かり資産残高ではなく,入出金総額(入金総額-出金総額)です。

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手数料が軽くなる「カラー」の適用条件

適用条件は少しややこしいです。

まずは,カラーの基準額の算定です。特にここがややこしい。計算期間を設け,運用開始から対象期間各月末までの入出金総額(入金総額-出金総額)の平均をもとに基準額を算出します。

対象期間A:4月,5月,6月
対象期間B:7月,8月,9月
対象期間C:10月,11月,12月
対象期間D:1月,2月,3月

例えば4月に運用を開始し,4月に3万円,5月に3万円,6月に6万円を入金し,出金がゼロの場合,対象期間Aの平均は{3+(3+3)+(3+3+6)}/3 = 7万円となります。

また,次の2条件も満たす必要があります。①対象期間中に毎月積み立てを行う,②出金しない。

例の場合は基準額7万円で,①と②を満たします。ブルーに該当し,手数料は税抜0.9%となります。

一度も出金せずに毎月定額で積み立てれば,対象期間の中月(5,8,11,2月)末までの入金総額=基準額となります。

2つの視点から評価

この仕組みには2つのねらいがあると私は見ています。1つは積立投資の促進,もう1つは大口顧客の優遇です。

積立投資の推進

今回の手数料改定で最も注目すべきは,入金総額による手数料の変化ではなく,実質的には積立投資の継続が重要なポイントになっている点ところです。日本の資産運用業界ではかなり独自のものと言えます。

最低基準額の1万円はTHEOの最低投資額と同じです。つまり,出金せずに積立投資を行えば,税抜年率0.90%は必ず適用されます。一方で積み立てを一時的にやめたり,出金したりするとその対象期間は一切の割引がなくなり,税抜年率1.0%の手数料が課されます。

THEOはサービス開始当時から長期の資産形成をうたい,最低投資額10万円以上のサービスが多いロボアドバイザーの中では積立投資で顧客を囲い込む姿勢を感じます。

今回の「THEO COLOR PALETTE」は,積立投資を行う投資家にメリットを提供し,積立投資の中止に痛みを与えることで,結果的に積立投資を続ける動機を与える設計となりました。

大口顧客の優遇

THEOの大口顧客への優遇手数料はこれまでも存在しています。預かり資産残高3000万円を超える場合,3000万円を超える部分に対する手数料は税抜年率0.5%です。

ただし,3000万円に到達するまでは利点がありませんでした。50万円,100万円,1000万円のボーダーを設けて大幅に手数料を値引く策は,3000万円に届かない層にアピールできます。3000万円以上の運用を行っている層にとっても,3000万円以下の部分に対する手数料が0.65%となり,かなり魅力的です。

入金総額によって手数料が変わる方式も,日本ではあまり一般的ではありません。「強者がさらに強くなってしまう」「資産が少ない層には苦しい」という見方があるものの,将来大口顧客になり得る層にメリットを提供することで,THEOにとっても優良顧客を囲い込める利点が生まれます。

ロボアドバイザーの動きにも着目したい

ロボアドバイザーは手数料の他にETF経費がかかります。自動でポートフォリオを組み,リバランスしてくれる利便性の反面,手数料1%のTHEOに対しては高さを感じていました。そのため私としては他人にも勧めていませんでした。

しかし,THEOは積立投資・長期投資を推進するスタイルで20~40代から一定の支持を集めているようです。

手数料が安くなくても,積立投資・長期投資をしっかり顧客に浸透させることは,顧客の運用成績を向上させる上で重要です。先日,金融庁が発表した資料では,積立投資・長期投資を顧客に訴える直販投信各社を利用する顧客が高い運用成績を残しています。一方で,より低コスト商品が充実しているネット系証券会社は,回転売買などが問題視される銀行・対面証券の顧客とほぼ同程度の損益率です。直販投信の顧客だけが損益率が圧倒的に良いのです。

直販投信の顧客だけが圧倒的に損益状況が良いのはなぜか
なまずんです。 2019年1月29日に金融庁が「販売会社における比較可能な共通KPIの傾向分析」を公表しました。 販売会社・業態ごとに顧客の運用損益を比較した分析です。...

例え手数料が多少高くても,積立投資・長期投資がそれ以上のパフォーマンスを発揮することは,株式投資の平均的なリターンを考えれば想像に難くありません。

20代からの資産運用を考える当ブログでも,THEOを始めとするロボアドバイザーの動きについて,注目していきたいと思います。

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