2021年12月に発行された『人生100年時代の年金・イデコ・NISA戦略』を読みました。日本経済新聞編集委員でファイナンシャルプランナーの田村正之さんの本です。
老後に向けて公的年金・iDeCo・NISAを活用してどんな戦略が取れるのかを整理するのに本当に役立つ1冊でした!
田村さんの前著『人生100年時代の年金戦略』は公的年金に焦点を当てた解説でしたが、本書は公的年金だけでなく、iDeCo・NISAも含めた将来の資金の準備の「よくある不安」に対してわかりやすく答えています。
将来のお金は公的年金・iDeCo・NISAの全体をみて作っていく
この本は「公的年金を理解し活用する」「iDeCo・NISA(つみたてNISAを含む)で『自分年金』づくりを進める」という2つを総合的に解説しているのがよいところです。
公的年金・iDeCo・NISAはどれも老後の生活資金づくりに重要な役割を果たします。ですからこれらの制度はとことん使い倒したいところ。
制度の仕組みを1つ1つ詳しく知っておく必要もありますが、まず理解しておきたいのは全体像です。人生設計という戦略を立てるには、これらの制度の得意・不得意を把握して大局観を持つ必要があるからです。
この本は「人生100年時代の今、これらの仕組みをどう賢く使うか」という切り口から、それぞれの制度の仕組みと使い方を解説しています。「使い倒す」という目的に合っていてとても良いと思います。
本書における年金・iDeCo・NISAの大まかな位置づけは次のとおりです。
- 公的年金
→「長生きリスク」への対処としての保険。終身でもらえてインフレにもある程度対応。 - iDeCo・NISA
→「退職後から年金受給まで」の生活費と「老後の余裕」の資金の準備に使える制度。iDeCoは受け取り方の工夫で税額がかわる。
公的年金・iDeCo・NISAのそれぞれメリットとデメリットに応じて、人によって使いどころが異なってくるのも難しいところです。本書では良いところを「組み合わせて」使っていくためのヒントが紹介されています。
もちろん2024年からの新NISAや、すでに決まっている年金・iDeCoの制度変更についてのアップデートもまとまっています。この1冊で、年金・iDeCo・NISAの最新情報も網羅できています。
ほかにも、関連する制度である企業型確定拠出年金(DC)などに関する基本的な解説も含まれています。「資産形成に使える制度」を網羅的に見るのにとても役立ちました。
リファレンスとして置いておきたい1冊
また、この本は全体を詳しく読み込んでもよいですが、①全体像をつかむために1回通してざっと読み、②必要になったときにその部分を読み返していくという使い方にも適しています。
わかりやすく書かれているものの、年金制度は複雑なため、読みこなすには多少の予備知識が必要な部分もあります。しかし、詳しいところはある程度読み飛ばしても全体像をつかめるように構成されています。
「どのようなときにどんな最善手があるか」を大まかにつかんでおき、そして戦略を選ひ直す必要ができたときにはリファレンスに使う。そばに置いておきたい頼りになる1冊としてオススメです。
公的年金・iDeCo・NISAを効率よく「使い倒す」ための知識を得られる本書を、ぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。
◆前著『人生100年時代の年金戦略』は年金制度を人生の設計にどう位置づけるかとても勉強になりました。
◆社会保障全般について基礎知識を整理したい人にはこちらもオススメ。
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