先日、ブログにご質問をいただきました。
ブログにいただいたご質問は直接ご返信することが多いのですが、今回は私もあらためて整理するきっかけになったので記事にしました。
なぜ「全世界株式インデックスファンド」を選んでいないのか?
【いただいた質問の趣旨】
近年、米国株や全世界株をコアにするのが定番だと理解しています。
なまずんさんの投資先の配分は先進国・新興国がコアになっていることに驚きました。
こちらの理由をぜひご教示いただきたく存じます。お忙しいところ恐れ入りますがよろしくお願いいたします。
【回答】
月々の積み立ては日本株式5%、先進国株式80%、新興国株式15%という配分になっています(なお、該当の記事には一部に誤りがありまして、修正済みです)。
これは現状の保有資産の割合をふまえて、およそ全世界株式の比率になるように調整しています。なお、ご質問をいただいた時点の私の資産配分は以下の記事のとおりです。
先進国・新興国は全世界の一部
質問のなかに「米国株」「全世界株」「先進国」「新興国」という言葉があります。おそらく、「米国株や全世界株をコアにする」とは「米国株式インデックスファンドや全世界株式インデックスファンドを買う」という意味だと思います。ですが、念のためにどのファンドがどの範囲の株を含むか整理しましょう。
つまり、「全世界株」に投資したい場合は「全世界株式インデックスファンド」を買うほかにも方法があります。たとえば「日本株式インデックスファンド」「先進国株式インデックスファンド(日本除く)」「新興国株式インデックスファンド」の比率を調整して組み合わせる方法もありますね。
私はこの方法で実践しています。
いまは「全世界株式インデックスファンド」で十分
「全世界株式インデックスファンド」1本だけで済むところですが、なぜわざわざこんな面倒なことをしているのか。
それは、数年前までは、全世界に分散させるために、日本株・先進国株(日本除く)・新興国株のインデックスファンドに分けて投資するほうがコストが安かったからです。
要するにその時代の遺物です。
私が運用を始めた2017年には、超低コストの全世界株式インデックスファンドがありませんでした。日本株・先進国株(日本除く)・新興国株を組み合わせて投資するほうが安かったのです。
現在は下表のように、コストはほとんどかわりません。
方法 | 信託報酬(年率税抜) |
eMAXIS Slim全世界株式 (オール・カントリー) |
0.103156% |
eMAXIS Slimの国内株式(TOPIX)、 先進国株式、新興国株式の組み合わせ |
0.103186% |
むしろ、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のほうが安くなりました。
率ではわかりにくいので割合に言い換えると、投資金額1000万円あたり3円の違いです。
組み合わせによる投資法は1つ面倒なことがあります。それは、日本株・先進国株(日本除く)・新興国株の時価総額比はかわっていくので、ときどき投資配分を調整する必要があることです。
全世界株式インデックスファンド1本にすればその手間はありません。全世界に投資したいなら、「全世界株式インデックスファンド」がスタンダードであることは間違いありません。
ファンドを分けている理由をあえて挙げてみる
私が日本株・先進国株(日本除く)・新興国株にファンドを分けて運用しているのは、全世界株に投資するための以前からの方法を踏襲しているからです。理由の99%はこれです。
残りの1%をあえて挙げてみます。
- 運用会社をあまり信用していない
- 売却時の課税の繰り延べに工夫の余地がある
私はそもそも運用会社をそれほど信用していません。これは特定の運用会社を指しているのではなく、想定している運用期間が長いことが原因です。今あるファンドが将来も同じ思想で運用されるかどうかは少し不安に思っています。
25歳から運用を始めた私が余命まで生きた場合、運用期間は約60年もあります。その間に運用会社やそのファンドの考え方(戦略)が変わらないとは言い切れません。とくに運用会社のそのものの合併・分割のような激変があったら、状況が変わるかもしれませんよね。
ファンドの選択肢の多い先進国株式は3社のファンドを買っています。
また、部分的に売却するときは、複数のファンドを持っていたり、1種類のファンドでも複数の証券会社にわけていると、税金をより多く繰り延べられる方法をとることもできます。大きな差にはならないと思いますが、現状のコスト差は上回ると考えています。
なお、すでに日本・先進国(日本除く)・新興国をおよそ時価総額比で持っているため、運用中に大きな売却を伴うリバランスが発生することはありません。
理由らしき理由はありますが、決定的ではありません。
積み立ての比率の設定を通じて、日本株・先進国株(日本除く)・新興国株の時価総額比を確認する機会にもなっているので、全世界株式インデックスファンドのコストが大きく下がらなければこのままの体制を続けていくと思います。
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