家計管理の定番は,「月間」での管理です。1か月を1つの期間として,毎月の収支を管理する方法です。
昔ながらの紙の家計簿もそうですし,現代の家計簿アプリもデフォルトでは,「〇〇年〇〇月の記録」というように,1か月単位の記録が出てくるでしょう。予算設定も多くの場合は1か月という人が多いと思います。
私もかつては月間で予算を立て,管理していました。しかし,月間で家計を管理する方法はメリットも多いのですが,必ずしも万能ではないと私は感じています。
よい面もありましたが,ここ2~3年は限界を感じて,1年を1つの期間とする「年間での管理」を中心に移行しました。
この記事では,それぞれの方法の利点・欠点と,どんな人におすすめかを検討してみました。
家計管理を始める人は月間での支出管理がおすすめ
定番である,月間での支出管理には明らかなメリットがあります。
- 月間の収支の黒字・赤字を明確に判定できる
- 家計改善の努力の結果が1か月おきにわかる
1か月の単位は,月給制の人にとって収入のサイクルと同じです。そのため,その月が黒字だったか,赤字だったかについてかんたんに計算できます。
月間収支が黒字なら資産は増えます。赤字なら資産は減ります。月間収支の黒字化は資産を増やすうえでの大前提ですので,その指標になるのはこの管理方法のメリットです。
また,1か月で振り返りができるので,改善手法のPDCA(Plan,Do,Check,Act)サイクルをどんどん回していくことができます。食費や,通信費や光熱費などの月払いの費用について問題点を発見し,工夫してどのくらい成果をもたらしたかをみきわめるのに効果的です。
したがって,現時点で月間収支が厳しい人や,これから家計管理を始める人にはおすすめの方法です。
月間管理が万能とはいえない理由
しかし,現実問題として,月によって支出金額が大きく変わってしまう費目はありませんか?
私の場合は娯楽費や交際費がかなり月によってばらつきます。
歓送迎会などで出費が重なったり,友人の結婚式などの突発的な支出があると,1か月単位での予算管理はだんだん意味をなさなくなってきてしまいます。月初に目標をせっかく立てても,そういった変動費の状況次第で目標が未達になってしまうのです。
たとえば,ある月の貯蓄目標が5万円だったときに,交際費がかさんで貯蓄が1万円しかできないこともありました。
収支は黒字でも,貯蓄目標にたどり着かなかったので,どうしてもストレスを感じてしまいました。
昨年の2月に親しい後輩と飲み会の日程調整をして,「2月下旬は空いていますけれど,今月の家計の予算がオーバーします! 3月初めにしましょう!」と言われて驚いたことがありました。2月でも3月でも,結局支出は変わりません。
その人は「1か月」という区分をしているせいで,ばらつきが大きい支出の影響をもろに受け,飲み会に余計なストレスを生む要因になっているかもしれません。
管理に慣れてきたら年間での視点も有用
そこで,私はこの2~3年,家計を「年単位」で確認するようになりました。
年間での管理のメリットは次のようなものがあります。
- 月によってばらつきが大きい支出の影響が小さくなる
- 突発的な支出の影響が小さくなる
たとえば,3万円の出費があったときに,それを1か月の視点で平準化しようとすると,1日あたり1000円の出費です。1年の視点でとらえれば,1日あたり約82円ほどの影響にとどまります。
1期間が長くなるので,予算の進捗度合いの確認には工夫が必要です。紙の家計簿では難しいので,私は,マネーフォワードなどの家計簿アプリを利用しています。年初からの収入と支出の状況を随時,自動作成して確認することができます。こういったアプリを使うことで大局的に状況をとらえることができます。
一方で,1期間が長いぶん,月単位よりも家計の見直しの機会は少なくなります。PDCAサイクルをまわす速度は遅くなってしまうので,ある程度支出管理に慣れて,改善点がつぶせてきてからのほうがよいですね。
また,「年初にお金を使いすぎてしまうのでは?」との懸念もありますが,それは管理方法とは別の問題です。月間管理で,月初にお金を使いすぎてしまう人でなければ,それほど問題にはならないでしょう。
費目の特性に合わせた組み合わせも
今回は,家計管理を「月間」だけでなく,「年間」でみる視点についてメリット・デメリットを中心に整理してみました。
しかし,この2つは対立するものではありません。うまい人であれば,次のような組み合わせた方法も使えます。
- 1か月でのばらつきの少ない食費や通信費,光熱費などは月単位でPDCAサイクルをまわす
- 月によってばらつきの大きい娯楽費や交際費などは年単位で大局的に管理する
私も,年間での管理がメインであるとはいえ,月間での収支状況も確認しています。月間で管理している方も,最終的に年間の収支がどうなっているかは確認しているでしょう。
なるべく効果的かつ,ストレスの少ない形で家計管理をすすめる一助になれば幸いです。
◆「貯蓄を年間300万円」と年間基準で目標を定めてきています。
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