株価水準とリターンの関係についてのデータ

210930株価水準とリターンの関係についてのデータ インデックス投資
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金融情報サイトのQUICKの9月29日の記事に興味深いグラフがありました。米国成長株式の予想PERと実際のリターンを比べたものです。

株価が高い時期に買うと実際のリターンは低くなり,株価が低い時期に買うとリターンが高くなる傾向があるというデータです。

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過去20年の成長株の株価水準とリターンの関係

記事にはフィデリティ・インスティテュートなどによる調査を元にしたグラフが掲載されています。そのなかの1枚がこちらです。

株価の水準とリターンの関係(フィデリティ・インスティテュートなどより)

本文には次のような解説があります。

レイ・ダリオはよく,投資家が陥りやすい最大の過ちのひとつとして,「投資家は過去のリターンを外挿する」(≒投資家は最近のリターンがずっと続くと思い込む)と言います。債券価格と利回りの関係を考えればわかりやすいように,あらゆる資産はキャッシュフローに対して買い進められれば,その期待リターンは小さくなります。

縦軸を恣意的に合わせた比較であるのが注意点ですが,緑色の線と橙色の線には確かに相関が見られます。緑色の線がPERを元にした割安感で,橙色の線が10年後までに記録した実際のリターンです。

言い換えると,緑色の線がグラフの下のほうにあるほど株価が割高な時期で,グラフの上のほうにあるほど割安な時期ということになります。

仮にこのままの傾向が続けば,現在は成長株の株価がかなり高い水準です。実現するリターンは10年間のリターンは年率2~3%といったところでしょうか。

もちろん,橙色のグラフはたかだか10年程度の記録なので,まったく同じ傾向が続くと見るのはやや危険です。

指数でも同様の傾向を示すデータがある

株価が高水準のときのリターンが低めになるのは,成長株式に限らず,市場をカバーする指数でも同じようなデータがあります。

私が繰り返し読んでいるウォール街のランダム・ウォーカー(バートン・マルキール,原著第12版)にも,よく似た以下のような図があります。

PERとリターンの関係(ウォール街のランダム・ウォーカーより)

これは1926~2018年の各四半期におけるS&P500指数のPERと,それから先の10年間の平均リターンを比べたものです。最も割安な10%がグラフの左側のグループ1に含まれ,順に割高になっていきます。先ほどの図とほぼ同じ条件での比較です。

このグラフについて,著者は次のように書いています。

期初のPERが低い時に投資すればその後10年間の平均リターンは高く,反対にPERが高い時に始めると低いリターンに終わるという,はっきりした傾向があることがわかる。

聞けば当たり前のような話ですが,データでも明らかになっています。

なお,QUICKの記事によれば,S&P500の予想期待リターン(PERの逆数)は4.7%とのことですので,この図のグループ分けではグループ8に属します。

割高な時期でもプラスは見込めそう

そうであれば,割高と言われる今は投資をやめておいたほうがよいのでしょうか?

もちろん,そのような戦略もありだと思います。くしくも今は株価が下がり気味の状況にあります。

しかし,私はいまのリスク資産はそのまま保有し,これまで通り積立投資を続けるつもりです。

株価が割高な水準のときに買っても高リターンを望みにくいのは確かです。ですが,リターンが低めといっても,どちらのデータを見る限りでは10年後には十分にプラスになりそうです。

割安なときだけを狙えればそれは素晴らしいですが,すぐには来ないかもしれません。また,ふだんはぐっとこらえ続け,期待リターンが高まるような暴落時だけに集中して買い向かうのは簡単なことではないはずです。

そのようなことも勘案すると,いまからリターンを着々と獲得し,積み上げていく作戦で突き進みたいと思います!

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