少し前に出た資料ですが、2022年2月に内閣府がミニ白書「日本経済2021-2022 成長と分配の好循環実現に向けて」を公表しています。

「ミニ」といっても200ページ近くあります。少し時間があったので気になったところに目を通してみました。
国の経済動向から企業・家計の現況と課題まで幅広くまとまっているので、興味がある方はぜひ眺めてみてください。
25~34歳の世帯所得と世帯類型の調査を見ると
ざっと眺めていて目にとまったのが次の図です。25~34歳における世帯所得の状況と,世帯類型(単身・夫婦のみ・夫婦と子ども)を比較しています。赤線が2019年・青線が2014年です(後に注意書きを入れていますが、中央値の矢印の位置はいくつか間違っています)。
まず、左上の全世帯の合計では次の2つのことがわかります。
- 世帯所得の高い世帯の割合が増加
- 中央値は24万円増加(図の矢印の位置が間違っています)





この5年でも共働き世帯が増えています。共働きの高所得世帯が増えて、それが中央値を上げているのだと思われます。残念ながら給与はほとんど増えていないかと……。
世帯類型別の3つの図については、ミニ白書では次のような分析がなされていました。
- 単身世帯の割合が増加。
- 夫婦のみ世帯は共働きの増加で所得の中央値が増加
- 夫婦と子どもからなる世帯では500万円未満の割合が大幅に低下し800万円以上の割合が増加(中央値の矢印の位置は間違っています)





もちろん、世帯収入が500万円未満の子育て世代もたくさんいます。それでも世帯所得が 500 万円未満の世帯で子どもを持つ割合がかなり減少していることは驚くべき状況です。
教育費をはじめ、子育てにかかる費用は年々増えています。このままだとますます少子化が進むでしょう。子育て世代にとって明るい話は出てこないですね。
分配も大事だが成長がないことには……
こういった状況をみると、子育て関連の制度に所得制限をかけてでも低所得の子育て世帯に配分していくことも仕方ないのかななんて思ってしまいます。





高所得層でも大変であることは間違いないでしょうが、大変の度合いは違うのでしょうね。一方で「制度から外される」という精神的なダメージは大きいと思います。Twitterでもよく「所得制限」の是非で話題になります。
なお、ミニ白書のこの部分は「晩婚化や少子化への対応に当たっては、結婚や子育てを控える 25~34 歳の層の世帯所得の増加が重要であると考えられる」と結ばれています。
国もそのような認識であれば、ぜひ正対した施策を打ってほしいです。そのためには世代内の分配だけでなく、高齢者優遇になりがちな世代間の分配の再考も必要でしょうし、経済全体の成長が何より必要です。
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