人気ファンドの純資産総額が相次いで節目の数字に届きました。
2021年2月5日にeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が純資産総額1000億円を突破し,2月8日には楽天・全米株式インデックスファンド(楽天VTI)が純資産総額2000億円を突破しました。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を運用する三菱UFJ国際投信は2月8日にプレスリリースを出しています。
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬はさらに低水準に
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は,これ1本で全世界の株式に時価総額加重平均で投資できることで人気を集めてきました。設定が2018年10月ですから,2年3か月で純資産総額は1000億円を突破したことになります(画像はプレスリリースより。
2020年に入ってから資金流入は大きく増え,最近では月間100億円を超えています。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動する同種のファンドと比較しても最も信託報酬が安く,期間は短いものの過去1年のリターンは同種ファンドよりも高くなっています。
◆全世界株式インデックスファンドの比較もしています。
設定時には新たにMSCIジャパンに連動する日本株式インデックスマザーファンドを立ち上げるなど,三菱UFJ国際投信も力を入れてきたファンドだと思います。節目への到達おめでとうございます。
すでに有名な話ではありますが,eMAXIS Slimシリーズには純資産総額に応じて信託報酬を減額する仕組みがあります。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は税込で次のようになっています(2021年2月時点)。
純資産総額 | 信託報酬 |
500億円未満の部分 | 0.11440% |
500億円以上1000億円未満の部分 | 0.11385% |
1000億円以上の部分 | 0.11330% |
今回は1000億円を突破したので,1000億円を超える部分の信託報酬は0.11330%が適用されます。今後は純資産総額が増えるにしたがって0.11330%に近づいていきます。
わずかではありますが,投資家が負担する信託報酬が減ることで,そのぶん投資家が得られるリターンは増えます。低コスト化はとても重要です。
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)も底堅い人気
楽天VTIは2017年9月に設定され,2020年にeMAXIS Slim米国株式(S&P500)に抜かれるまでは米国株式インデックスファンドで最大の純資産総額を保ってきました。
米国株式インデックスファンドでは2番目に2000億円の大台を突破しました(図は楽天投信投資顧問ウェブサイトより)。
米国バンガードのETFであるVTIを購入することからVTIを間接的に保有したい投資家に選ばれているようです。ベンチマークは米国の代表的な500社を対象とするS&P500ではなく,米国市場のほぼ全てを含むCRSP USトータル・マーケットです。
◆長期的には差はほぼないと言われていますが,直近1年,3年の累積リターンでは,CRSP USトータル・マーケットがS&P500を3%ほど上回っています。
最近の資金流入はコストのより安いeMAXIS Slim米国株式(S&P500)やSBI・バンガード・S&P500よりもやや少なくなてしまいました。すでに低コストな水準とはいえ,純資産総額の拡大とともに保有コスト面のさらなる改善を期待したいところです。
私がインデックス投資を始めた2017年には純資産総額が2000億円を超えるような低コストインデックスファンドはなく,100億円を超えていれば資金を集めていると評価されていました。
それまでと比べるとここ数年でインデックスファンドには大きな資金流入がありました。なかでも低コストなこれらのファンドに多くの資金が集まっています。多くの人が新たに低コストインデックスファンドを選んでいる証です。
低コストインデックスファンドが資金を集めていく傾向は当面変わらないことでしょう。これからも投資家に選ばれるファンドとして,運用会社の皆さまには投資家のほうを向いた運営をよろしくお願いいたします!
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