編集視点で整理する投資情報との付き合い方

200220編集視点で整理する投資情報との付き合い方 私の投資戦略
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投資判断をするにあたって正確な情報は欠かせません。情報との付き合い方ひとつで,成功率は大きく変わってきます。

しかし,世の中には「全員にとって不適切」という誤った情報はあるものの,「全員にとって適切」といい切れるものは存在しません。同じ情報でも,ある人にとってはかなり有用でも,ほかの人にとっても有用かどうかはまた別の話です。

たとえば,「米国株ETFの〇〇を3億円分買って配当で生活する」という情報が役立つ人もいるでしょう。けれど,100万円を投資したい! という人にとってこの情報の有用性は限定的です。

つまり,情報を適切に活用するためには,受け取った人の適切な自己判断が必要になってきます。

では,情報とどのような視点で付き合っていけばよいでしょうか? また,そもそも,世の中にはどのような情報があり,それをどのように利用できるでしょうか?

こういった話題について,Twitterでねこまにあさん(@necomania7)にご提案をいただき,共通テーマでの執筆という企画となりました。

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編集者の仕事は情報の整理であり,正確な情報の取捨選択です……が,なかなかこのテーマを掘り下げるのは大変でした。情報の見きわめと活用のために私が心掛けていることなどを振り返りながらまとめてみました。

◆ねこまにあさんの記事です。

「適切な情報かどうか」なんてわかるもんなの?考えて行動して得られるものもある。
「適切な情報の見分けかた」今日はこのテーマで書きます。珍しくカタいテーマです。なぜこれを書くことになったのか。まずはこちらのツイートをご覧下さい。“投資未経験者に伝えたいメッセージ...

いい言葉にしびれました笑。

だって,情報を選び取る時点で

常に正しい方を選ぶなんてこと,できますか?

それを目指す方が無謀な気がします。

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そもそも,なぜ情報が必要なのか

私は,「知ったうえで判断する」という過程を最も重視しています。情報はそのときに必要なのです。

投資に関していえば,「まずは投資というものを知る」「知ったうえでやるかどうか判断する」というプロセスが必要です。投資について知らなければ始めることは難しく,何も考えずに適当に始めてしまっては,適切に判断することもできません(カモになってしまうかも)。

当ブログを運営している一番の理由は,「資産の一部を長期投資する」という方法を多くの人に知っていただき,判断材料の一つにしてほしいと思っているからです。私は投資を始めたほうがいいと思っていますが,読者が投資する・しないの判断は読者にゆだねます。

そういった判断の基礎となるものは,価値ある情報を得ることです。

「投資をしろ!」というわけではなく,「知っていたらそっちを選んでいたのに!」と後悔する人を減らしたいですね。

情報の価値は,「自分にとって」適切かどうかで決まる

インターネットがこれほど普及する前には,「正しい情報をどう手に入れるか」が最大の問題でした。投資の分野では,米国株どころか日本株の情報を手に入れるのも簡単ではなく,情報不足ゆえに判断を誤った人もいたでしょう。

一方で,情報を得やすくなった今は,「情報をどう選び,活用するか」がポイントになってきました。あふれている情報の処理に価値が出てきたのです(ちなみに,これが「編集」の根幹にある考え方です)。

ただし,情報の正確・不正確と,受け手が間違いなく理解できるか,そして,それを適切に活用できるかは別問題です。情報を評価する軸は,「そもそもその情報が正しいか」,「自分にとって適切かどうか」,そして,「自分の判断・行動がより確かなものになるかどうか」に尽きます。

「その情報がどのくらい信頼できるか」だけでなく,「自分がどのくらい適切な判断能力を持っているか」についてもよく考えなくてはなりません。

これはクリティカル・シンキングや問題解決プロセスの考え方に含まれます。大きく3つの考え方がその根底にあるので,この記事ではこれを中心にまとめます。

  • 目的:自分にとっての目的を第一にした思考
  • 態度・行動:問題を注意深く観察し,考える態度
  • 知識:結論を導く過程が適切かどうかを判断する知識

これらを満たすように進めていけば,適切な判断ができるようになっていくと私は思っています。

投資の目的はなにか?

投資は手段の一つに過ぎません。どんな方法を採用するかは,何を目的に投資するのかによって変わってきます。

ここでは,「お金を増やす」といった漠然としたものではなく,たとえば「40年後の老後ためのお金を準備する」など,なるべく具体的に考えることが適切な判断のために必要です。

老後のための長期の資産形成であれば,直近の値動きの情報にあまり意味はありません。また,「大きなリスクをとって短期間で資金を増やす方法」必要もありません。そういった情報は目的に見合っていないから,切り捨ててよいのです。

また,長く続けるためにはなるべく省力化・システム化できたほうがよい,といった情報の評価軸も出てきますね。

情報を集めるときの態度は適切か?

自分の置かれた状況を軸に,いまの状況に合った情報を冷静に見きわめることは重要です。

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たとえば,SNSではフォローする人を自由に選べるように,自分にとって都合のいい情報だけを切り取ることができてしまいます。また,論理的に正しそうに見えても,中立的ではなく,結論ありきで論理展開している発信者も残念ながら多いです。

クリティカル・シンキングや問題解決プロセスの考え方の一つに,「私たちの思考には偏りがある」というものがあります。「失敗は成功の母」ということわざがありますが,それは正しく反省できたときだけであり,偏った考え方を続けたことによる失敗は成功につながりません。

正しい反省のためにも,情報を集めるときの態度は重要な要素です。

情報を評価するための「知識」が十分か?

情報の価値を見分けるには,その情報の評価が必要です。そして評価をするには知識が必要になります。

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断片的な情報をいくら集めても,情報の評価するための知識を持たなければ,正しく解釈することができません。「なんでも聞ける頼れる人」が近くにいればいいですが,なかなかそうもいきませんよね。

金融(投資・保険),社会保障制度,健康・医療のような分野はとくに,基礎知識がないと情報の適切な解釈が難しいです

投資であれば,「その投資法が収益を上げる構造」「期待できるリターンの大きさ」「起こり得る資産価格の変動」「始めやすさや続けやすさ」などを知らないと適切な判断が難しいです。極端な例では,無リスクで得られる金利収入がほぼゼロだと知らなければ,「1年間で必ず2倍になる!」と訴える投資方法に引っかかるリスクは上がるのです。

社会保障制度でも,「公的年金制度は近未来に必ず崩壊する!」という行き過ぎた悲観論がたびたび騒ぎになりますが,知識不足な状態でそんな話を聞いたらたしかに騒ぎたくなるでしょう。

本を読む+性質の異なる情報も集める

では,体系的な知識を得るにはどうしたらよいでしょうか? 私がおすすめしたいのは,基礎知識から解説された,なるべく偏りの少ない本を何冊か読む方法です。

よい本かどうかを見分けるポイントとしては,短期的によく売れたものよりも,発行されてから改訂が続いている本や,長く売れ続けている定番書のほうが信頼できるといえるでしょう。

株式投資においても,定番書といえる本はたくさんあります。とくに,長期投資を考えている場合は,5年,10年,あるいはそれ以上の長期間の評価に耐えられるような本を読みたいところです。

また,情報は,情報源の特性によってその特徴が変わってきます。どれか1種類だけから情報を入手するのではなく,できる限り以下の5つからバランスよく情報を入手することを私は心掛けています。

  • 公的な情報
    →事実確認に有用。しかし速報性はない。
  • 個別企業が発信する情報
    →事実確認に有用。しかし自社に不利な情報は提供しない。
  • 書籍の情報
    →基本的な知識を得るときに有用。しかし良質とは限らない。
  • ウェブ系メディア・雑誌の情報
    →ある分野の概略や,最新情報をつかむときに有用。しかし良質とは限らない。
  • SNSや個人ブログの情報
    →体験の共有に有用。しかし誰も裏取りをしていない(できない)。

やはりこういった情報の見方や整理は,編集の仕事とかなり似通っていますね。

なるべく適切な情報を手に入れることは,適切な判断をするために重要です。気軽に情報を入手できるようになったぶん,受信する一人ひとりが,編集者になったつもりで情報の取捨選択をすることが大事だと私は思います。

◆ねこまにあさんとは全然方向性の違う記事になりました。本当に同じテーマなのか疑うほど(笑)

「適切な情報かどうか」なんてわかるもんなの?考えて行動して得られるものもある。
「適切な情報の見分けかた」今日はこのテーマで書きます。珍しくカタいテーマです。なぜこれを書くことになったのか。まずはこちらのツイートをご覧下さい。“投資未経験者に伝えたいメッセージ...

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