この記事には今週にかけて読んだ年金に関する記事の紹介と,私の考えをまとめました。
ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんが執筆した記事です。2021年以降の年金制度の改正についての情報がまとめられています。
年金の受給金額にかかわる改定
記事の要点は次の3点です。
- 2021年4月
年金額を決めるルールが改定され,賃金下落時に年金受給額が減額される - 2022年4月
受給開始年齢の上限が75歳まで選べるようになる - 2022年10月以降
厚生年金の加入対象者が増える
年金制度は社会の状況に応じて少しずつ変わっていくので,知識がある人もアップデートが必要です。
年金額を決めるルールの改定
年金額の改定のルールの変更点は表の通りです。年金受給額を減らすルールができました。
2021年3月まで | 2021年4月以降 |
物価が下落せず,賃金が下落した場合に年金額を据え置く | 賃金が物価よりも下落した場合,年金額を賃金に合わせて減額する |
賃金が物価よりも下落した場合について,これまでは物価基準で考えていたものを,これからは賃金の動きに合わせることになりました。
なお,これは物価と賃金が上昇したときに,年金の給付増をおさえる「マクロ経済スライド」とは別です。
現役世代と受給者の公平の観点からは適切と感じます。
受給開始年齢の上限が75歳に
現在,年金の受給は65歳を標準として,60歳~70歳の範囲で選ぶことができます。受給を繰り上げると受給額が減少し,繰り下げると増加します。この繰り下げの上限を75歳とするのが変更点です。
繰り下げると1か月あたり0.7%受給額が増えますので,75歳まで繰り下げた場合は受給額が84%増加することになります(図は記事より)。
これによって,たとえば75歳までは蓄えた資金で生活し,75歳以降は増額された年金で生活費のより多くをカバーするような柔軟な選択肢もできました。
何歳まで生きるかはわかりませんから,「尽きない所得」である年金という切り札を人生の終盤にとっておきやすくなりました。
ただ,記事にあるように,受給する年金額があまりに多くなると税・社会保険料を支払う必要が出てきます。税・社会保険料には注意して考える必要がありそうです。
厚生年金の加入対象者が増える
これも詳細は記事に譲りますが,パート・アルバイトの人の厚生年金の加入要件が改正されます。保険料を負担する必要はありますが,厚生年金に加入できることで将来の年金受給額が増えます。
社会保険に加入するメリットについてまとまっていますので,パート・アルバイトの方には役立つ記事ではないかと感じます。
年金を「上乗せしていく」という考え方
一生涯もらうことができる公的年金の特徴は,何歳まで生きるかわからない老後の生活にぴったりです。そこで,一生涯もらえる年金をどれだけ上乗せできるかどうかが,将来の生活の不安を減らし,安定性を高めることにつながります。
2つめにあげた受給の繰り下げは誰にでも可能な有力な選択肢です。ある程度は受給を繰り下げることを頭に入れておく必要があるでしょう。
いまはその繰り下げを見据えて,長期投資によって資産をつくっていきたいと思います!
◆井戸さんの著書は要点がわかりやすく,女性向けに書いていますが男性にもおすすめです。
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