『金持ち父さん貧乏父さん』を読んだあと,シリーズの『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』を読みました。
この記事ではその内容をまとめたいと思います!
全ての収入は4つの類型に分類できる
本書を読み進める上で最大のポイントになるのが,「キャッシュフロー・クワドラント」という図です(本書をもとに作成)。
キャッシュフロー・クワドラントは「得ている収入の性質」を説明・分類する図です。
収入を得る方法はほとんど無限にあります。しかし,その性質に着目してみると,たった4種類に類型化することができます。同じクワドラントに属する収入は同じ構造で説明できます。
本書はクワドラントの各領域の解説と,それを踏まえた資産形成の展望が書かれています。
著者・訳者について
著者は日系4世の米国人投資家・実業家のロバート・キヨサキ氏,訳者は本シリーズを訳している白根美保子氏です。詳細は同じ体制で出版された『金持ち父さん貧乏父さん』をご覧ください。
本書の構成
目次
3部,全11章で構成されます。第一部は4つのクワドラントに属する人たちの根本的な考え方の違いを解説。第二部はどんな自分になるべきか,第三部ではキャッシュフロー・クワドラントの右側の住人になるためのステップを説明しています。
◎第一部 クワドラントの右側か左側か
第一章 私があえてホームレスになったわけ
第二章 クワドラントが違えば人間も違う
第三章 人はなぜ自由よりも安全を求めるのか
第四章 ビジネスシステムを手に入れる
第五章 投資家の五つのレベル
第六章 お金は目に見えない◎第二部 最高のあなたを引き出す
第七章 なりたい自分になる
第八章 どうしたら金持ちになれるか
第九章 銀行そのものになれ◎第三部 クワドラントの右側で成功するために
第十章 まずはヨチヨチ歩きから
第十一章 ラットレースから抜け出すための七つのステップ
登場人物
今作の主役は金持ち父さんの教えを実践するロバートです。
キャッシュフロー・クワドラントを軸に,20代の頃から今に至るまで持ってきた信念を解説しています。その内容はお金をどう生み出すか,何をどう考えどの道を選んだかといったものです。
前作『金持ち父さん貧乏父さん』では金持ち父さんと貧乏父さんの両方からロバートが学びを得る形式でした。今作もその2人の思考回路の違いが根底にあります。
『金持ち父さん貧乏父さん』の紹介記事で表形式にまとめましたので,本書を読む前に,金持ち父さんと貧乏父さんの思考回路の違いを把握することをおすすめします。
どの類型の収入を得ているか
各クワドラントの特徴
収入をその性質によって4つに分類したキャッシュフロー・クワドラント。
その4種類は本書でどう解説されているでしょうか? 第一部ではこの4つのクワドラントに属する人の根本的な違いを説明しています。
E=従業員(Employee)
雇われて働いている人。安定を脅かされるのを恐怖に感じ,収入が増えることよりも安定や保障を求める傾向が強い。
S=自営業者(Self-employed)
自営している人。自分でなんでも行い,それが一番だと思っている傾向が強い。専門職に多く,自分の働いた分が収入になることを求める。
B=ビジネスオーナー(Business owner)
自分のために働いてくれるビジネスシステムと従業員を持っている人。他人の力を借りて考えを実現するシステムを構築し,収入を得る。優秀な人を集め,自分の周りを固める。
I=投資家(Investor)
お金を自分のために働かせる人。リスクを取って収入を生み出す。ロバートの言葉を借りれば「『資産の欄』でお金を作る」。経済的自由を果たすには,最終的にこのクワドラントをめざすことが多い。
クワドラントの左側と右側の違い
4つに分かれたクワドラントですが,収入を得る構造に注目すると,左側のEとS,右側のBとIに分類できます。
お金を生み出す構造が違う
他人の時間(OPT Other People’s Time)と他人のお金(OPM Other People’s Money)――大金持ちになる鍵がこの2つにあるという話を聞いたことのある人は多いだろう(p.64)
クワドラントの左側と右側の最大の違いは,左側は「自分の時間をお金に変える」,右側は「他人の時間をお金に変える」こと。収入の生み出し方が違います。
『金持ち父さん貧乏父さん』で2人の父さんの思考回路がまるっきり違ったのも,このクワドラントの違いに由来するものです。金持ち父さんとロバートは右側のクワドラントに進み,貧乏父さんは左側のクワドラントに進みました。
どちらも充実した人生を送ったものの,最終的に築いた資産という点では圧倒的な差がつきました。
選ぶ道は一つだけでなく複数の道を同時に選べる
金持ちは七十パーセントを投資から,つまりIクワドラントから得ていて,残りの三十パーセントを給料から,つまりEクワドラントから得ている。(中略)中流以下の人の収入は,少なくともその八十パーセントがEあるいはSクワドラントから得られる給料で,Iクワドラントの投資からの収入は二十パーセントに満たない(p.65)。
この言葉の意味するところはIクワドラントの持つ力の大きさでしょうが,もう一つの面として,中流でもEやSだけでない収入を得ることができることでしょう。
全ての収入を一つのクワドラントから得なければならないわけではありません。今いるクワドラントとは別の領域からの収入を増やすことも有力な選択肢です。
どのレベルの投資家か?
本書ではあなたが投資家としてどの水準かを問いかけます。レベル1~5について,以下のように分類しています。
レベル1 | レベル2 | レベル3 | レベル4 | レベル5 | |
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どんな人か | ファイナンシャル教育ゼロの人 | お金を貯めて損をする人 | 「その暇がない」と言う人 | 「私はプロだ」と言う人 | 資本家レベルの人 |
投資先・投資からの収入 | 投資するものを何も持っていない。負債ばかりであり,投資からの収入はゼロ。 | 貯金が賢い方法だと考えている。または国債・地方債,年金への長期投資。 | 株式・債券・投資信託などのリスクの高い商品に投資する。お金を自己管理するまでには至らない。 | お金の管理を学ぶために自己投資している。自分のお金を投資する。 | 最も裕福な金持ち。Bクワドラントにも所属している。他人のお金を投資する。 |
誰が誰に借金しているか
借金とリスクを背負うときはかならず支払を受けるようにしなければいけない(p.178)
この言葉の意味は,不動産などに借金やリスクを背負って投資するときはいつも,買ったその日から採算がとれるものでなければならないというもの。
つまり,不動産であれば銀行からの借金の返済額よりも賃借人が払ってくれる家賃のほうが常に多くなるようにし,差し引きで受け取るお金のほうが多くなければならないということです。
この場合,銀行に賃借人が借金をしていて,不動産の持ち主は利益として一部をもらう構造になります。
「損失を出せば税控除を受けられる」といった甘い営業文句もありますが,そもそも損失を出したらお金は減ってしまうことにも触れています。借金する場合には「自分が借金を返す形にならないように資産を買う」重要性を説いています。
これを受けて「儲けが出るのは買ったときで,売ったときではない」と購入時が重要であることを記しています。
右側のクワドラントに移りたい人にオススメ
誰に読んでほしいかはロバート自身が本書中で言及しています。それを引用させていただきます。
この本を一番読んでほしいのは,別のクワドラントに移りたいと思っている人たちだ。E(従業員)やS(自営業者)のクワドラントに属していて,B(ビジネスオーナー)やI(投資家)になることを真剣に考えている人
右側のクワドラントに夢を持つ方がいれば,ぜひ一読をおすすめします。
Iクワドラントからの収入を増やしていくために
私は学生時代,起業家・投資家の集まる団体にいたのでキャッシュフロー・クワドラント自体は既知の概念でした。大学を卒業してEになった人も,そのままSになった人も,Bになった人も知っています。Iの要素を持つ方も多いですね。
私も現在は収入の大部分をEに依存した生活をしています。これからはIからの収入を増やしたい。
本書中では左側のクワドラントにいる人達が経済的安定を手に入れる方法として,Iとの両立を図ることを勧めています(p.101)。私もこの方向には賛成です。
購入しているのはキャッシュフローを直接的には生み出さないインデックスファンドですが,配当金が自動的に再投資されることで,間接的にはIのクワドラントの恩恵を享受しています。
◆キャッシュフロー・クワドラントの左側から右側へ進むことへの考えについては,こちらの記事もどうぞ。
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