保険の必要性に迷ったときに読む記事

210228 保険の必要性に迷ったときに読む記事 保険
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最初に述べておくと、この記事では個々人が保険に入るべきかどうかの答えは書きません。

保険が必要かどうかはその人を取り巻く経済環境によってまったく異なります。万人に対しての正解はなく、個別性がとても高いものなのです。

だからどこかで誰かが「保険は絶対に必要!」あるいは「保険は不要!」と言っていても、それはその人にとってのものと聞き置いて、自分にとって必要かどうかは自分の状況に合わせて判断しましょう。

そもそもそういった主張には耳を貸さないこと、それが最も重要だと思います。

さて、保険の要否に迷ったときに、原則として私自身はこの記事のように考えています。なお、この記事は公的な社会保険ではなく、民間保険だけに絞って書いています。

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保険のもつ価値

保険にはさまざまな役割があります。なかでも、最も基本的かつ重要なことは、保険は低確率で起こり得る、大きな経済的なリスクに備える唯一の商品であることです。保険に加入する価値はこれに尽きます。

このような低確率にもかかわらず、起こったときに本当に困るリスクは個人では対処しきれません。保険を利用すれば、ある程度のコストはかかるものの、このリスクを保険会社に移転することができます。

しかし、低確率でしか起こらないリスクの評価は難しく、どうしても過大評価したり、過小評価したりしがちです。さらに、加入するにはコストがかかり、普段はその恩恵を実感する機会に乏しいことも特徴です。数ある金融商品のなかでも、保険の選び方が難しいのはこのようなところにあるでしょう。

保険が必要かどうかを保険会社の営業の人に聞けば、万一の不安を列挙して安全寄りの判断をするような提案をしてきます。その反動もあって、SNSなどでは当事者でもない人に向けて安易な「保険不要論」とも言うべき暴論まで出ている始末です。

確かに不要だったり過剰だったりするような保険もあり、「リスクに備えている」とは言えないような謎の設計の商品もあります。

まずは原則として、保険が必要か否かは、①「低確率で起こり得る、大きな経済的リスク」が自分や家族にあるかどうか、②そのリスクがある場合は、リスクが現実化したときとしなかったときに、生活にどのような影響が及ぶかをもとに判断するのがよいでしょう。

保険で備えることに適したリスク

ほとんど前出の繰り返しになりますが、保険とは、確率的に起こってしまう経済的なリスクに対して備えるための商品です。

契約者は保険料を支払って保険に加入し、支払事由が発生したときに、契約通りの金額を受け取ります。多くの人が契約して費用を分散して負担することで、不運にも発生する大きなリスクに対して少額の負担で備えることができます。

このような保険の役割をもとに考えると、保険という商品で備えることに適したリスクには次の3つの性質があります。

  • 確率的に起こり得て、かつ注意していても避けることが難しい
  • お金で解決できる
  • 保険以外の方法では解決が難しい

確率的に起こり得て、かつ注意していても避けることが難しい

保険が必要なものはそもそも起こり得ることです。たとえば、交通事故や自然災害、急な病気などは低確率ですが起こり得ます。そして予知・予防が難しく、避けることには限界があります。このようなものは保険で備えることに適しています。

逆に、起こり得ないことに保険をかける必要はありません。車に乗らない人には自動車保険は不要です。

あわせて言えば、かなり高確率で起こるものは保険ではなく、できれば自ら資金を準備するべきです。起こりやすいできごとに対する保険はそのぶんだけ保険料が高くなります。もちろん、それでも加入する意義がある人はいるのですが、「大きなリスクに対して少額の負担で備えられる」という保険のメリットは小さくなります。

また、老後資金や教育資金を強制的に蓄えるために保険を使うのは悪いことではないとは思いますが、保険でなくても備えることができますね。

お金で解決できる

いざ保険事故が起こったときに、保険ではお金で解決することができます

ただし、保険で解決できるのは経済的な側面だけです。その他に起こり得る困りごとや不安は保険以外の方法で備えましょう。

保険以外の方法では解決が難しい

もし、保険以外で備えができるのであれば保険は不要です。

先に触れたとおり、老後資金や教育資金のための貯蓄型保険は保険以外の方法でもほぼ解決可能です。保険ではなく投資・貯蓄でも十分に備えることができます。

十分すぎるほどの資産を持っていれば生命保険はいらないかもしれません。これは次の「リスクがある場合の評価」ともかかわってきます。

私はこの3つのすべてを満たすようならば保険に加入することを検討し、一方で、1つでも外れるものがあればその保険は加入しないことを検討します。

重要なことは、保険に入ることが「投資や預金と比べて損か得か」という単なる損得勘定や、「安心か不安か」という感情の視点だけで考えないことです。保険という商品は「低確率で起こり得る、大きな経済的リスク」に備えるものだということを頭の中に置いておけば判断の失敗は防げるはずです。

リスクがある場合の評価

リスクがある場合の評価においては、次の両方で生活が成り立つことが大切です。最悪の事態と何も起こらなかったときを考える必要があります。

  • そのリスクが現実化したとき
  • 何も起こらなかったとき

そのリスクが現実化したとき

この場合は、保険事故が起こったときの負担を推定して、いくらまでを保険でカバーし、いくらを自分の資産で対処するかを検討しましょう。

注意することとして、あてにできる自分の資産はとくに使途の定まっていない余裕資金だけです。将来の教育資金や老後資金として使うつもりのお金を当てにしてしまうと、いざ問題が起こったときに結局困ることになります。また、できれば複数の事故が同時に起こるような場合も想定しましょう。

それなりの資産があるから、医療保険も生命保険もなし! と思っていたら、急な大病で教育資金や老後資金を大きく減らし、さて回復した直後に不慮の事故で他界。家族にはあまりお金が残っていない……。なんてこともあるかもしれません。

ある程度の資産があっても、それを教育資金や老後資金などとして使うつもりであれば、保険料を支払ってでもそれらのお金を守る必要があります。

また、生命保険は加入時の健康状態によって審査が行われるため、一度大きな病気を患ってしまうと、あとで加入することができなくなってしまいます。「いま必要か不要か」で判断するのではなく、「将来のどこかの時点で必要なら加入しておく」という判断が適切ではないかと私は思います。

何も起こらなかったとき

保険を掛けなければならないリスクは起こる確率が低いので、保険に入ったところでなにも起こらずに終わることも多いはずです。

この場合の想定では、保険料が高すぎて生活を圧迫したり、将来必要な資金を蓄えることができなくなったりしないかどうかを確認しましょう。不安だからといって保険を掛けすぎて貯蓄が進まなくなっては本末転倒です。

あくまで個人的な見解ですが、保険料を払っても払わなくても人生に大した影響がなければ、ある程度保守的に考えてもよいと思います。最悪を想定していたとしても、それ以上になる可能性もあるからです。

たとえば私の場合、個人賠償責任保険は2億円ほどを契約しています。過去の最高賠償事例では1億円程度だと聞きますが、保険料が月額数十円しか変わらないのでそのようにしています。

加入すべき「個人賠償責任保険」
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保険で備えるべきものは保険で備える

この記事では、保険は「低確率で起こり得る、大きな経済的なリスク」に備えるものだという基本的なところをもとにまとめました。保険に加入するということは、何かが起こったときにお金の面で救済されるというサービスを買うということです。

私もある程度の資産ができてきましたが、保険がすべて不要という状況にはほど遠いです。

今日は基本的なところで思うことをまとめました。生命保険・損害保険・医療保険などの各論についてはそのうち書くかもしれません。

◆保険に関する話題は以下にまとめています。

保険
保険の選び方について

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