クレカ会社からの紹介で無料FP相談に行ったら保険の営業づくめだった

220430 クレカ会社からの紹介でFP相談に行ったら保険の営業祭りだった 保険
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ある日のこと。利用しているクレジットカード会社から突然、電話がかかってきました。

「家計改善・資産形成のためのFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談してみませんか?」「FPは将来のお金の流れの見通しを立てるキャッシュフロー表を作れます。家計改善や資産形成、必要な保険の相談になります」「よければ、提携している企業のFPを紹介します」

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相談の前に伝えたこと

「無料のFP相談は結局、保険の営業になる」という良くない噂は私も聞いたことがありました。そもそも「無料」では事業が成立しません。手数料を取れる商品は保険しかありませんから、過剰な保険を提案されることがあるという話です。

そのため電話では即答せず、数日の検討期間をもらいました。

持ち帰ってうなぎんと検討します!

慎重に検討に検討を重ねた結果、相談に参加してみることにしました。営業はあるにせよ、ある程度の分析や助言・提案をもらえるのではないかと思ったからです。

限られた相談時間ですので、あらかじめ次のような内容を伝えました。

  • わが家のキャッシュフローの見込みに基づく判断には関心があること
  • 現在契約中の保険は過剰だと認識していて、見直すつもりであること
  • 私自身もFP2級を持っているが、資産形成や保険の活用について気になる点があれば見立てがほしいこと

ところがタイトルの通り、結局は保険の営業でてんこ盛りだったわけです。

相談が始まるまでの流れ

相談が始まるまでに、FPとは集合場所・時間について短時間の打ち合わせがありました。

場所は自宅から数駅離れた駅の近くにある、やや広めの席があるカフェ。繁華街から少し離れた比較的静かな場所でした。

契約中の保険の相談については最初の担当者から伝言が届いていたようで、契約内容がわかる資料を持ってくるようにと言われました。この時点では家計や資産の状況を聞かれることもありませんでした。

当日までとくに連絡がなかったものの、「当日に聞き取りながら進めていくのかな」と漠然と考えていました。

保険を売りたいFPとの1.5時間

さて、当日に待ち合わせのお店に行くとそれらしい人がいくつか資料を広げていました。名刺を頂戴すると、FPの人が自身の経歴を話し始めます。「もとは保険会社に勤めていて、現在は各社の保険を取り扱っているFPです」と。

おお? いきなり保険というワードが。

ほとんど保険の話で面食らう

まずはFPとななにかについての簡潔な説明がありました。私もFP2級を取っている話は伝わっていたのか、ごく短い説明でした。

続いてキャッシュフロー表の話題になりました。家計状況やライフプランを書き込める書類が机の上に出てきます。30秒ほどその資料の説明が続きました。が、その直後、なぜかその書類はFPのカバンにしまわれていきました。

あれ!? 記入するんじゃないのか。

そしてここからは保険の話が始まります。

「保険の見直しをご検討されているんですよね?」「契約の内容を見せてもらえますか?」「えー! 確かにこれは保障内容に対して保険料がちょっと高額ですね」

保険の見直しは検討中ですし、確かに指摘されたとおり私が契約中の保険は保障内容に対して少し保険料が高いです。掛け捨て型の保険ですが、保険会社の知人の仲介で入りました。資産形成がある程度進むまでの期間だけ利用することを考えていたので、多少は割高でも万一の際の手続きのしやすさを考えた面もあります。

その保険ももう役割を果たしたと思っているのですが、念のために他のFPの見立ても聞きたいという考えがありました。

結局、ここからは保険の話が延々と繰り広げられます。

「たとえば、同じタイプの保険でしたら〇〇社の商品もあります」「これなら年間で1万円は安くなりそうです」「保険金額・保障期間が過剰であれば、少なくしたり、短くしたりしたこの保険では○万円の家計改善効果がありますね」

なかなかうまい営業です。なにがすごいのかって、論点をすり替えるのが上手なのです。「保険が必要かどうか」という私が挙げた論点には触れずに、「いまの契約の保険料が高いか安いか」「安くなる場合にはこのような例がある」という話をしてきます。

延々と展開される“一般論”

ただ、各社の保険商品の優劣以前に重要なのは、繰り返すようですが「私にとってどんな保険がどれだけ必要か」なんですよね。

やっぱり、現在の生命保険はちょっと高いですか。とても勉強になりました。ところで、この先にどんな保険が私に必要なのかは悩ましいです。

「たとえば生命保険でしたら、遺族年金は平均で約11万円と言われます。生命保険は生活費に応じて、その差額が埋められる金額を考えてはいかがでしょう」

「老後の生活資金に2500万円を確保したいというのが近年の調査結果です。退職金で足りない場合は、貯金・投資・保険で準備しておく必要があります」「保険に加入するなら、貯蓄性のあるもので万一の備えも老後の備えもできると考える人もいます」「強制的に貯められるのも特徴です」

「医療保険は入っていらっしゃらないんですか?」「もし長期入院になれば、高額療養費制度を考えても、差額ベッド代や食事費用などによって月に約10万円ほどかかります」

「一方で、近年は入院日数が短くなっているため、入院日数に応じた給付が大きい商品ではなく、入院一時金が大きい商品のほうが人気です」「このタイプは保険料も比較的安いです」「私は500人の契約者の方とお付き合いしていますが、毎年、だいたい10人に1人くらい入院していますね」

数字を出しながら説明してくれるのですが、どれも「私にどんな保険がどれだけ必要か」とは関係のない“一般論”です。でも、これで引っかかる人も多いのでしょうね。

以降も保険商品の特徴の説明や比較もいろいろ話してくれました。しかし、「なぜその商品が私に必要だと考えるのか」を何度か尋ねてみても、そこには取り合ってくれません。そのFP自身やFPの家族が入っている保険の話題などにうまくすり替えられていきました。

精密なキャッシュフロー表を作る必要はないと思いますが、最低限の家計・資産状況やライフプランを聞いて、それに合わせた提案をしてほしかったですね。

そこが本来の「プランナー」としての腕の見せどころなのではないかと思います。結局、1.5時間の面談時間の9割は保険の紹介でした。

最後の1割は、「年収1000万円でも貯蓄ができない人はいるが、年収400万円でもお金をためられる方法があるんです!」「先取り貯蓄っていうんですけどね……」というご指南でした。

貯蓄型保険で「先取り貯蓄」をする方法もあるという念押しもありました。うははw

利害対立が大きすぎる無料相談

ということで、わかりきった結論ですが、無料相談はおすすめしません。

少なくとも、私はもう行くことはないでしょう。同種の商品のなかでの選択は適切かもしれませんが、その商品が私に適しているかを考慮しない非常に無責任な提案には辟易しました。

キャッシュフロー表については机上に出してすぐしまうという謎行動で理解ができません。保険の検討に、家計・資産の状況や将来の見通しの情報はどう考えても必要です。それを抜きに話が展開された時点で、内容はお察しという感じでした。

ただ、今回の件はFP個人の問題もありますが、構造上の問題も大きいはずです。

FPにとってはこの相談会の収益源が「保険の仲介料」しかありません。相談するならお金を出して、自分と同じ目線で考えてくれるFPを選ぶほうがずっと有意義な時間になるでしょう。

過剰な保険料を長く払い続けるよりも、同じ目線で考えてくれる有料の相談に数万円を支払ったほうがずっと経済的だと思います。

「日本人は保険に入るのが好き」といった話を聞くこともありますが、そもそも「保険に入れさせたい人が多い」という面があるかもしれませんね。

保険への加入の必要性の判断はとても難しいからこそ、自分の状況をしっかり分析したうえで適切な助言をくれる人は貴重です。最初の電話では少し期待できるかなと思ったのですが、無料相談にそれを期待するのは無理だったようです。

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