GPIFの2021年度の第1四半期の運用状況の速報が発表されました。
すでに話題になっていますが,2001年からの運用による損益が初めて100兆円を突破しました。
4資産均等ポートフォリオの実績
報告書では次のようなグラフを公表しています。棒グラフは四半期ごとの損益で,折れ線グラフが累積の損益です。
ときどきマイナスになることもありますが。総じてはプラスのことが多く,累積の収益が100兆円を超えるまでになりました。
現在の運用総額が190兆円あまりであることを考えると,資金は2倍以上になっています。20年間での市場での運用の果実の大きさを思い知るばかりです。
なお,GPIFの基本ポートフォリオは,国内株式・外国株式・国内債券・外国債券を均等に保有するものです。
債券は株式と値動きが異なり,また値動きがより小さいので,全体的な値動きも抑えられます。四半期では2020年のコロナ・ショックのときが最大の下落で,このときはマイナス20%でした。
インカムゲインだけで3兆円超
さて,GPIFは100兆円の累積収益額の内訳を公表しています。株式・債券の値動きによる損益をキャピタルゲインといい,債券の利子と株式の配当による収益をインカムゲインといいます。
運用の収益というと株価の変動を利用するようなタイミング投資をイメージされやすいですが,長い目で見れば継続的に投資することによるインカムゲインの積み上げもかなり大きいことがわかります。
インカムゲインは株価指数には直接は現れきませんが,これが長期投資の大きなメリットですね。
グラフのように,キャピタルゲインは上下動がありますが,インカムゲインはマイナスになることがない収益です。運用規模の拡大もあって,1年あたりのインカムゲインはだんだんと増えています。近年では毎年約3兆円に達しています。
この3兆円というのはかなり大きな金額です。
内閣府の高齢社会白書(令和3年版)の推計によると,65歳以上の高齢者は2040年頃に約3900万人でピークを迎え,2065年には約3400万人になる予測です。
3兆円がどのような規模感かというと,安直な計算ですが,3兆円を3900万人で割れば1人あたり約7万7000円,3400万人で割れば約8万8000円です。現在の厚生年金受給額の平均は14~15万円ですので,およそ半月分を運用からの収益でカバーできるような水準です。
運用成果を取り崩すのはまだ先ですが,この積立金の運用成果はかなり大きいものです。
このまま長期に運用していけば,インカムゲインもだんだんと増えていくでしょう。その分,将来の現役世代の負担を増やすことなく高齢者の給付を維持することができます。
私たちのGPIFの今後の運用にも大いに期待したいと思います!
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