『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』:読みごたえがある!オススメのインデックス投資本

220313 「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」レビュー・書評・感想 投資の参考書
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2022年3月11日に発行された『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』をさっそく読んでみました。

楽天で事前予約していたら発売日に届きましたよ!

最初に言っておくと良い意味で期待を裏切られました。私はウォール街のランダム・ウォーカーを読んでインデックス運用をはじめましたし、著者の山崎さん・水瀬さんの他の本をはじめ、インデックス運用の定番書も読んでいます。「知っていることしか出てこなかったらどうしよう……」とちょっと心配しながら本書をひらきました。

ところがそんな不安の必要はまったくなく、この869円という価格からはびっくりの盛りだくさんな内容。かつ、半日ほどで読み通せるコンパクトさです。

納得して投資を続けたい人にオススメの1冊です。

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目次とおもな内容

第1章 ほったらかし投資と人生のお金
第2章 ほったらかし投資の簡単!「実行マニュアル」
第3章 実際に始めてみよう!
第4章 インデックス運用の基礎知識
第5章 「ほったらかし投資」実践の勘所
第6章 よくある質問にお答えします
特別鼎談 バンガード撤退後のインデックス・ファンドの未来

著者は経済評論家の山崎元さんと個人投資家・ブロガーの水瀬ケンイチさんです。どちらも定評のあるインデックス投資本を世に出してきています。

実践法も理屈もわかる読み応えのある1冊

この本の要点の1つは次の部分です(p.62、カッコ内は私が補いました)。

投資とは(リスク資産を)「買ったり・売ったり」することではなく、「持っていること」です。株価は日々変動しますし、投資信託の基準価額も変動しますが、「上げ相場にも下げ相場にも、全て付き合う」という方針の下に、ご自身にとって適切なリスク資産額を保有し続けて下さい。

この考え方が多くの人にとって適しているという理由と、そのための実践法が本書にはコンパクトにまとまっています。大まかに言って、第2章と第3章は実践するための「やり方」の解説で、第4章・第5章がその主張の裏付けとなる「なぜそうするのか」という説明です。

また、前版との違いはおもに2つあります。

1つ目は、投資環境に応じたアップデート。前版が出て以降、iDeCoの対象者が拡充され、つみたてNISAの制度が始まるなどの大きな変化がありました。その流れのなかで、個人投資家向けの投資信託に新商品が登場したり、低コスト化が一気に進んだりしました。

2つ目は、本書では2人の主張があらかじめ擦り合わされ、「両論併記」のようなところがなくなりました。

面白かったところはたくさん

全体を読んで感じたのは次の2つです。

  • 運用商品の選び方などの「ほぼ正解」があるところはズバリと言い切って説明している。
  • リスク許容度などの個人の判断が重要なところは原則的な考え方を示し、読者が決められるようになっている。

また、(リターンではなく)リスクを基準に運用を管理していくことや、「長期・分散・低コスト」の3つを指針にすることなど、実践のためのとくに重要なところが網羅されています。

面白いなと思ったのは、世代を問わず案外にリスクをとっても問題ないとの主張です。

若い世代は「将来の稼ぎ」という人的資本がありますし、支出の削減で運用のリスクをある程度カバーできます。高齢者も暴落時に自身の生活に困らなければ、相続後のことを考えてリスクを取る選択が合理的だと説明されています。

また、正しく株価がつけられていれば、低成長のA国に投資しても、高成長のB国に投資しても最終的に得られるリターンは基本的に同じという話も興味深いです。リターンに差がつけばそれを狙う人がいるので、これは当たり前の話です。でも、直観的には高成長の国に投資したほうが高いリターンを得られる気がしてしまうのですよね。

ほかにも、「市場が効率的だから」アクティブ運用よりもインデックス運用が有利という主張は適切とはいえず、「市場は効率的ではないけれども」インデックス運用が有利という理解が正しいということも書いてあります。

このように挙げていくとキリがないのですが、ほかにも「厳密にいえば、インデックス運用=パッシブ運用ではない」など、知識欲を満たすような話もありました。

株価の低迷期にどのように考えていくかということなど、むしろインデックス運用を始めているからこそ学べることもたくさんありましたよ。

とくに、理論編である第4章・第5章はある程度の予備知識がある人には面白い内容です。

「ほったらかし投資術」の私の実践度

なお、私はこの本に書いてあることをほぼそのまま実践中です。具体的にはこんな感じです。

  • 取れるリスクを基準に投資金額を決めている
  • ほぼ全世界株式と同じ資産配分で運用している
  • iDeCo・NISAの制度を活用している
  • あとは売買せずに持ち続けている

実践していないのは、無リスク資産部分での「個人向け国債(変動・10年)」を利用していないことです。無リスク資産が1000万円ほどなので、実践する必要性が少ないという点が大きいです。

そのため国債について実はきちんと知識をアップデートしていなかったのですが、今回本書を読むなかで、銀行預金に比べてむしろ信用リスクが低く、金利上昇には強いという面もあることを知りました。無リスク資産を増やす方向になれば個人向け国債も積極的に取り入れたいと思います。

運用は「ほったらかし」でよいといっても、「きちんと知っておかないとほったらかせない」というのも事実です。

世界中で株価が下落傾向にあるなかで、この本で勉強し直せて良い機会でした。この情報量で869円(電子版ならそれ以下)という価格ですから、本書のコストパフォーマンスは抜群です。長期投資のおともに連れてみてはいかがでしょうか。

◆インデックス運用についてのオススメ本です!

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