損失が生じにくくなるつみたて期間の長さとリスクの関係は?(2021年11月18日 三菱UFJ国際投信ブロガー・ミーティング)

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2021年11月18日に,運用会社の三菱UFJ国際投信が主催するオンラインイベント「ブロガー・ミーティング」に参加しました。

プログラムは短時間の「開会の挨拶」と,メインの「つみたて投資徹底解説! ~リスクをとらないことこそ、最大のリスク!?~」を経て,質疑応答の流れで進みました。主な解説はセミナーのもととなる研究を行ったイボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明さんが担当しました。

ちょっと煽りっぽいタイトルですが,長期投資では「リスクあたりのリターン」(シャープレシオ)を保ちながら,許容できる範囲で高いリスクをとってリターンを取りに行くことの有効性が解説されました。そのほうがかえって元本割れの確率を下げ,起こり得る損失額の程度も軽減されていくとのことです。

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20年超の積立投資ではリスクを取るほうが元本割れしにくい

詳しくは後日,三菱UFJ国際投信からレポートが出される予定ですのでそちらをご覧ください。当日はわかりやすいグラフが提示されましたが,それを掲載できないため以下には要点だけをまとめます。

今回のセミナーで最も興味深かったのは,株式比率が異なるポートフォリオ(株式約90~約15%)で運用した場合のシミュレーションの比較です。リターンの追求ではなく,「損失が起こる可能性」や「損失額の大きさ」,「目標に達さない可能性」といった,実際の運用上で困る場合を防ぐという視点だったのがとても有用でした。

将来に困るのは,想定外に資産が増えなかった場合ですからね。その確率や程度を知ることは重要です。結論としては,20年以上の運用を予定していれば,株式100%かそれに近いリスクを取ってよさそうです。

ポートフォリオのリスクと運用期間について,次のようなことが解説されました。

◆運用期間が長くなればなるほど,すべてのポートフォリオで「元本割れの確率」が低下する。

これはわかりやすい結論です。どのポートフォリオも期待リターンはプラスです。そのため,異常に大きいリスクを取らなければ,長期になればなるほど平均に収束し,元本割れの確率が下がります。

◆運用期間の長さにかかわらず,株式比率が高いポートフォリオのほうが「元本割れの確率」が低い。

これは少し意外に感じました。しかし,効率的フロンティアに近い(リスクあたりのリターンの効率がよい)ポートフォリオでは,期待リターンが高いほうが元本以上を確保できる確率が高いことには納得できます。

ばらつきの中心点がゼロより高い位置にあればあるほど,ばらついた場合にもプラスのリターンにとどまる可能性が高いとイメージすればよいのではないでしょうか。

◆「損失率の期待値」でみると,20年以内の運用では株式比率が低いポートフォリオが良好であるものの,20年超では株式比率が高いポートフォリオのほうが良い。

株式比率が高いポートフォリオのほうが値動きの幅が大きいです。そのため,短期的には元本に対して大きな損失が出る可能性が高くなります。

一方で,長く運用を継続していれば,株式比率が高いポートフォリオのほうが期待できる累積のリターンが大きくなっていきます。そのため,期間が長くなるほどその効果によって損失を出す可能性が低くなるのだと思われます。

短期的な値動きの影響を乗り越えられるのであれば,20年以上の運用を行う場合は,株式比率が高いポートフォリオの有用性が高いです。

なお,代田さんが繰り返し注意を促していましたが,これは「運用期間中のある時点では暴落しても,続けていればその影響を乗り越えてプラスになる可能性が高くなる」という意味です。長期運用によって暴落を回避できるわけではなく,乗り越えて長期運用しなければならないということです

なお,強調して解説されましたが,「リスクを取れば取るほどよい」というわけではありません。あくまで結論は「リスクあたりのリターン」(シャープレシオ)を確保しながら,リスクとリターンを高めた場合です。

これはつみたてNISA対象になっている低コストな株式インデックスファンドやバランスファンドを購入する場合に相当します。それを大きく超えるリスクを取る場合や,シャープレシオの悪い投資法でリスクを高めるような投資法にこの結果を当てはめてはならないことには注意が必要です。

◆つみたてNISA対象のインデックスファンドの一覧の記事もよければどうぞ。

【2021年12月・つみたてNISA対象】インデックスファンド比較・一覧【過去リターン・信託報酬,実質コスト,純資産総額など】
(2022/01/16)この記事は2021年版です。最新版は以下のページからどうぞ。 この記事では,つみたてNISAで購入できるインデックスファンドの過去リターン・信託報酬・実質コ...

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今回,私ははじめて三菱UFJ国際投信のイベントに参加しました。

過去にはブロガーを利用して商品の宣伝をしているようなきらいもあったので,運用会社が主催するセミナーへの参加は避けてきました。ですが,今回のミーティングは投資家にとってとても教育的・啓発的な話題であり,このような情報提供を得られたことに満足度は高かったです。

「シャープレシオ」「内部収益率(IRR)」といった用語が出てくるなど,詳しい部分になると初心者向けとは言えません。ですが,おもなメッセージは簡潔明瞭で理解しやすく,投資の勉強を始めたての人にも要点が理解できるような構成でした。

新型コロナウイルスが流行してからはこのようなセミナーがオンラインでも開催されるようになりましたので,距離や時間,投資経験と関係なく気軽に受講できます。わからない言葉や概念があっても,自分が何を知らないかを知るきっかけにもなるかもしれません。

今後もぜひ参加したいと思います。よい企画をありがとうございました!

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