一定の資産を築き,労働から解放される生活を意味するFIRE(Financial Independence,Retire Early)はもはや説明不要の用語として定着するほどになりました。
私は退職の具体的な時期は決めておらず,現時点では「FIRE」まではめざしていません。それでもこの考え方に影響を受けて,いつ退職しても問題ない「FI」の状態に40代のうちにたどり着いておくことを目標にしています。
仕事が嫌というよりは,50代以降のような将来の収入を当てにできないというのが「FI」に注目している理由です。いわゆる斜陽産業にかかわっているので,将来は不確実性が高いほうです。
では,逆に「老後になっても働いている」という人はどれくらいいるのでしょうか。気になったので,国の調査の結果を調べてみました。
65歳以上の4人に1人は働いている
総務省統計局は9月19日に,「65歳以上の高齢者の就業」に関する資料を公表しました。
これによれば,65歳以上の高齢者の就業者は2020年に906万人。高齢者人口は3640万人なので,実に高齢者の4人に1人以上の25.1%が働いていることが明らかになりました。
自営業者や会社役員などではない「雇用されている人」はその半数程度のようですが,それでも多くの高齢者が何らかの仕事をしているのが現実です。
65~69歳では半数が働いている
「65歳以上の高齢者」といっても,80代・90代の人がそんなに働いているはずがありません。年代が進めば進むほど働く人の割合は減っていき,平均して4人に1人という結果になっています。
65歳以上の高齢者のうち,最も若い層である65~69歳だけに注目してみます。すると,49.6%と2人に1人は何らかの仕事をしているとの結果でした。
この割合は年々増えているので,2021年のうちにも,70歳近くまで働く人がむしろ「スタンダード」に変わりそうです。
ちなみに高齢者が仕事を続ける理由は,「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(内閣府)によれば,「収入がほしいから」(51.0%)が最も多くを占めています。
日々の暮らしについては6割以上が「困っていない」と回答しているため,困窮して働かざるをえない人が多いとは断定できません。ただ,収入のために働く以上は,老後のゆとりが足りないのでしょう。
「働くのは体に良いから,老化を防ぐから」(23.1%),「仕事そのものが面白いから,自分の知識・能力を生かせるから」(15.1%)という回答も多かったです。収入目的と,前向きに考えている人と半々といった感じです。
職場を選ぶ側になれるような戦略を
私は20代から40代のうちに資産を築き,先が読み切れない50代以降に備えていく。そして60代以降は働かない前提でまずは考え,お金を取り扱うようにしています。仕事が嫌というよりも,ほかにやりたいことがあるから時間がほしいという気持ちが強いです。
ただ,まだ30歳ですから,あまり先のことはわかりません。働く高齢者は今後も増えていくと予想されています。ですので,仲の良い友だちが仕事を続けていたり活躍していたりすれば,私も仕事を続けていたいと思うかもしれません。
もしそうなったときにも,収入の確保を優先する必要がなければ,やりたい仕事や身を置きたい職場を選べる機会が多くなりますよね。
また,働くことはつらいことばかりではないので,「労働の楽しさ」もしっかり実感しながら働いていきたいですね。労働を通じて偶然に出会えるものも多いのです。
たとえば私は写真を撮るのが趣味なのですが,これは仕事を通じて写真のおもしろさに触れたことも背景にあります。
幸いにも人生の早い段階で資産形成を始め,そして将来を見据えれば順調に資産は拡大しつつあります。働く・働かないという選択を含めて,長期的には職場を選ぶ側になれるような戦略で進めたいと思います。
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